[SONY] MDS-S37のレビュー [MiniDisc]
MDS-S37(MDレコーダー)
↑MDS-S37(1996年)
MDS-S37:49,000円(1996年)
MDLP非対応
大きさ:幅280×高さ83×奥行270mm
重量:3.3kg
消費電力:13W
録音時の熱でスグ逝く最悪なピックアップであるKMS-210Aが、本機からKMS-260Aに変更され、耐久性が向上している。
関連:[SONY] ピックアップにKMS-210Aが使われている機種 [MiniDisc]
関連:[SONY] ピックアップにKMS-260A/KMS-260B/KMS-260Eが使われている機種 [MiniDisc]
掲載カタログ
1996年8月の「ミニディスクデッキ カタログ」で「新発売」となっている。
フルサイズ版(幅430mm)のMDS-JE500(59,000円)とCD+MDのMXD-D1(77,000円)も、同カタログで「新発売」となっている。
内部
プラスドライバーでカンタンに開けられる。
ELNAのコンデンサが使われてはいるが、ES機ではないので、音質はいたって普通。
設定はコンセントを抜いても保持されるが、この「BT301」により保持されているので、
リセットされてしまうなら、これ(電池)を交換しよう。
↑BT301 1-528-739-11 BATTERY, LITHIUM (VL2020 3V)
VL2020は使い捨てのボタン電池ではなく、充電可能なコイン形リチウム二次電池だ。
使い捨てのCR2020ではないので注意。
電圧は3V、充電電圧は3.25-3.55V。
電池が立つ方向に足が付いている「V型」のものを選択すること。
関連:パナソニック コイン充電池 VL2020 縦型端子付き
上のレビューには、SONYのMDデッキであるMDS-S39(1998年)に使用し、誤動作は解決したとのレビューがある。
ゴムベルトなし(トレイはギア式)
MDLPには非対応だが、モノラル(SP-MONO)には対応しているので、倍の時間の録音が可能。
後述するが、MDのディスクは、2021年時点でもSONYが生産している模様。
背面
光デジタル(IN/OUT) 角型
RCA(IN/OUT)
ヘッドホン端子(3.5mm)が前面にあり、音量調整可能。
サンプリングレートコンバーター(18bit)搭載で、32kHzや48kHzも入力可能。
MDS-S37同様、デジタル入力のレベル調整は不可。
# デジタル入力のレベル調整ができるのはMDS-S40(1999年)以降。
AUバスは、SONYのpixyシリーズの一部や、COMPO Sシリーズがある場合に使うもので、今回は不使用。
操作時のビープ音が気になる場合は、背面のスイッチでOFFにできる。
待機状態で、MDを挿入すると、電源が入る(ディスクイン・オートパワー)。
ディスクを入れたまま電源を切った後(待機状態)で、イジェクトボタンを押すと、電源が入りディスクが排出され、即座に電源が切れる(待機状態)。
電源ONの状態でコンセントを抜き、再度挿すと自動的に電源ONとなる(最後の状態を覚えているいうこと)。
リモコン:RM-D8M
関連:[SONY] MDデッキと対応リモコン一覧 [MiniDisc]
曲の消去(ERASE)
MDデッキで曲を消そうとした時、よくあるのが「リモコンでないと消せない」問題だが、本機は本体のみで消去可能。
というか、リモコンでは消せない(EDITボタンがないため)。
なので、過去に録音したMDのデータ化後に、データを消去し売却するなどの目的で本機を手に入れる場合、リモコンはなくても構わない。
もちろん、全削除(ALL ERASE)も可能だ。
なお、MDS-S39対応のリモコンであるRM-D28Mなら、リモコンでの消去も可能だが、MDS-S37で使えるかは分からない。
インプットモニター機能
各入力に入れている音声を、録音せずにモニターすることが可能(インプットモニター機能)。
1.MDを取り出す。
2.前面のINPUTスイッチで、DIGITALかANALOGを選ぶ。
3.録音ボタンを押す。
ANALOGの場合、背面のLINE INに入れた音が、A/D変換されてDigital OUTに出る。
さらにD/A変換され、LINE OUTとヘッドホン端子に出る。
DIGITALの場合、背面のDigital INに入れた音が、Digital OUTに出る。
さらに、D/A変換され、LINE OUTとヘッドホン端子に出る。
