[SONY] TC-K710Sの分解とTC-K700Sとの比較 [カセットデッキ]
・TC-K710S:1995年発売
・TC-K700S:1993年発売
TC-K710Sでテープを再生していると、音がゆがんだ気がしたので止めた。
その後、操作不能になり、取り出しもできなくなった。
テープを巻き込んだかな?
ピンチローラーは、半年ほど前に新品に交換したばかりだが…
関連:[SONY] ピンチローラーの交換(型式と大きさ) [カセットデッキ]
ケースを開けて、メカ部を取り出す。
幸いにも、テープは巻き込んでいない模様。
モードベルトがズレて外れていた。
この状態で掛けるのは難しいし、ベルトにグリスが付いているようなので、メカ部の分解に進む。
モードベルトにたどり着くには、カセットホルダーを外し、アイドラーも外す必要がある。
本機のアイドラーは、ギア欠けの起こりにくい白いギアだったが、TC-K710Sにも、欠けやすい茶色透明のギアが使われていることがあるので、要確認。
関連:[SONY] アイドラーのギア欠け(X-3356-641-1) [カセットデッキ]
モードベルトに到達。
やはり外れている。
外れたことにより、グリスが付いてしまっている。
ベルトだけでなく、ベルトが掛かるギアとモーター側のプーリーの溝も掃除する。
ベルトが若干太いので、外れたのかな?
φ22前後の1.5mm角であるが、もう少し細い方が外れにくいと思われる。
この部分に一時的に掛けておき、後でピンセットで掛ける。
メインギアの凸を下にし、エンコーダーの凹を下にして、噛み合わせる。
開閉ギアの凸を、若干右に寄せておく。
基板を載せた後、モードベルトをピンセットで掛けた。
キャプスタンベルトは、φ65×0.5×5mmのもの。
関連:[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]
これも、ここに一時的に掛けておき、後でピンセットで掛ける。
TC-K710Sは、TC-K700Sとは異なり、フライホイールにミラーがある。
ここから赤外線を発し、ミラー反射を読み取り、回転速度を取得している。
これとクォーツ(水晶振動子)、そしてリアルタイムで回転制御可能なキャプスタンモーター(MMI-6H2LWK)により、シングルキャプスタンながらも、精度の高いテープ送りを実現している。
↑TC-K710Sのクォーツ(水晶振動子)
関連:[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK/MMI-6H2LWKC) [カセットデッキ]
これが「クォーツロックサーボ」だ。
TC-K710Sのキャプスタンの軸受けにはサファイアが使われている。
前モデルのTC-K700Sのキャプスタンモーター(MMI-6S2LK)は半固定抵抗なので、リアルタイムでの回転制御ができず、クォーツ(水晶振動子)もなく、回転取得もできない。
軸受けはサファイアではなく、単なる黒いプラスチックである。
以上の差により、ワウ・フラッターも改善している。
TC-K700S
±0.09% Wpeak
0.045% WRMS
TC-K710S
±0.065% Wpeak
0.045% WRMS
ということで、TC-K710SとTC-K700Sなら、TC-K710Sを選ぶべき。
唯一の難点は、TC-K710Sは、カセットリッドが飛び出ていて格好悪いことか…
外国人向けのデザイン(=海外モデル)のカセットリッドを流用したため?
リサジュー図形
アジマス調整前/後のリサジュー図形。
オーディオ用コンデンサ
PB(PlayBack)
・C214 ELNA 50V 10uF
・C224 ELNA 50V 10uF
POWER
・C806 ELNA 25V 47uF
・C811 ELNA 16V 3300uF
・C819 ELNA 35V 47uF
SYSCON
・C707 ELNA 10V 470uF
・C708 ELNA 25V 47uF
オペアンプ
PB(PlayBack)
・IC505 NEC C4570C (PB EQ AMP)
・IC508 JRC 4558D (AMS AMP)
・IC509 JRC 4558D (METER AMP)
・IC511 三菱 5218A (LINE AMP)
ヘッドホン
・IC507 三菱 5218A (HEADPHONE AMP)
REC
・IC510 三菱 5218A (CAL AMP,CAL OSC)
海外モデル
TC-K715S
コンデンサ劣化調査
関連:[SONY] TC-K710Sのコンデンサ劣化調査 [カセットデッキ]
・TC-K710S:1995年発売
・TC-K700S:1993年発売
2004年時点での、SONYによる消耗部品の交換:1万円強(TC-K710S/TC-K700Sとも同価格)
交換内容
・キャプスタンモーター
・キャプスタンベルト
・モードベルト
・リーフスイッチ(テープ検出等)
・ロータリーエンコーダー
・ピンチローラー
製造打切年等
・製造打切年:2000年7月
・補修用性能部品保有期間:6年
・修理対応終了年:2006年7月
修理対応終了年から15年以上経過しており、SONYは修理を受けない。
関連:[SONY] 製造打切年/補修用性能部品保有期間/修理対応終了年 [オーディオ]
SONYの最後のカセットデッキ?である、2003年に発売のTC-RX2000Tでも、既に18年が経過しているので、SONYのカセットデッキは全て、もはや修理依頼ができないということだ。
よって、修理業者に依頼するか、自力で直すことになるが、ゴムベルトやピンチローラーのように互換品があるものは互換品を使い、キャプスタンモーターやロータリーエンコーダーのように互換品がないものは、強引に分解して直すか、アイドラーギアのように直せないものは、ジャンク機から移植するしかない。
関連:[SONY] 3ヘッド機対決(比較) [TC-K222ESJ,TC-K710S,TC-K700S]
関連:[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]
関連:[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK) [カセットデッキ]
関連:[SONY] アイドラーのギア欠け(X-3356-641-1) [カセットデッキ]
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