[SONY] リーフスイッチの不良と修理 [カセットデッキ]

2022年10月16日

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リーフスイッチ

メカ部の、テープが収まる部分の上に、リーフスイッチが見られる。

リーフスイッチ

リーフスイッチは、通常はOFFだが、テープで押し上げられることでONになるスイッチのこと。

薄い銅板から成るスイッチなのでLeaf(葉)と呼ぶのかは知らない。

テープの有無、誤消去防止ツメの有無、ハイポジ/メタルの検出に使われる。

リーフスイッチによるテープ種別の自動検出ができるようになったのは、RXシリーズではTC-RX55からで、

TC-RX55_カタログ
↑TC-RX55(1989年) 36,900円

それ以前のTC-RX50/TC-RX51では、手動で設定する必要があった。

TAPE SELECT_TC-RX50
↑TC-RX50(1988年) 39,800円

TC-RX50とTC-RX55のメカを比べると、テープ種別検出用のリーフスイッチが2本追加されているのが分かるだろう。

メカ部_TC-RX50_TC-RX55
↑(左)TC-RX50とTC-RX55(右)

リーフスイッチの内部には2枚の薄い銅板があり、それが接触することで通電、ONとなる。

なので、接触面に錆が出ると、接触不良となり、テープの有無、誤消去防止ツメの有無、ハイポジ/メタルの検出が異常になったりする。

押されてONになるべきところが、接触不良によりOFFのままであったり、ON/OFFが頻繁に切り替わるなどの振舞をするためだ。

これによる不具合には、具体的には以下のようなものがある。

・テープを入れているのに、入っていないと認識され、何も操作できない。
・誤消去防止ツメがあるのに折っていると認識され、録音ができない。
・ノーマルテープを入れているのに、ハイポジやメタルと認識される。
・テープの種類が頻繁に切り替わる。

いずれにしろ、このような現象があると、カセットデッキをまともに使うことができないため、対策をする必要がある。

リーフスイッチの種類と数

リーフスイッチには、根元が黒色ものと、灰色のものの2種類がある。

2種類のリーフスイッチ
↑上が黒色、下が灰色

黒色ものと、灰色のものは、テープ側の突起の位置が異なる。

リバース機の場合は、以下の5個。

・テープ有無検出用(灰):1個
・誤消去防止ツメ検出用(黒):2個(A面とB面)
・ハイポジ検出用(黒):1個
・メタル検出用(黒):1個

ES機など、非リバース機の場合は、以下の4個。

・テープ有無検出用(灰):1個
・誤消去防止ツメ検出用(黒):1個(A面のみ)
・ハイポジ検出用(黒):1個
・メタル検出用(黒):1個

但し、TC-RX2000Tのように、他機のメカ部を流用している場合は、本来は必要のないリーフスイッチが載っていることもある。

リーフスイッチ_TC-RX2000T
↑TC-RX2000Tのリーフスイッチ(右端は不要)

TC-RX2000Tはリバースがない(正方向のみ)のに、逆面側の誤消去防止ツメ検出用のリーフスイッチがある。

リーフスイッチのないメカを別途用意するよりは、流用した方が安上がり(=手間がかからない)というわけだ。

リーフスイッチの接点劣化

銅の表面は、空気中の酸素や硫黄により、酸化や硫化が生じ、接触不良を起こす。

リーフスイッチには保護用のカバーがあるが、密閉ではないため、酸化や硫化は防げない。

よって、長く使っていると、必ず接触不良が発生する。

接触不良の生じたリーフスイッチは、リーフスイッチを新品に交換すれば直るが、既にSONYは修理を受けておらず、交換用のリーフスイッチの入手も困難。

関連:[SONY] カセットデッキの修理について [サービスセンター]