3ヘッドのカセットデッキの「MONITOR」のような機能だが、MDを出しておくのが少し面倒ではあるが。
このモニターをしている時、背面のLINE OUTとDigital OUTからは常時出ている。
この時に前面にヘッドホンを挿しても、そのまま出続ける。
レンズのクリーニング
CDプレーヤー(CDP-S35)同様、天板を外すだけで、ピックアップのクリーニングが可能。
エタノールを付した綿棒で拭くと良い。
マルチジョグダイヤルが接触不良となった場合、エンコーダーに接点復活剤を流し込んで対処する。
CDプレーヤー(CDP-S35)とは異なり、電源をOFFにしても、一次側が切れない(リモコンでONにできる状態)ので、コンセントを抜かない限り、待機電力がかかる点には注意。
録音終了時の注意
録音を開始すると、LINE OUTとヘッドホン端子からソースの音が出るが、残り時間が0(ゼロ)になり録音が終了すると、それらから音は出なくなる。
なので、MDの録音と同時に、LINE OUTやヘッドホン端子の音を他機に入れて録音している場合、他機への入力も止まってしまう(音がない)ので注意。
本機のMDへの録音は最大でも160分(80分ディスクでモノラル録音モード)までだが、それを超えて長時間になると思われる場合、MD録音を補う目的でパソコン(録音時間はほぼ無限)にも同時に録ってそのまま寝たりすることもあるが、160分後、MD録音終了と同時に、パソコンにも無音が入ることになってしまう(=補えておらず失敗)。
この場合は、MDへの録音をせず、ディスクを入れずRECを押してモニターモードにし、パソコンのみに録音すると、160分以上でも録れる。
RM-D10P
本機は、キーパッド・リモートコマンダーであるRM-D10Pに対応している。
ワープロ感覚の使いやすさでダイレクトにタイトル入力できるキーパッド・リモートコマンダー。
・分かりやすいワープロレイアウトの文字キーで、カタカナや英数文字がダイレクトに入力可能。
・TOC EDITがダイレクト操作でより簡単にできる編集ボタン装備。
カタカナ入力専用リモートコマンダー RM-D10P 標準価格:7,500円 (税別)
・対応モデル:MDS-S37、MDS-JE500、MDS-503、MXD-D1、MJ-L1、DHC-MD5(1996年8月現在)
・非対応モデル:MDS-101、MDS-102、MDS-S1、MDS-S30、MDS-S35、MDS-501、MDS-302、MDS-303、MDS-JA3ES、MDS-MX1、Q-bric(CMT-M1)、DHC-MD1、DHC-MD7、DHC-MD9、ZS-M1、PMC-M2、MZ-1、MZ-R3
システムステレオとの組み合わせ
ミニディスクを楽しむおすすめシステム
MDS-S37 + MHC-GT4
・MDS-S37:49,000円(税別)
・MHC-GT4:60,000円(税別)
・組み合わせ標準価格:109,000円(税別)
ピクシーサイズ(幅280mm)、高音質&多機能のMDデッキ。
・国内アーティストの局のタイトル入力などに便利な「カタカナ文字入力」。
・DATや衛星放送からデジタル録音ができる「サンプリングレートコンバーター」。
・ワイドビットストリーム技術を投入した「高音質設計」。
(「SONY システムステレオ 総合カタログ 1996年8月」に掲載)
幅280mmの組み合わせ
本機と同じ幅(280mm)であるCDP-S35(CDプレーヤー)と組み合わせると、デザインも近く非常に良い。
↑上がCDP-S35、下がMDS-S37
関連:[SONY] CDP-S35とMDS-S37 [CD/MD]
1995年発売のCDP-S35と完全にマッチするのは、1996年発売のMDS-S37ではなく、CDP-S35と同年発売のMDS-S35なのだけど。
↑MDS-S35(1995年発売)
関連:[SONY] MDデッキと対応リモコン一覧 [MiniDisc]
関連:[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]
「幅280mm」のMDデッキ
この「幅280mm」のMDデッキは、カセットデッキのように毎年出ていて、
・MDS-S30(1994年発売) 59,000円
ATRAC Ver.3.0
消費電力:13W
・MDS-S35(1995年発売) 54,000円
ATRAC Ver.3.0
消費電力:13W
