DDSテープのDAT機器での代用とクリーニングテープ
最後までDATテープを製造していたSONYだが、2015年6月を以って生産を終了、DATテープを製造しているメーカーは国内・国外問わず、全くない状態。
↑1987年3月(DTC-1000ES登場)時点でのDATテープの価格
関連:[SONY] DATデッキ一覧とテープの価格変遷 [Digital Audio Tape]
未使用品のDATテープは、オークションやフリマで入手可能であるが、高額。
中古を買うか、パソコン用のDDSテープ(Digital Data Storage)で代用するかだが、
↑DDS-2(左上)、DDS-1(下左右)、DDS用クリーニングテープ(右上)
全てのDDSテープが、DATで使えるわけではない。
DDSでの代用
DATをコンピュータ用に転用したのがDDS(Digital Data Storage)で、カートリッジは同じ大きさ、テープ幅も同じであり、互換性がある。
# テープおよびデッキの双方とも、特に改造することなく使用可能。
但し、DATで使えるDDSテープは、DDS-1の以下に限られる。
(テープ幅は全て3.81mm) ←コンパクトカセットとほぼ同じ
・DDS-1 60m 13.GB/2.6GB 120分(標準モード時)
・DDS-1 90m 2GB/4GB 180分(標準モード時)
・DDS-2 120m 4GB/8GB (240分)
・DDS-3 125m 12GB/24GB (250分)
・DDS-4 150m 20GB/40GB (300分)
テープ長の2倍が録音可能時間(標準モード時)となると覚えておくと良いだろう。
テープの厚さ
DDS-2、DDS-3、DDS-4も、形状とテープの材質が同じなので使用可能だが、テープ長が長いと薄くなるので、デッキに巻き込まれる可能性が高くなる。
・DDS-1 60m:120分=2時間00分
・DDS-1 90m:180分=3時間00分
・DDS-2 120m:240分=4時間00分
・DDS3 125m:250分=4時間10分
・DDS4 150m:300分=5時間00分
テープなんかどれもミクロンレベルで薄く同じでは?と思いきや、
# 1ミクロンは1ミリメートルの千分の一=0.001ミリメートル
DDS-1(9ミクロン)を100%とした場合の厚さ
・DDS-1:100%
・DDS-2:72.22%
・DDS-3:72.22%
・DDS-4:62.22%
・DAT 72:56.67%
となり、DDS-2/3で7割、DDS-4となると6割程度の厚みしかない。
コンパクトカセット(アナログ)でも、「90分を超えるテープは大変薄くて伸びやすいため使わないでください」としているデッキがあるが、それと同じようなものだ。
↑W-1200(TEAC)の注意書き
90分を超えるテープとは、120分(片面60分)や、150分(片面75分)が該当する。
コンパクトカセットの場合は、巻き込まれてもテープを切って取り出せば、多くの場合、デッキは無事で済むが(笑)、ドラムヘッドが繊細なDATデッキは、無事では済まないかもしれない…
なお、1997年10月10日に発売された、SONYの「ES」シリーズのDATカセットテープ「DT-60RB(60分)」「DT-120RB(120分)」のテープ厚は13μm(マイクロメートル)=13ミクロンである。
関連:信頼性を追求したDATカセットテープ「ES」シリーズ 発売 (SONY, 1997年9月10日)
DDS-4の後に「DAT 72」が登場したが、形状とテープ幅は同じなのでDATデッキには入るが、テープの材質が異なるので使うべきではない。
但し、この「代用」も、最後までDDSテープを製造していた日立マクセルが、2016年6月末までに生産終了(2017年3月末までに流通終了)、DDSテープも入手困難という状況である。
テープが滅びるのが先か、デッキが滅びるのが先か、それともキミ(=当時は少年/兄貴、今はオッサン/爺さん)が滅びるのが先か…
クリーニングテープ
DATのヘッドのクリーニングは、コンパクトカセットのようにアルコールと綿棒でゴシゴシ…というわけにはいかず、乾式のクリーニングテープが必須である。
DT-10CL(初代)からDT-10CLA、(BやCは無く)、DT-10CLDと変遷?
