[SONY] DTC-790のレビューと修理 [DAT]
DTC-790は、1995年に発売された、SONYのDAT(Digital Audio Tape)デッキである。
↑DTC-790(1995年) 75,000円
1993年に同価格で発売されたDTC-690の後継機である。
↑DTC-690(1993年) 75,000円
メカが左から中央になったので、好みが分かれそうだが…
SBMデジタルフィルター
SBM(スーパービットマッピング)デジタルフィルターでは、可聴帯域内に均一に分布する量子化ノイズを人の聴感特性上耳につきにくい高域へシフトするとともに、通常は切り捨てられる下位4ビットの情報をノイズシェイピングの原理を利用して上位16ビットへ繰り込み、大幅なノイズ低減を実現しています。
また、内蔵のデシメーションフィルター部で折返し雑音を低減するとともに、SBM部でデシメーションフィルターから出力される24ビットデータの情報量を、ほぼそのまま16ビットデータに変換し、高品質な録音を実現しています。
とのことだが、聴いて分かるのかは不明(笑)
INPUT/REC MODE/SBM
・INPUT:ANALOG/OPTICAL(光デジタル)/COAXIAL(同軸デジタル)
・REC MODE:STANDARD(48kHz/44.1kHz)/LONG
・SBM:ON/OFF
なお、本機の光デジタルは角型である。
関連:角型 光デジタルケーブル
背面
・光デジタル:入力×1、出力×1
・同軸デジタル:入力×1
・ライン(RCA):入力×1系統、出力×1系統
上位機種(DTC-57ES/DTC-59ES/DTC-59ESJ)とは異なり、同軸デジタルの出力は無い点に注意が必要。
ヘッドホン端子
標準サイズ(6.3mm)×1、金メッキ端子。
音量調整は手で摘んで回す必要があり、リモコンでの調整は不可。
レコーディングモード
入力信号と録音時のREC MODEの位置と録音結果の関係。
録音モードを設定する
次の2つの時だけ、録音モードを変えることができます。
・アナログ入力で録音する時
・デジタル入力かつサンプリング周波数が32kHzの時
「Long play」は「Standard play」の2倍の長さの録音ができるので、AMラジオのような音質に拘らない用途に向く。
デジタルの44.1kHzや48kHzで入れた場合は、REC MODEを「LONG」にしていても、長時間録音はできない?
勝手に32kHzに変換してLPにはしてくれないのか?
PCからUSBオーディオインターフェイスから光デジタルで出力する場合、再生の設定で32kHz、44.1kHz、48kHzの選択が可能。
Windowsでは、
・16ビット、32000Hz:FMラジオの音質
・16ビット、44100Hz:CDの音質
・16ビット、48000Hz:DVDの音質
と表現している。
PCによってはそれ以上(96kHzや192kHz等)も設定可能だが、本機で受けられるサンプリング周波数は、この3種類のみ。
PCからのデジタル出力→本機のデジタル入力の場合でも、曲間が短いとトラック番号が振られない(START IDが付かない)ことがあるので、再生ソフトの設定で曲間を開けること。
例えば、foobar2000の場合だと、Affix silenceというコンポーネントを入れると曲間をミリセカンド単位で設定できる。
3秒(3000ミリセカンド)程度で大丈夫だろう。
PCからUSBオーディオインターフェイスを通して録音する場合、画面オフの設定があると、オフの瞬間にノイズが載る場合があるので、
なし(オフ)にするか、録音時間を超えた時間を設定しておくこと。
長時間録音
入力するサンプリング周波数を自動検知するので、デッキ側でのサンプリング周波数の切り替えは必要ないが、2倍長となる長時間録音をする場合は、REC MODEを「LONG」にする必要がある。
PCの出力を32kHzにするだけでは、32kHzのStandard playとなり、録音時間は長くならない。
・標準(SP) 48kHz 16bitリニア 2ch 8.15mm/s
・標準 44.1kHz 16bitリニア 2ch 8.15mm/s
・オプション1 32kHz 16bitリニア 2ch 8.15mm/s
・オプション2(LP) 32kHz 12bitノンリニア 2ch 4.075mm/s
関連:DAT (Wikipedia)
上表にあるように、テープ速度が遅くなる(=長く録音できる)のは、オプション2(32K LP)の時だけである。
32kHzで入れた場合に自動的にLPにしてくれれば親切なのにとも思ったが、LPとそれ以外には、12ビットか16ビットか、ノンリニアかリニアかの差があるので、32kHzで入れたからといって勝手にLPにはしないのだろう。
さぁ!「32K」と「32K LP」を録り比べてみて、差が分かるのかチェックだ!
