[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]

2022年11月20日

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ゴムベルトが使われているカセットデッキは、ゴムベルトが加水分解で伸びて溶けて動作しなくなる。
空気に触れていると加水分解するので、未使用品であっても、古いカセットデッキだと交換が必要である。

ゴムベルトの劣化

ゴムベルトは劣化するものなので、それは仕方がない。

伸びた/切れた/溶けたゴムは、交換すればよい。

切れたら動作しなくなるのは当然だが、少し伸びたくらいだとどうなるか。

モードベルトなら、動作が切り替わらないことがあり、再試行すると切り替わるとか。

その程度なら、昭和のオカン/オバチャンのように、叩くと一時的に直ることもあろう。

動かないからと言って、謎の液体を内部に噴射するのは厳禁!

キャプスタンベルトなら、テープ速度が不安定になったり、片方の頭でテープ速度が低下するなど。

関連:[SONY] 反転すると速度低下する不具合 [TC-RX77]

ES機のゴムベルトであるのが、表面がサラサラになっているもの。

肌触りは非常に良いのだが(笑)、抵抗が生まれないので、滑ってしまう。

その状態で少しでも伸びると、何かに擦(す)るような「謎の異音」が出ることもある。

恐らく、フライホイールをサラサラのゴムベルトが「撫(な)でる」ことにより、細かい振動が生じているのだろう。

ゴムベルトは、緩(ゆる)いよりはキツめを選んだ方が良いが、限度はある。

ゴムベルトがキツいと、回転の際に抵抗になり、モーターに悪影響を与えるからだ。

ゴムベルトの交換後は、モーターの速度調整が必要になる機種もある。

古いゴムベルトにヤスリをかけて摩擦力を上げるという方法は、磨いたところで縮むわけではないし、磨く際にゴムを伸ばしてしまうことがあるので、交換した方が確実。

ゴムベルトの入手先

キャプスタンベルト(1本):2DMG-T6JB:ゴムベルト(平) φ70×0.5×5 ←折長110mm
税込336円(2022年10月時点)
326円(2017年12月)

キャプスタンベルト(1本):EEHD-0PP6:ゴムベルト(平) φ65×0.5×5 ←折長102mm
税込336円(2022年10月時点)

モードベルト(1本):4DPG-S6JL:ゴムベルト(角) φ22×1.6T
税込210円(2022年10月時点)
「仕入価格が大幅に上がった」ため、2022年7月より値上げされた。
163円(2017年12月)

角ベルト複数入(33本以上):ゴムベルト カセットレコーダー修理・保守・交換用
税込650円(2022年10月時点)
φ22のモードベルトや、TCM-170採用機(後述)のキャプスタンベルトに使えるものが入っていた。

ES機

TC-K222ESG(1989年発売)以降に使われているのは、キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

TC-K222ESG/TC-K333ESG/TC-K555ESG
TC-K222ESL/TC-K333ESL/TC-K555ESL
TC-K222ESA/TC-K333ESA/TC-K555ESA
TC-K222ESJ/TC-K333ESJ/TC-K555ESJ
TC-KA3ES/TC-KA5ES/TC-KA7ES

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

・キャプスタンベルト:2DMG-T6JB ゴムベルト(平) φ70×0.5×5 ←折長110mm
・オリジナル:3-564-088-00(BELT(2),CAPSTAN) ←TC-K222ESG(1989年発売)
・オリジナル:3-364-600-01(BELT CAPSTAN) ←TC-K222ESJ(1993年発売)

純正ゴムベルト_TC-K222ESA
↑純正ゴムベルト TC-K222ESA(1991年)

5mm幅がない時は、4mmでも問題ない。

互換ゴムベルト(4mm)_TC-K222ESA
↑互換ゴムベルト(4mm) TC-K222ESA(1991年)

・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

なお「φ70×0.5×5」とは、直径70mm、厚さ0.5mm、幅5mmの意味である。

TC-200系(TC-K700S/TC-K710S)

キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

廉価3ヘッド機は、ES機とは異なり、キャプスタン(フライホイール)が片方(向かって右側)しかないので、キャプスタンベルトが若干小さい点に注意。

・EEHD-0PP6 ゴムベルト(平) φ65×0.5×5 ←折長102mm
・オリジナル:3-356-744-01 BELT(CAPSTAN V)

