[SONY] CDP-997の電源が入らない故障の修理 [CDプレーヤー]
SONYのCDプレーヤーである、CDP-997について。
↑CDP-997(1991年) 39,800円
関連：[SONY] CDP-997(1991年発売) レビュー [CDプレーヤー]
「電源が入らない」「通電しない」という個体が、オークション等で散見されるようになった。
「電源が入らない」「通電しない」とはいっても、
・全く通電しない
・一部通電している
の2パターンがあるが、オークション等では一概に「電源が入らない」「通電しない」と謳っていることが大半である。
全く電源が入らない
電源SWを押しても、全く電源が入らない場合。
通電していないので、一切の操作もできない(トレイOPENも不可)。
基板の左端、白色コネクタ(CN201)の隣にあるヒューズ抵抗(R204,水色の部品)をチェックする。
サービスマニュアルでは、「！」マークの付いたものがそれだ。
・R204 1-212-869-00 FUSIBLE 33R 5% 1/4W F
導通がない(＝切れている)、及び、抵抗値が異常な場合は交換する。
関連：[SONY] ヒューズ抵抗一覧 [FUSIBLE RESISTOR]
一部通電している
電源SWを押しても、FL管が点灯せず、全く通電していないように見えるが、実はボリュームの赤色LEDが点灯している場合がある。
また、背面に光デジタル端子も赤く光っている。
この場合も、一切の操作ができない(トレイOPENも不可)。
トランスから電圧を追っていくと分かるが、トランジスタの不良により電圧が出ていない場合がある。
以下のトランジスタの不良を疑う。
PNP型トランジスタの不良
・Q206 8-729-821-73 TRANSISTOR 2SB1274SA-RS(ヒートシンク有)
・Q210 8-729-821-73 TRANSISTOR 2SB1274SA-RS(ヒートシンク無)
2SB1274(三洋)
・Q：70-140
・R：100-200
・S：140-280
電子部品チェッカーを使い、hFEを確認する。
hFEは200前後だが、Q206とQ210を比べると、同一のパーツ番号(8-729-821-73)にもかかわらず、hFEに大きな差が発生している場合がある。
Q206にはヒートシンク(銅色の金属板)が取り付けられているが、
↑Q206
ヤバいレベルで発熱しているので、熱が原因で故障するのだろう。
交換の際は、放熱用のグリスを塗布してからネジ止めし、さらにヒートシンクを拡張するなどの対策が必要かもしれない。
NPN型トランジスタの不良
Q204のE(エミッタ)の37.6Vが出ているかを調べる。
えらく電圧が高いが、これは、その先で+34Vとなり、FL管の点灯用となるためだ。
・Q204 8-729-140-96 TRANSISTOR 2SD774-34
・Q207 8-729-140-96 TRANSISTOR 2SD774-34
2SD774(NEC)
・L2：135-270
・K3：200-320
・K4：250-400 ←「K4」(250以上)
・U4：300-480
・U5：360-600
これも同一のパーツ番号(8-729-140-96)にもかかわらず、hFEに大きな差が発生している場合がある。
電子部品チェッカーを使い、hFEが250以上あるかを確認する。
2SD774-34は入手が困難なので、以下の互換品を検討する。
2SD789(日立)
・B：100-200
・C：160-320
・D：250-500 ←「D」(250以上)
・E：400-800
2SC3940A(松下)
・Q：85-170
・R：120-240
・S：170-340 ←この中の一部
2SC1384(松下)
・Q：85-170
・R：120-240
・S：170-340 ←この中の一部
2SD1292(ローム)
・P：82-180
・Q：120-270
・R：180-390 ←この中の一部
2SD863(三洋)
・D：60-120
・E：100-200
・F：160-320 ←この中の一部
C4485(三洋)：情報不足
大サイズに換装するという手もあるが…
2SD2012(東芝)
hFEが250以上のものをランクで選ぶのだが、同じランク内に250以上と以下が含まれる場合は、ランクで判断することができない(＝以下が届く可能もある)。
確実にいくなら、2SD789のランク「D」が安全だ。
トランジスターを交換し、電圧が正常に出ても不動の場合は、ICが逝っている可能性が高いので、速やかに廃棄か？
それでも諦めずに原因を発見及び修理に成功した強者は、コメント欄(ページ下部)に情報を。
関連：電子部品チェッカー(LCR-T4/MTester)の故障と再購入