・MDS-S37(1996年発売) 49,000円
ATRAC Ver.4.0
ワイドビットストリーム技術
A/Dコンバーター:16bit
サンプリングレートコンバーター(32kHz/48kHz)
消費電力:13W
・MDS-S38(1997年発売) 46,000円
ATRAC Ver.4.0
A/Dコンバーター:20bit
2系統の光デジタル入力端子
消費電力:13W
デジタル入力は2系統あり、前面右下のスイッチで切り替えられる(OPT1/OPT2/ANALOG)が、海外モデルのMDS-S38は、デジタル入力が1系統しかないものがある模様。
・MDS-S39(1998年発売) 44,000円
ATRAC Ver.4.5
A/Dコンバーター:20bit
2系統の光デジタル入力端子
PCリンクに対応(PCLK-MN10要)
消費電力:11W(前機種より2W減少)
デジタル入力は2系統あり、前面右下のスイッチで切り替えられる(OPT1/OPT2/ANALOG)が、海外モデルのMDS-S39は、デジタル入力が1系統しかないものがある模様。
・MDS-S40(1999年発売) 39,000円
ATRAC Ver.4.5
A/Dコンバーター:20bit
デジタルRECレベル調整可能(ゲイン0dBを中心として-∞dBから最大+12dBまで)
アナログRECボリュームツマミが消失(リモコンかメニューに入ってやる必要がある)
FL管が小さくなり、表示内容も大幅減少(ミュージックカレンダーも消失)
2系統の光デジタル入力端子
PCリンクに対応(PCLK-MN10要)
消費電力:7W(前機種より4W減少)
・MDS-S50(2000年発売) 39,000円
ATRAC TYPE-R MDLP対応
A/Dコンバーター:24bit
デジタルRECレベル調整可能(ゲイン0dBを中心として-∞dBから最大+18dBまで)
2系統の光デジタル入力端子
PCリンクに対応(PCLK-MN10要)
消費電力:9W(前機種より2W上昇)
デジタル入力は2系統あるが、海外モデルのMDS-S50にはデジタル入力が1系統しかなく、かつ、デジタル出力がないものがある。
と続いたが、MDS-S38でデザインが劣化、MDS-S40やMDS-S50は最悪となった。
↑MDS-S30(1994年発売)
↑MDS-S35(1995年発売)
↑MDS-S37(1996年発売)
↑MDS-S38(1997年発売)
↑MDS-S39(1998年発売)
↑MDS-S40(1999年発売)
↑MDS-S50(2000年発売)
MDS-S50でMDLP(MiniDisc Long-Play mode)に対応したが、MDS-S40同様デザインが最悪で、FL管も大幅劣化!
1994年発売のMDS-S30では59,000円だったのが、徐々に下がり、2000年発売のMDS-S50では39,000円と、2万円も下がったことにも注目されたい。
また、「幅280mm」には、1997年発売のMDS-PC1(54,000円)があるが、
デザインがパソコン寄り過ぎで、オーディオ機器としては見た目がダメ。
さらに横幅の狭い(幅225mm)シリーズもあるが、
・MDS-101(1993年発売) 96,000円
SONYの据置型MDデッキの第1号機
ATRAC Ver.1.0
時計内蔵
消費電力:17W
・MDS-102(1994年発売) 86,000円
ATRAC Ver.2.0
消費電力:15W(前機種より2W減少)
↑MDS-101(1993年発売)
↑MDS-102(1994年発売)
MD最初期の機種(ATRAC Ver.1.0)は、録音時のビットレートが低く音が悪い。
関連:[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]
なお、MDS-101は、SONYの据置型MDデッキの第1号機であるが、MDレコーダーの第1号機は、ポータブル型のMZ-1(1992年11月1日発売,79,800円)である。
対応リモコン
RM-D1M対応機
・MDS-101
・MDS-102
リモコンのデザインが古い。
RM-D3M対応機
・MDS-S30
リモコンのデザインが古い。
RM-D4M対応機
・MDS-S35
リモコンのデザインが古い。
現代風のデザインに変化。
ボタン2個追加。
RM-D30M対応機
・MDS-S40
スリムに変化。
一部キーが変化。
SONYのその他の機種の対応リモコンは、以下参照のこと。