3mm幅は、モーターのプーリー部分で中央からズレるので、推奨しない。

・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

TC-K700S(1993年発売)
TC-K710S(1995年発売)

TCM-CMAY系

使われているゴムベルトは1本だけである。

平ベルト 折長105mm(=直径67mm)

TC-R502(1986年)
194 3-391-134-01 BELT, MAIN

フライホイールとゴムベルト_TC-R502

関連:[SONY] TC-R502(1986年発売) レビュー [カセットデッキ]

TC-R303(1987年)
145 3-391-107-01 BELT, MAIN

関連:[SONY] TC-K501ESとTC-R502の比較 [オートリバース]

関連:[SONY] TC-R302とTC-R303の比較 [オートリバース]

TCM-170系(TC-RX5x)

TC-RX50(1988年発売)
TC-RX51(1988年発売)
TC-RX55(1989年発売)

使われているゴムベルトは1本だけである。

ゴムベルト_TC-RX55
↑TC-RX55

・角ベルト 断面1mm 折長110mm(=直径70mm)

以下のセットの中に何本か入っていた。

関連:ゴムベルト カセットレコーダー修理・保守・交換用

他機とは異なり、平型ベルトでは「ない」ので、この3機種はワウ・フラッターが悪い。

B面再生時にテープ速度が落ちがちなので、若干キツ目でも良いかもしれない。

交換方法は、以下参照。

関連:[SONY] TC-RX50(1988年発売)のレビュー [カセットデッキ]

TCM-200系(TC-RX7x/RX7xx)

キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

・キャプスタンベルト:2DMG-T6JB ゴムベルト(平) φ70×0.5×5 ←折長110mm
・オリジナル:3-356-730-01 (CAPSTAN R2)

3mm幅は、モーターのプーリー部分で中央からズレるので、推奨しない。

・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

TC-RX70(1990年発売)
TC-RX77(1991年発売)
TC-RX79(1992年発売)
TC-RX711(1993年発売)
TC-RX715(1994年発売)

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

TC-RX70(1990年発売)以降のRX7x/RX7xxは、ほぼ共通のメカ(TCM-200シリーズ)なので、キャプスタンベルトも同じ。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

点字図書機(TC-RX1000T/TC-RX2000T)

全国点字図書館協議会推奨のカセットデッキで、使われているのは、キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

・キャプスタンベルト:2DMG-T6JB ゴムベルト(平) φ70×0.5×5 ←折長110mm
・オリジナル:3-356-730-01 (CAPSTAN R2)

3mm幅は、モーターのプーリー部分で中央からズレるので、推奨しない。

・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)
TC-RX2000T(2003年発売)

TC-RX2000Tはオートリバース機ではないが、フライホイールが2個あり、キャプスタンベルトはTC-RX1000Tと同じ。

TC-RX2000T_カタログ
↑TC-RX2000T(2003年発売)

関連:[SONY] TC-RX2000T(2003年発売) レビュー [全国点字図書館協議会推奨]

TC-RX300

キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

TC-RX300(1996年発売)

2ヘッドのオートリバース機であるが、TC-RX7x/RX7xxとはメカが異なるので、キャプスタンベルトは小さめ。

・キャプスタンベルト:EEHD-0PP6 ゴムベルト(平) φ65×0.5×5 ←折長102mm
・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

TC-WR705S

電動式ではないダブルデッキで、キャプスタンベルトとモードベルトの2本。

TC-WR705S(1994年発売)

・キャプスタンベルト:EEHD-0PP6 ゴムベルト(平) φ65×0.5×5 ←折長102mm
・オリジナル:3-359-417-01 平ベルト φ67.2×0.5×4

なお、ダブルデッキで開閉が電動式(メカがTCM-200シリーズ)のものは、800番台及び900番台の一部のみ。

ダブルデッキ

テープ窓が緑に光り、電動扉のモデル(800番台と900番台の一部)は、メカデッキがTCM-200なので、ベルトはTC-RX7x/RX7xxと同じ。

TC-WR820(1990年)
・TC-WR870(1991年)
TC-WR990(1992年)
TC-WR905S(1994年)
TC-WR965S(1995年)
・SRP-CT3W(TC-WR965Sの業務用バージョン)