関連:DT-10CLD (SONY)
・DATデッキ等に入れて約10秒間再生状態にするだけで簡単にヘッドをクリーニング
・繰り返し使用で約200回のクリーニングが可能
・使用頻度が分かるチェック表付き
関連:SONY DAT用 ヘッドクリーナー DT-10CLD
このクリーニングテープも、DDSのものが代用できるが、これも入手困難となっている。
クリーニングテープは、使用回数が限られている。
12m品
・DDS:約50回
・DAT:24分間
15m品
・DDS:約60回
・DAT:30分間
多くの場合、DATのクリーニングは「1回10秒」とあるので、上記時間からするとかなり多くの回数使用できることになるが、ヘッドに付着した汚れによりノイズが酷い、又は無音状態になった場合は、1分以上クリーニングしないと改善しないことも多いので、使用回数はかなり減る場合もある。
DDSの1日のテープ使用時間とクリーニング頻度
・4時間以内:週に1回
・4-12時間:週に2回
・12時間以上:毎日
クリーニングテープも、DDS-1に対応したものを使うこと。
DDS初期のものを除き、1種類にのみ対応しているものは少なく、私の手元にあるものは、「DDS-1、DDS-2、DDS-3、DDS-4、DAT 72」に対応していると記されており、テープ幅3.81mmのものを全カバーしている。
# 「4mm」とあるが、これは「幅が3.81mmのテープ」の総称である。
DATのクリーニングテープは、ヘッドチップを「削る」ことで実現しており、不必要に行うとヘッドの寿命を縮めるので、デッキの入手が困難な今、やりすぎは厳禁だ。
ピンチローラーやキャプスタンは、コンパクトカセットのそれ同様、アルコールと綿棒でゴシゴシで良いが、
関連:オーディオテクニカ ヘッドクリーナー [AT6037]
確実に乾いてからテープをセットすること。
DDS-1/DDS-2/DDS-3/クリーニングテープ
DDS-1 60m
録音時間:120分(標準モード時)
・HP:-
・FUJITSU:0121110
・NEC:-
・MAXELL:-
・FUJIFILM:DG-60M W
・SONY:DG60P
120分=2時間00分
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DDS-1 90m
録音時間:180分(標準モード時)
・HP:C5706A
・FUJITSU:0121150
・NEC:EF-2407
・MAXELL:HS-4/90S
・FUJIFILM:DG-90M W
・SONY:DG90P
180分=3時間00分
-----
DDS-2 120m
録音時間:240分(標準モード時)
・HP:C5707A
・FUJITSU:0121160
・NEC:EF-2409
・MAXELL:HS-4/120S
・FUJIFILM:DG2-120M W
・SONY:DGD120P
240分=4時間00分
テープの厚さはDDS-1の72%である。
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DDS3 125m
録音時間:250分(標準モード時)
・IBM:59H3465
・HP:C5708A
・FUJITSU:0121180
・NEC:EF-2417
・IMATION:DDS-125S
・MAXELL:HS-4/125S
・FUJIFILM:DG3-125M W
・SONY:DGD125P
・TDK:DC4-125S
250分=4時間10分
テープの厚さはDDS-1の72%である。
DDSでの容量に於いては、DDS-2からDDS-3への進化で実に4倍の容量!となったが、DATでの録音時間はテープ長のみによるため、5m長くなった=時間にしてわずか10分の増加でしかない。
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DDS4 150m
録音時間:300分(標準モード時)
・IBM:59H4456
・HP:C5718A
・FUJITSU:0121190
・NEC:EF-2422
・IMATION:DDS-150S
・MAXELL:HS-4/150S
・FUJIFILM:DG4-150M W
・SONY:DGD150P
・TDK:DC4-150S
300分=6時間00分
DDS-2/DDS-3よりもさらにテープが薄くなり、DDS-1の62%である。
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クリーニングテープ
・IBM:21F8763 (50回)
・IBM:21F8763 (50回)
・HP:C5709A
・HP:C5709A
・HP:C5709A
・HP:C5709A
・HP:C8015A ← 公式にDATとDDS両対応を謳う
・HP:C8015A ← 公式にDATとDDS両対応を謳う
・FUJITSU:0121170
・FUJIFILM:DDS-CC (50回)
・MAXELL:HS-4/CL (40回,12m)
・MAXELL:マクセル (50回)
・SONY:DGD15CLR (15m)
・COMPAQ:242781-001 (15m)
・QUANTUM:CDMCL (50回)
・CONNER/SEAGATE:91301 (5m) ← 極短につき注意
・VERBATIM:HS-4/CL (40回)
・BASF:EMTEC 4D
・DELL:01X023
関連:[SONY] DTC-55ES(1990年発売)のレビューと修理 [DAT]
関連:[SONY] DTC-790のレビューと修理 [DAT]
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