関連:[SONY] MDデッキと対応リモコン一覧 [MiniDisc]
ATRACのバージョン
機種とATRACのバージョンの関係については、以下参照のこと。
関連:[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]
MDデッキの修理
MDS-S37のメカ部(ピックアップ含む)が逝った場合は、以下のメカ部を移植する方法がある。
メカ部同一機
・MDS-S38(1997年発売)
・MDS-JE700(1996年発売)
・MDS-MS77(1996年発売) 単体使用不可機
同一か不明
・MDS-S39(1998年発売) PUはKMS-260Aで同じ
・MDS-S40(1999年発売) PUはKMS-260Aで同じ
移植不可
・MDS-S30(1994年発売) PUはKMS-210
・MDS-S35(1995年発売) PUはKMS-210
・MDS-S50(2000年発売) PUはKMS-260B MDLP対応
MDS-MS77はコンポとセットでしか使えず(単体使用不可)、コンセントもないので、安価に手に入る可能性が高く、メカ取りには狙い目。
KMS-260A
本機のピックアップ(Optical Pick-Up)は「KMS-260A」である。
メカは正常で、ピックアップだけを交換する場合、KMS-260Aを手に入れる必要がある。
2023年8月時点に於いて、新品のKMS-260Aを手に入れるのは困難であり、他機から移植することになろう。
以下に、KMS-260Aが使われているとされる機種を挙げておく。
関連:[SONY] ピックアップにKMS-260A/KMS-260B/KMS-260Eが使われている機種 [MiniDisc]
レーザーパワー参考値
・CD再生:0.4mW
・MD再生:0.9mW
・MD録音:7.0mW(最大)
・MD録音(4倍速):8.4mW(最大)
つまり、録音時には再生時の7.7倍ものパワーが必要であり、録音が多いとピックアップはスグに逝く。
ピックアップが劣化すると、出力低下で加熱ができないため録音が不可となり、次いで再生も不可、そしてディスクが認識できなくなる(DISC ERROR)。
ピックアップは消耗品で、この世から正常なピックアップが消失した時、MDはめでたく滅亡となる。
その戦犯は、スグにピックアップが逝くMDを広め、その後知らんふりのSONYに他ならず、東●(トージョー)同様の極刑が妥当である。
MDのメディアは、2021年時点でも、SONYが一種だけ(MDW80T)ではあるが、生産している模様。
関連:MDW80T×5枚組
ソニーストアでは税込385円、アマゾンだと330円前後で入手可能。
録音済の古いMDディスクでも、消去すれば再び使え、カセットテープのような劣化もない(理論上では100万回以上の書込み・読込みが可能)ので、
関連:MDディスクの寿命は? (SONY)
不要なディスクがあれば、それを使うのも良い。
メディアは堅牢でも機器が軟弱では意味なし!SONYは間違いなく戦犯、よって●條(トージョー)同様の極刑が妥当である。
中古の本体は嫌!新品が欲しい!という場合、TEACのMD-70CDがある。
MDLPにも対応しているが、既に生産終了となっている(2020年12月で販売終了)。
弊社(TEAC)には「録音と再生の技術で今と未来をつなぐ」というポリシーがあります。
他社がMDオーディオ事業から撤退していくなか、我々まで生産・販売を辞めてしまうと、MDを聴けなくなってしまうので、できる限り続けたいという思いがありました。
そのため、(MD-70CDの)生産に必要な部品を買い溜めして細々と続けていたのですが、その在庫が底を尽き、2020年12月で販売を終了することになりました。
関連:「辞書からも削除」MDは完全に消えてしまうのか「最後のMDメーカー」に聞く (ラジオ関西)
このMD-70CD、在庫限りなので、適価で手に入るなら、入手しておきたい。
関連:[SONY] MDS-S38のレビュー [MiniDisc]
関連:[SONY] MDデッキの再生が歪(ひず)む現象 [MDS-S37/MDS-S38]
関連:[SONY] CDP-S35(1995年発売)のレビュー [CDプレーヤー]
関連:[SONY] CDP-597(1991年発売)のレビュー [CDプレーヤー]
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