・キャプスタンベルト:2DMG-T6JB ゴムベルト(平) φ70×0.5×5 ←折長110mm
・モードベルト:4DPG-S6JL ゴムベルト(角) φ22×1.6T

メカが2台搭載なので、必要なベルトの本数も倍となる。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

モードベルト

モードベルトは、以下の小袋の中のが使える。

関連:ゴムベルト カセットレコーダー修理・保守・交換用

φ22でなくても、φ20でも問題ない。

千石電商なら、太さは1.6mm角となるが、もう少し細い(1.2mmあたり)方が外れにくいので良。

折長

折長(おりちょう)は、円形のゴムベルトを2ツに折って、その長さを測ったもの。

円形ベルトの直径を正確に測るのは難しい(キレイな円を作れない)ので、折長というものがあるのだ。

ゴムベルトの折長

折長、円周、直径には、以下の関係がある。

・折長×2=円周
・円周÷π(3.14)=直径

・直径×π(3.14)=円周
・円周÷2=折長

つまり、

・直径70mmだと、円周は219.8mm、折長は109.9mm
・直径65mmだと、円周は204.1mm、折長は102.05mm

となる。

厳密には、ゴムベルトの厚みを考慮する必要があるが、カセットデッキに於いては無視してよいレベルだ。

ベルトの大きさ

モードベルトはテープ走行に関係ないので、少し小さめのφ20でも問題ないが、キャプスタンベルトはテープ走行に影響を与えるので、大きさは上記に合わせたい。

φ70の箇所にφ65を使っても動作はするが、係る部品(モーターやキャプスタン)に負荷がかかり、異音や故障、寿命低下の原因になりかねない。

バンコードで自作

バンコード(丸ベルト)とは熱可塑性ポリウレタンでできたベルトで、加熱により簡単かつ強固に接合できるので、必要な長さのベルトが自由に作れる。

モードベルトをバンコードで自作する場合は、断面直径1.5mmのを75mmに切ったものを接合すると良い感じ。

円周75mm÷3.14=23mm(直径)

はんだごての先端にカッターの刃を取り付けて熱が伝わるようにし、刃を両端で挟むようにして溶かし、速やかにスライドして溶着する。

当然ながら、断面が円形なので、モードベルトは使えるが、キャプスタンベルトには使えない。

関連:バンコード 断面直径1.5mm 長さ5m

ベルト交換前

劣化したゴムベルトを除去する必要がある。

伸びている程度であれば除去は容易だが、溶けていると除去は苦労する。

以下に挙げるパーツクリーナーを染み込ませたティッシュで念入りに除去すること。

溶けたゴムが手や周囲に付くと困るので、新聞紙などを敷き、ゴム手袋などをするとよいだろう。

モードベルトを掛けるプーリーは溝が狭いので、綿棒にパーツクリーナーを染み込ませて除去する。

除去が不完全だと、新たに掛けたゴムベルトに付いて滑る原因となるので、できるだけ除去しておきたい。

関連:KURE パーツクリーナー プラスチックセーフ

ベルト交換後

キャプスタンベルト交換後、キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK)の背面にある可変抵抗を回して速度を調整する必要がある。

variable resister

TC-RX1000Tは、モーターが別型(MMI-6H2LWK)であり、背面に可変抵抗はない。

別基板にある可変抵抗を回して速度を調整する。

クォーツロックサーボのES機やTC-K710Sは、調整する必要がないので楽。

速度調整に関しては、以下のページを参照のこと。

関連:[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK) [カセットデッキ]

中華ゴム

1袋に大量に入っている中華製ゴムベルトは、材質が不均一でムラがあり、キャプスタンベルトに使うとワウ・フラッターが大きいので避けた方が良いが、




1本で250円程度の「高級な」中華製は、千石電商のものと大差なく、優秀。

テープ走行に関係のないモードベルトは、激安中華製でも問題ない。

同じく、ゴムが劣化するピンチローラーも、交換しておこう。

関連:[SONY] ピンチローラーの交換(型式と大きさ) [カセットデッキ]

関連:[SONY] カセットデッキの修理について [サービスセンター]



2022年11月20日

Posted by nakamura