・CDとカセットテープの差:分かる
・CDとMDの差:?
・PCでの44.1kHzと48kHzの差:?
「ハイレゾ」と書いてあったら、音が違う気がする界隈?
2千円のスピーカーケーブルと10万円のスピーカーケーブルでは、音が違う気がする界隈?
デッキの脚を変えたら、音が違う気がする界隈?
「このデッキには、音色がありません。」(笑)
CAUTION
電源は入るが、FL管に「 CA UT IO N 」と表示され、操作不能。
何が「CAUTION(注意)」だ! 😠😡😠😡
開閉はできるのでテープを入れたのだが、取り出せなくなった(笑)
以下、「ソニータイマー」に係る重大次項/事件/案件/事案連発に付き、閲覧注意!
開閉用ゴムの劣化
側面のネジ4つを外し、天板を開ける。
メカ部の左側面にある開閉用ゴムが劣化し、亀裂が入っていた。
以下のセットから、適した長さのものを選んで交換。
幸い、テープはロードされていないので、開閉用ゴムを交換するか、左側面の大きなプーリーを手で回すと、テープは救出可能である。
固着したグリス
ケースからメカ部を取り出す。
写真左上にある4つのギアが全く回らず動作不能。
原因はグリスの固着なのだが、グリスではなく接着剤ではないのか(笑)と思うほど固く、ガチガチで全く回らない。
パーツクリーナーを軸に吹きかけてゆっくりと丁寧に根気よく焦らず気長に延々と回していると、固まったグリスが溶けて徐々に回るようになるので、ギアを軸から引き抜く。
パーツクリーナーを染み込ませた綿棒で軸だけでなくギアの穴も念入りに清掃し、
グリスを完全に除去する。
リールも分解し、同様にグリスを完全に除去する。
リール分解の際は、小さなナイロンワッシャーがあるので紛失に注意。
リールの穴も念入りに清掃。
グリスを完全に除去した後は、粘度低め(これ重要)のセラグリスを塗布する。
関連:タミヤ セラグリスHG
1年以内に固まると保証期間内で無償修理しないとならないので、完成後1年数ヶ月で固まり始めるよう、極秘の調合(笑)を施した秘伝の接着剤(笑)だと推測される。
割れて脱落する留め具
出た~!SONY史上最強/最凶/災狂と言われる(仮)、絶対に割れて脱落するギア固定用の留め具(笑)
この留め具は、メカ部に多数使用されているが、
上の赤矢印で示した2箇所の留め具が絶対に割れて脱落し、メカ不動となる。
・312 3-368-398-01 BUSHING
取り敢えず、留め具を、はんだごての熱で溶かして再利用する手もあるが、割れていない側も溶かさないと、今度はそちらが割れるのは容易に推測できる。
留め具の再利用ではなく、薄いプラ板を小さく切り、中央に穴を開けたワッシャーを作って止めるか、極小Eリングで止めるべきだろう。
↑黒いのが極小Eリング
このEリングは金属製なので、割れて脱落することはない。
Eリングのサイズだが、内径(d)が1.5mmの、寸法コードだと「11015」のもの。
板厚(t)は0.4mmだ。
関連:Eリングセット ブラック
関連:Eリングセット シルバー
シルバー(銀色)かブラック(黒色)かは、見えない箇所なのでどちらでもいい(笑)
こんな小さなEリング、持っていても、他で使うことはないだろうね…
留め具を3Dプリンターで作った人もおり、各員、様々な方法で「ソニータイマー」を無効化している!
こんなもの、最初からナイロンワッシャーを使えば割れないし、コスト的にもナイロンワッシャーの方が安いだろう?
