カセットデッキのヘッド部のクリーニング
カセットデッキのヘッド部は、テープから剥がれた磁粉等で汚れる。
よって、定期的に掃除をする必要がある。
カセットデッキの説明書には10時間毎の掃除、とあるが、古いテープを使っている場合は、テープの劣化により汚れやすいので、より頻度高く行う必要がある。
説明書の記載
TC-RX70(1990年発売)の説明書には、「ヘッド部のクリーニング」として、以下の記載がある。
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ヘッド部はおよそ10時間使うごとにクリーニングしてください。
ヘッドのよごれがひどくなると、音が悪い、音が小さい、音がとぎれる、前の音が消えないで残る、録音ができない、などの症状が出ます。
特に大切な録音をするときや古いテープを使ったあとは、必ずクリーニングするように心がけてください。
クリーニングのしかた
1.開閉ボタンを押してカセットホルダーを開けます。
2.市販の綿棒をクリーニング液または純アルコール液でしめらせて、ヘッドやキャプスタン、ピンチローラーをふきます。
ピンチローラーやキャプスタンはひと回りぐるりとふいてください。
内部についたアルコールが十分に乾いてからカセットを入れてください。
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ピンチローラーが劣化している場合は、クリーニングしても無意味なので、新品に交換。
ヒビ割れは当然のこと、ピカピカで固くなっている場合は、ゴムの劣化なので、掃除では回復しない。
関連:[SONY] ピンチローラーの交換(型式と大きさ) [カセットデッキ]
キャプスタンの汚れがひどく、綿棒掃除程度では取れない場合は、メカを分解し、フライホイール+キャプスタンを取り出して掃除しよう。
キャプスタンに錆が残る場合でも、過度なヤスリ掛けは厳禁。
キャプスタンはキャプスタン受けやテープに触れるので、表面がザラついてはならないからだ。
必要物
液体と綿棒で掃除を行う。
綿棒の軸が柔らかいと掃除が甘くなるので、プラ軸や紙軸よりも、木軸綿棒が良。
昔ながらの専用クリーナーが、令和になった今も売られているが、
専用クリーナー:オーディオテクニカ ヘッドクリーナー [AT6037]
567に備えて手元にあろう、以下のような消毒液も使える。
無水エタノール
・エタノール:99.5vol%
水をほとんど含まないので、ヘッドやキャプスタンのような金属部分に向く。
アルコール分が高いため、ピンチローラーには向かない。
価格:酒税的なものが掛かるので高い。
消毒用アルコール
・エタノール:76.9-81.4vol%
・イソプロピルアルコール(IPA):少量
・他:精製水
アルコール分が低いので、ピンチローラーに向く。
価格:IPAを添加し、酒税的なものが掛からないようにしている(=安価)。
消毒用アルコール
・イソプロピルアルコール(IPA):50/70vol%
・他:精製水
アルコール分が50-70%と低いので、ピンチローラーに向く。
価格:IPAがエタノールよりも安いので安価。
IPAの脱脂作用はエタノールに比べ高いので、手荒れに注意。
IPAの呼称
IPA:イソプロピルアルコール、イソプロパノール、2-プロパノール
化学式:C3H8O
示性式 CH3CH(OH)CH3
関連:2-プロパノール (Wikipedia)
保管方法
火気厳禁は当然のこと、エタノールにしろIPAにしろ、しっかり栓を閉めないと、蒸発してなくなっていくので注意。
水を含む液体の場合、アルコールが蒸発し、結果としてアルコール分が下がってしまうことになる。
容器に使用期限が記されているが、消毒液としての用途ならともかく、ヘッド掃除用なら期限を過ぎても問題ない。
カセット型
乾式にしろ湿式にしろ、カセット型のものは、撫でているだけなので効果は薄い。
綿棒での掃除ができない、カーステレオ等で使う。
普段は綿棒で掃除し、様子を見て、1年に1回くらいは、メカ部分解でガッツリ掃除しよう。
関連:[SONY] ヘッドのアジマス調整後の緩み止め剤 [カセットデッキ]
関連:[KENWOOD] アジマス調整時の思わぬ障害 [X-VH7]
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