[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]

2022年10月15日

>>コメント欄は各記事の最下部<<



ATRACとは

ATRAC(アトラック:Adaptive TRansform Acoustic Coding)とは、SONYが開発したオーディオ非可逆圧縮、及び可逆圧縮の技術・規格名、及び後年開発された関連技術群の総称で、音楽用のミニディスク規格等で採用された。

関連:ATRAC (SONY)

取扱説明書にもATRACのバージョンが明示されていないことがあるので、面倒だが分解し、基板(メカ部)上のIC(CXD****)を見るのが確実である。

CXD2650R
↑CXD2650R

バージョン間で互換性があるため、例えば、最初期のMD機器で録音されたMDディスクを、最後期の「ATRAC TYPE-S」搭載機で再生することは可能である。

その逆(新しい機器で録音されたディスクを最初期の機器で再生)も可能だが、MDLPで録音されたディスクは、MDLP非対応機種では再生できない。

ATRACのバージョン

・Ver.1.0:CXD2527

 エラー制御に容量を割いていたため、録音時のビットレートが低く音が悪い。

 MDS-101(1993年):CXD2527R-1

MDS-101
↑MDS-101(SONYのMDデッキ1号機)

・Ver.2.0:CXD2531

 MDS-102(1994年):CXD2531BR
 MDS-501(1994年)

MDS-102
↑MDS-102

MDS-102のカタログには「第2世代」とある。

MDS-102のカタログ

MDS-101の低音質を認めることになるので、「第2世代でより高音質に」等の文字はない(笑)

・Ver.3.0:CXD2535/CXD2536

 MDS-S30(1994年):CXD2536
 MDS-S35(1995年):CXD2535AR/CXD2535BR
 MDS-302(1994年):CXD2536
 MDS-303(1995年)
 MXD-D1(1996年) CD+MD一体型
 MDS-S1(1994年):CXD2536

MDS-S30
↑MDS-S30

MDS-S1_カタログ
↑MDS-S1

・Ver.3.5:CXD2536

 MDS-JA3ES(1995年):CXD2536AR
 MDS-503(1995年):CXD-2536B

MDS-503_カタログ
↑MDS-503

・Ver.4.0:CXD2650/CXD2652

 MDS-S37(1996年):CXD2650R
 MDS-S38(1997年):CXD2650R/CXD2652AR
 MDS-JE500(1996年):CXD2650R
 MDS-JE510(1997年):CXD2650R/CXD2652AR
 MDS-JE700(1996年):CXD2650R
 MDS-J3000(1996年):CXD2650R

MDS-S37
↑MDS-S37

関連:[SONY] CDP-S35とMDS-S37のレビュー [CD/MD]

MDS-S38
↑MDS-S38

関連:[SONY] MDS-S38のレビュー [MiniDisc]

CXD2652AR_MDS-S38
↑CXD2652AR(MDS-S38)

・Ver.4.5:CXD2537/CXD2654

 MDS-S39(1998年):CXD2654R
 MDS-S40(1999年):CXD2654R
 MDS-JE330(1999年):CXD2654R
 MDS-JE520(1998年):CXD2654R
 MDS-JA30ES(1997年):CXD2537R
 MDS-JA50ES(1996年):CXD2537R
 MDS-JB920(1998年):CXD2654R
 MDS-W1(1998年):CXD2654R ダブルデッキ
 MXD-D2(1998年) CD+MD一体型
 MDS-PC1(1997年)
 MDS-PC2(1999年):CXD2654R

MDS-S39
↑MDS-S39

・Type-R:CXD2656

 MDS-JA22ES(1998年)
 MDS-JA33ES(1998年)
 MDS-JE630(1999年)
 MDS-JB930(1999年)
 MDS-JA555ES(1999年)
 MDS-DL1(1999年):CXD2656R i.LINKに対応

----- MDLP対応の壁 -----

・Type-R(MDLP対応):CXD2662R
 ATRAC3に対応

 MDS-S50(2000年)
 MDS-JE640(2000年)
 MDS-JE770(2001年)
 MDS-JB940(2000年)
 MDS-JA333ES(2000年)
 MXD-D3(2000年) CD+MD一体型
 MXD-D5C(2000年) CD5枚+MD一体型
 MXD-D40(2001年) CD+MD一体型
 MDS-PC3(2000年)
 MDS-NT1(2001年) USB以外の入力端子がない
 LAM-1(2001年) CD+MD一体型 USB以外の入力端子がない
 LAM-Z1(2001年) CD+MD一体型(SP付) USB以外の入力端子がない

MXD-D40
↑MXD-D40

・Type-S:CXD2664R
 MDLP対応

 MDS-JE580(2005年)
 MDS-JE780(2002年)
 MDS-S500(2003年)

MDS-S500
↑MDS-S500

 MXD-D400(2003年) CD+MD一体型
 MDS-DAV1(2002年):CXD2664R DVDシステム(DAV-S880/DAV-S550)のオプション
 ONKYO MD-133(2005年) 光デジタル出力なし

MDS-JE580
↑MDS-JE580

2008年に発売されたMDS-JE580は、SONY最後の据置型MDデッキ?

MDS-JE580(2005年) 55,000円
・製造打切年:2009年3月
・補修用性能部品保有期間:8年
・修理対応終了年:2017年3月

2022年10月時点で修理対応終了年は過ぎているが、故障箇所によっては修理を受けてくれる。

関連:[SONY] 製造打切年/補修用性能部品保有期間/修理対応終了年 [オーディオ]

機種選択

上述のように、MD最初期の機種(ATRAC Ver.1.0)は録音時のビットレートが低く音が悪いので、コレクターでもない限りオススメできない。

ステレオでも長時間録れるMDLP(MiniDisc Long-Play mode)対応機種がオススメだが、中古価格が高め。

あと、MDLP対応機はシルバーやゴールドモデルが大半なので、ブラックで合わせている人は困る。

Type-S搭載機は2002年以降の発売であるが、MDが既に衰退期に入っていたため、数が少なく、中古市場でも価格は高い。

光デジタル入力やサンプリングレートコンバーター、その他のポイントについては、以下記事下部「機種選択のポイント」を参照のこと。

関連:[SONY] MDデッキと対応リモコン一覧 [MiniDisc]

関連:[SONY] MDS-S37のレビュー [MiniDisc]

関連:[SONY] MDS-S38のレビュー [MiniDisc]

関連:オーディオ構成/接続図(2021年10月)



2022年10月15日

Posted by nakamura