脱落箇所のすぐ傍に、ナイロンワッシャーが使われているが?
つまり、割れる留め具の採用は、確実に「ソニータイマー」を発動させるための、絶対に間違いなく意図的なものである。
割れるレール
テープを引き上げる機構が通る黒いレールがプラスチック製であり、劣化で割れ、レールの移動に引っ掛かり発生し、動作不能。
写真下部に見切れている白いバーを左右に動かして引っ掛かる場合は、抵抗なく動くよう、ヤスリで削って抵抗をなくすこと。
綿密に数多(あまた)仕掛けられたSONYの罠が、連続かつ同時に、執拗な波状攻撃によりキミを次々と襲う!(意味不明)
タクトスイッチの不良
ボタンを押しても効かなかったり、意図しない動作をする場合は、タクトスイッチの不良だ。
前面パネルを外し、その裏にある基板を外す。
スイッチを交換すべきだが面倒なので、例の如く接点復活剤を流し込み、ボタン連打で処理。
ついでに、FL管の表面と、内窓を拭いておく。
使用環境によっては、黒く汚れている場合があり、FL管が暗く見える原因となる。
関連:[SONY] DATデッキのFL管 [INDICATOR TUBE]
ボリューム
ボリューム(音量調整)にガリが出ており、回すとバリバリ!
ボリュームを分解して清掃する人もいるだろうが面倒なので、やはり例の如く接点復活剤を流し込み、ボリュームグルグルで処理。
REC LEVEL
アナログのREC LEVELにガリがある場合は、ボリューム(音量調整)と同様、接点復活剤を流し込みグルグルで処理だが、デジタル録音しかしておらず、アナログについては未確認である。
だが、ほぼ確実にREC LEVELにもガリがあると推測される。
ピンチローラー
ピンチローラーが劣化して固くなっている。
固くはなっているが、面はピカピカではないので、ギリギリセーフかといえば、アウトかもしれない(謎)
ハンダ割れ
背面の入出力端子など、力のかかる部分にハンダ割れがないかを確認し、ある場合はハンダを盛っておく。
せっかく基板を外したのだから、ハンダ割れがなくとも、ハンダを盛っておくべきだろう?
前機種であるDTC-690の場合は、基板左奥にある、放熱のためにアルミ板に固定されているパワートランジスタにハンダ割れが多発するので必ずチェックを。
コンデンサを交換
2年前(1993年)の前モデルであるDTC-690や、同年(1995年)の上位機であるDTC-59ESJでも、コンデンサの劣化よる不具合が生じている。
該当箇所は、以下の2箇所。
・RF AMP BOARD
・DRUM DRIVE BOARD(ドライブ基板)
結論から言うと、当方所有のDTC-790は、双方とも問題なかった。
DTC-790では、劣化している個体は少ないかもしれないが、予防措置として交換しておくと良いだろう。
RF AMP BOARD
RF AMP BOARDは、メカ部の向かって右後方にある。
ここのコンデンサが劣化すると、液漏れが発生し、再生音にノイズが混じったり、音が出なかったりする。
表側には、調整用の穴がある。
裏側の4点で鉄ケースに止められている。
鉄ケースでシールドされており、ハンダで止められているので開けるのが面倒だが、非常に重要な部分なので、チェック必須。
ケースを開けてみて、コンデンサの脚のハンダが変色していれば液漏れが発生しているので、交換が必要。
↑本個体の場合は問題ない
放置していると液漏れが進み、電解液により基板が破壊され面倒なことになるので、その前に交換しておくと良いだろう。
使われているのは、表面実装型の電解コンデンサである。
・22uF×5個
・4.7uF×1個
↑RF AMP BOARD:1-639-300-XX
・C1:1-124-778-00 ELECT CHIP 22uF 20% 6.3V
・C8:1-124-778-00 ELECT CHIP 22uF 20% 6.3V
・C9:1-124-778-00 ELECT CHIP 22uF 20% 6.3V
・C15:1-124-778-00 ELECT CHIP 22uF 20% 6.3V
・C22:1-126-603-11 ELECT CHIP 4.7uF 20% 35V
・C25:1-124-778-00 ELECT CHIP 22uF 20% 6.3V
# ここでの「CHIP」は表面実装型のこと。
頭の直径は、約3.8mm。
アルミ電解コンデンサに交換しても、当然問題ないのだが、