よって、リーフスイッチを分解し、接点を磨く必要がある。

リーフスイッチには、保護用のカバーが付いており、これを外せるようになるまで、メカ部を分解する。

ゴムベルト交換の際にはメカ部の分解が必要なので、同時に行うのが良いだろう。

リーフスイッチはそもそも分解できる構造とはなっていないため、無理に分解すると、固定用の突起が破損、保護用のカバーが固定できなくなる。

リーフスイッチの突起
↑赤印がリーフスイッチの突起

リーフスイッチの下側の隙間を、ピンセットやマイナスドライバー等で広げ、その間に保護用のカバーを引き抜くと、突起を折らずに抜ける。

マイナスドライバーとリーフスイッチ
↑マイナスドライバーをひねると保護用のカバーが開く

だが、実際にやってみると、これがなかなか難しい。

ピンセットやドライバーは滑るので、収縮チューブを巻くかし、滑りを防ぐなどの工夫が必要。

保護用のカバーとリーフスイッチ

保護用のカバーを外したら、薄い銅板が2枚現れるので、先端にある接点を磨く。

リーフスイッチの接点
↑右端の上下にある突起が、リーフスイッチの接点

目の細かいヤスリで磨く人もいるが、コピー用紙で十分。

まず、接点表面の汚れを取るため、接点ブライトを塗布する。

接点ブライト

関連:接点ブライト(サンハヤト)

そのまま、1-2分置く。

コピー用紙を2つに折り、接点間に入れ、指で接点を摘まみ、紙を挟みながら、紙を動かす。

コピー用紙とリーフスイッチ

接点の導通を、テスターで調べる。

テスターとリーフスイッチ
↑これはリーフスイッチを外した場合

導通時に音で知らせるタイプのテスターだと、磨く前には「プィ~…ピ..ピ..ピ…プィ~…プィ~」という不安定だった導通が、磨いた後は「ピー!」と快調になるのが分かるはずだ。

導通の確認後、保護用のカバーを戻す際も、同様に広げながら行う。

以下は1991年に発売されたES機であるTC-K222ESJの動画だが、リーフスイッチの件にも触れている。

固定用の突起を破損させてしまい、保護用のカバーが固定できなくなった場合は、上側の銅板の上面と、保護用のカバーを、接着剤で固定する。

保護用のカバーを接着したリーフスイッチ

テープを入れた際に動くのは下側の銅板なので、これでもなんとかなる。

但し、保護用のカバーが外せなくなるので、次回の接点磨きができなくなるが、それは何十年後?

磨いたままの接点だと、再び劣化してしまい、再度磨く必要が出てくるので、表面保護のために、接点復活王を塗布するのも良いだろうが、1滴でも多いくらい。

接点復活王

関連:接点復活王(ポリコールキング,サンハヤト)

接点復活王は油状の液体なので、ホコリを寄せ集める危険性があるが…塗らない方が良い?

コンタクトグリスは粘度が高いので、塗らない方が良いだろう。

コンタクトグリス

関連:コンタクトグリス(サンハヤト)

コンタクトグリスは、スライド接点用だ。

修理中にメカ部を落下させるなどでリーフスイッチが物理的に破損した場合、軽度の破損なら修正できるが、銅板が大きく曲がるなどして重症なら、修正は不可。

破損したリーフスイッチ
↑ここまで破損の破損はまずない(笑)

微妙な位置関係でON/OFFが行われるため、ペンチやピンセットでは修正しきれないのだ。

この場合は、ジャンク機を手に入れ、リーフスイッチを移植しよう。

なお、メカデッキがTCM-200のES機とリバース機のリーフスイッチは同じなので、流用が可能である。

例えば、ES機であるTC-K222ESJのリーフスイッチを手に入れるのに、高価なES機は必要なく、TC-RX715などのリバース機でよい。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

リーフスイッチが同じ部品の機種

TC-K222ESG/TC-K333ESG/TC-K555ESG
TC-K222ESL/TC-K333ESL/TC-K555ESL
TC-K222ESA/TC-K333ESA/TC-K555ESA
TC-K222ESJ/TC-K333ESJ/TC-K555ESJ
TC-KA3ES/TC-KA5ES/TC-KA7ES

TC-K700S
TC-K710S

TC-RX70
TC-RX77
TC-RX79
TC-RX711
TC-RX715
TC-RX1000T
TC-RX2000T

但し、リーフスイッチには、上述のように根元が黒色のものと灰色のものがあり、突起の場所が異なるので、黒色と灰色は互いに流用できない。

灰色のもの(テープ有無検出用)は、メカ1台につき1つしかないので、貴重ともいえる。

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:[SONY] 廉価の3ヘッド機(TC-K600,TC-K700S,TC-K710S) [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]



Posted by nakamura