ケース内に収めるために脚を曲げて設置する必要があり、コンデンサは6個もあるので、かなり窮屈で、作業が面倒となる。
↑何とか収まると思われるが…
ここで、チップ型セラミックコンデンサを使用すると、作業が大幅に楽になる。
↑下がチップ型セラミックコンデンサ
今回の作業に適するサイズは、以下の通り。
1210(inch)=3225(mm)=3.2×2.5mm
「0603」などの、これより小さいものは端子に届かず、長くても不適となる。
「1206」は長辺が「1210」と同じなので使用可能。
関連:セラミックコンデンサ 1pF-22uF 1206 50V
元からあるコンデンサは表面実装型なので、除去が難しい。
ハンダごてで外そうとすると過熱となってパターンを壊す可能性があるので、ニッパーで破壊した方が安全かつ楽である。
頭をニッパーで「縦に」切って破壊→プラスチックの基台を割って除去→残った脚をハンダごてで除去
↑除去した脚
切った時に電解液が出てくるので、パーツクリーナーで拭き取っておく。
脚を除去したら、ハンダ吸取線でハンダを除去、パターンをクリーナーで清掃する。
ハンダを除去しないと、セラミックコンデンサが古いハンダの上に乗り、浮いてしまう。
↑清掃後
清掃して平らになったパターンに、セラミックコンデンサを取り付ける。
アルミ電解コンデンサとは異なり、セラミックコンデンサには極性は無いので、向きを気にする必要はない。
手順:片方のランドにハンダを盛る→盛った方をハンダで仮止め→もう片方をハンダ付け→仮止めの方をハンダ付け
セラミックコンデンサを使うことで、アルミ電解コンデンサの脚の長さを測り、曲げて、切って…という面倒なことは回避でき、スマートに仕上がる。
関連:セラミックコンデンサ 1206 10pF-22uF 50V
22uFをセラミックコンデンサ、4.7uFを二本脚のセラミックコンデンサとしても良い。
4.7uFを二本脚のセラミックコンデンサとする場合、スペースの都合上、IC(A1364R)の上に寝かせることになるだろうが、カプトンテープで絶縁をキッチリしておけば問題ない。
アルミ電解コンデンサをセラミックコンデンサに置き換えて問題ないのか?ということだが、問題ないだろう。
RF AMP BOARDにはセラミックコンデンサも使われているのに、この6個だけがアルミ電解コンデンサなのは、アルミ電解コンデンサとする意味があるからでは?という質問だが、それは単に当時(1995年)、4.7uFや22uFといった大きな静電容量のセラミックコンデンサがなかっただけである。
このパーツリストを見ると分かるが、「CERAMIC CHIP」は、全て静電容量が小さく、最大でも2.2uF(C28)止まりである。
その後の超精密加工技術のさらなる発展により、セラミックコンデンサは、1608Mサイズ(1.6×0.8mm)で100uFのものが開発され、既に量産されている。
関連:世界初、1608Mサイズで最大静電容量100uFの積層セラミックコンデンサの量産を開始 (村田製作所, 2024年7月25日)
# 大きさは「1.6×0.8mm」であり、上記で取り付けた「3.2×2.5mm」よりも小さい。
100uFの静電容量を持つ積層セラミックコンデンサは、2012Mサイズ(2.0×1.2mm)は存在していたが、実装面積比で約50%の小型化、従来製品(47uF)と比べ、約2.1倍の大容量化を実現した。
定格電圧は2.5Vdcと低いが(定格電圧4Vdcで使用温度が最大85℃の製品は2025年の量産開始予定)、大きさが大きく静電容量の低いものなら、耐圧が高いものはいくらでも存在している。
なお、RFアンプ部のコンデンサの交換は、SONYのDATでは多くの機種で必須である。
↑DTC-55ESのRFユニット基板
関連:[SONY] DTC-55ES(1990年発売)のレビューと修理 [DAT]
当時、このような大容量のセラミックコンデンサがあれば、アルミ電解コンデンサの液漏れで死亡という「ソニータイマー」は存在しなかっただろうと言いたいところだが、固着するグリス、欠けるギア、割れて脱落するギア固定用の留め具、加水分解でボロボロになって散り、ドラムヘッドを破壊するスポンジクリーナーといったあらゆる手段を駆使して故障するように仕掛けてくるので、技術の発展如何にかかわらず、どのような未来であっても、「ソニータイマー」は絶対に存在する!
製品寿命を人為的に制限したり、わざと脆弱な設計にすることで、ある一定の期間後に製品が陳腐化するように方針を立てたり、設計する。
その期間を過ぎると、製品は徐々に機能しなくなったり、突然機能しなくなったりする。
この戦略の背後にある理論的根拠は、買い替えサイクルを短縮することで長期的な販売量を増やすことである。
また、これは製品の寿命を意図的に短くして、人々に機能的な代替品を購入させるものである。
関連:計画的陳腐化 (Wikipedia)
コンデンサの液漏れはまだしも、割れて脱落するギア固定用の留め具は、絶対に意図的でしょ…
DAT故障 → MD買ってね♪ という罠!
・1982年:CD登場(CDP-101)
・1987年:DAT登場(DTC-1000ES)
・1992年:MD登場(据置機は1993年のMDS-101)
関連:[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]
DRUM DRIVE BOARD
コンデンサが劣化すると、テープ走行が不安定になり、波形が不規則に変化したりする。
↑DRUM DRIVE BOARD:1-639-302-15
対象のコンデンサは、以下の3個。
・C01:1-126-176-11 ELECT 10V 220uF 20%
・C02:1-126-157-11 ELECT 16V 10uF 20%
・C03:1-124-257-00 ELECT 50V 2.2uF 20%
当方所有の個体では、3個とも異常はなかった。
以下は、3個を取り外し、部品テスターで調べた結果である。
↑10V 220uF
↑16V 10uF
↑50V 2.2uF
交換する場合は、背の高いコンデンサだとキャプスタンの裏に当たるので、脚を曲げ、寝かせて設置する。
関連:[LCR-T4] 電子部品テスターでコンデンサーを測る [AliExpress]
ドライブ基板には多数のケーブルが繋がっているが、ドライブ基板を固定しているネジ3個を外し、ドライブ基板を裏返した状態で、3個のコンデンサは交換可能なので、メカ部からドライブ基板を分離する必要はない。
なお、DTC-59ES(1993年)は、この中の220uF(薄緑色)が液漏れする。
DTC-59ESのDRUM DRIVE BOARDのパーツ番号は、DTC-790のそれ(1-639-302-15)とは別(1-639-302-13)であるが、
↑DTC-59ES(DRUM DRIVE BOARD:1-639-302-13)
そこに載っている3つのコンデンサのパーツ番号は、DTC-790と同じである。
SONYのDATやカセットデッキに限らず、ラジオでもそうだが、
表面実装型の電解コンデンサが液漏れしダメになったのをよく見るので、
関連:[SONY] SRF-M100の修理と使用方法 [AMステレオ対応]
関連:[SONY] ICF-M702V/ICF-M701のレビューと分解/修理 [通勤ラジオ]
液漏れして被害が拡大する前に、交換しておきたい。
関連:[SONY] ES機の電解コンデンサの液漏れについて [カセットデッキ]
関連:[SONY] TC-K710Sのコンデンサ劣化調査 [カセットデッキ]
関連:電子部品チェッカー(LCR-T4/MTester)の故障と再購入
その他
・リールのブレーキパッドの状態と位置確認
・テープ検出スイッチに接点復活剤
・開閉用のリミットスイッチに接点復活剤
LED追加
DTC-59ES(1993年)やDTC-59ESJ(1995年)のような上位機種は、灯(あかり)によってテープの様子が分かるが、
最廉価機種であるDTC-790には灯がなく、中は真っ暗である。
少しの部材で、灯を追加した記事は以下。
関連:[SONY] DTC-790/DTC-690/DTC-ZE700のLED化 [DAT]
最廉価機種
DTC-690やDTC-790の75,000円という価格は、SONYのDATデッキでは最安であり、最廉価機種である。
関連:[SONY] DATデッキ一覧とテープの価格変遷 [Digital Audio Tape]
それでも、カセットデッキの最廉価機種、
・TC-RX711(1993年) 39,800円
・TC-RX715(1994年) 39,800円
・TC-RX300(1996年) 28,000円
と比べれば格段に高いし、3ヘッドの最廉価機種、
・TC-K700S(1993年) 49,800円
・TC-K710S(1995年) 49,000円
と比べても高い。
DATはドラムヘッドが高いので、価格を下げるのは困難であり、また、MDデッキ1号機であるMDS-101が1993年に登場し、ミニディスクを推していく時期であるから、既に斜陽のDATを値下げしている場合ではない。
↑MDS-101(1993年) 96,000円
関連:[SONY] ATRACのバージョンとMDLP対応機 [MiniDisc]
こうして、DATは過去のものとなり、消えていった。
修理動画
ドイツ人による修理動画。
「動画1」では、ドイツ人らしく手先が器用で(決め付け)、モーターの分解を伴うメンテナンスまで行っている。
「動画2」では、RFアンプ内のコンデンサ交換、及び、ボリュームの分解を伴うメンテナンスを行っている。
カナダ人の修理動画。
こちらは見ていて心配になるほど大味な修理だ(笑)
DTC-A6
DTC-790の内部に関しては、海外モデルであるDTC-A6とほぼ同じなので、以下の外国人の修理動画が参考になる。
DTC-690で使われていた、ボロボロになってドラムヘッドを破壊するスポンジクリーナーは廃止され、プラスチックのヘラに置き換えられたものの、グリスが固着し回転不能、割れて脱落するギア固定用の留め具、ビヒ割れ多発のプラスチックレールは健在…
「ソニータイマー」を実現するため、同社の卓越した技術により採用された、部品や部材の数々である!
PCM-R300
海外モデルであるPCM-R300もほぼ同じ。
先のカナダ人の親父だ。
DTC-690との差
DTC-690とDTC-790の差であるが、機能的には、SBMデジタルフィルター(後述)が搭載され、外観的には、メカ部が左から中央に移動し、高さ増、奥行増、FL管の表示がドットマトリックスとなった、ボタンのデザインが、TC-RX715(1994年)、TC-K700S(1993年)、CDP-611(1993年)、ST-S510(1995年)、MDS-302(1994年)などのような曲面ボタンとなった。
↑曲面ボタン(ST-S510)
関連:[SONY] 曲面ボタンのある機種 [1993年-1995年あたり]
DTC-790の方が新しいので、機能的に劣る部分はないと思いきや、
・スタートIDを次々と探して約8秒間ずつ再生する「ミュージックスキャン機能」が消えた。
・DISPLAY MODEが消えた。
・リモコンでできる操作が大幅に減った。
DTC-690のリモコン(RM-D690A)にはあるが、DTC-790のリモコン(RM-D9)にはないボタン
・MUSIC SCAN
・DISPLAY MODE
・MARGIN RESET
・SKIP PLAY
・RMS(CHECK)
・RMS(ENTER)
但し、この6ボタンはDTC-690の本体にはないので、これらの操作にはリモコン必須?
なお、RM-D9にはDATのロゴのある「前期型」と、ロゴのない「後期型」があり、外観はロゴ以外でも全く別物だが、ボタンの数と機能は同じである。
DTC-790の翌年に発売されたDTC-ZE700は、DTC-790と中身は同じだが、見た目をゴールドで豪華「風」にした結果、
↑DTC-ZE700(1996年) 80,000円
価格は5,000円アップの80,000円という謎の事案が発生(笑)
DTC-ZE700に付属するリモコンはRM-D757で、RM-D9とボタン数も機能も同じだが、互換性があるのかは不明。
関連:[SONY] DATデッキ一覧とテープの価格変遷 [Digital Audio Tape]
関連:[SONY] MD/DAT/カセットデッキ 総合カタログ [1994年10月]
関連:[SONY] カセットデッキ/DATデッキ 総合カタログ [1996年10月]
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