[SONY] TC-RX2000T(2003年発売) レビュー [全国点字図書館協議会推奨]

2022年10月12日

>>コメント欄は各記事の最下部<<



動作動画

関連:[SONY] TC-RX2000T(2003年発売) [全国点字図書館協議会推奨]

TC-RX2000T

TC-RX2000Tは、全国点字図書館協議会(現:全国視覚障害者情報提供施設協会)推奨のカセットデッキで、TC-RX1000Tの後継機種。

TC-RX2000T_カタログ
↑TC-RX2000T(2003年)

「全国点字図書館協議会推奨 ボランティア専用カセットデッキ」

「この商品は、全国点字図書館協議会の商品化要請と企画のもとに開発いたしました。」

関連:カセットデッキで録音図書を作る

2003年の発売なので、フルサイズのカセットデッキとしては最終機?

価格はオープンプライス。

TC-RX2000T

パンフレットでは「受注から納品までに最大3ヶ月かかることがある」とされていた。

TC-RX2000T

なお、「全国点字図書館協議会」から「全国視覚障害者情報提供施設協議会」に名称が変更されたのは1996年11月1日とのことだが、それ以後に発売されたはずのTC-RX2000Tが旧名称なのは何故?

特長

スムーズな後追い録音機能や、3スピードの再生機能の装備など、録音図書を作成するために開発・設計されたマイクロホン入力装備のボランティア専用カセットデッキ。

モノラル・マイク入力を装備、録音済テープへのスムーズな後追い録音が可能。

手軽な操作で、テープ中のチャプターを探し出し、再生できる便利なマルチAMS機能。

9.6cm/s(2倍速)、4.8cm/s(標準)、2.4cm/s(1/2倍速)の3スピード再生機能。

このカセットデッキのマイク入力は、モノラル入力対応となっています。

また、TYPE Iのみの録音となります。

マイク入力の装備に加えて、やり直しが容易な後追い録音機能、頭出しに便利なマルチAMS機能など、声の図書づくりに応える多彩な機能を盛り込みました。

モノラル・マイク入力(標準ジャック)装備

モノラル・マイクロホン入力を装備し、朗読収録などに適したモノラル録音が可能。

録音時には、マイクのプラグを本体前面のマイクロホンジャック(標準ジャック)に挿し込むだけで、自動的にライン入力(ステレオ)からマイク入力へ切り替わります。

録音時に使用できるカセットテープはTYPE Iカセットのみです。

録音済テープへの後追い録音機能

読み間違いをなどで録音をやり直す時など、録音済テープの途中から引き続いて録音可能。

ヘッドホンで再生音を聴きながら、並行して同じ箇所を朗読。

訂正箇所に差し掛かったところで、再生から録音へ、動作モードを素早く移行させることができます。

テープの頭出しに便利なマルチAMS機能

テープ中の無録音部分を検出・カウントし、テープに録音されている希望のチャプターを簡単に呼び出せるマルチAMS(自動選曲)機能を装備。

現在再生しているところから、前後最大30番目までのチャプターを探し出し、自動再生できます。

2倍速、標準、1/2倍速の3スピード再生機能

標準(4.8cm/s)に加えて、2倍速(9.6cm/s)、1/2倍速(2.4cm/s)の再生が可能。

TAPE SPEED_TC-RX2000T
↑「4.8cm」かつ「CONTROL=0」が標準速度

2倍速にしてテープ内容を短時間で聴き取ったり、1/2倍速にして音声を注意深くモニターできます。

なお、標準と1/2倍速では、再生スピードの調節(1-2倍)もできます。

その他の特長

テープ中の約4秒間の無録音部分を作れる録音ミューティング機能。

ソニー製CDプレーヤーと組み合わせて、CDからの録音がリモコンで手軽にできるCDシンクロ機能。

テープの冒頭に戻り、自動的に再生を始められるオートプレイ機能。

テープ中の任意の箇所に戻り、自動的に再生を始められるメモリープレイ機能。

カセットの振動を抑えるカセットスタビライザー、パワーローディング機構装備。

テープ走行時間(分、秒)をデジタル表示。テープ残量もひと目で確かめられる減算機能付きリニア電子カウンター。

本体のディスプレイを消灯できるディスプレイ・オン/オフ機能(リモコン必須)

解説

一般機のTC-RX715を流用して作られたTC-RX1000Tとは異なり、かなりのスペックダウンが見られる。

TC-RX1000T_カタログ
↑TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

メカはTCM-200を流用したものなので、電動扉であり、テープ窓は光るが、オートリバースの逆方向を無理矢理無効にしたメカなので、正方向(FWD)の再生しかできない。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

カウンターは実時間(リニア)。

ヘッドがパーマロイと、安価なものになった。

カセットリッド_TC-RX2000T
↑「LASERAMORPHOUS HEAD」の文字はない

ヘッドホン端子とマイク端子(モノラル)は金メッキであるが、金メッキである必要がないのに金メッキなのは、単に部品の流用だろう。

ヘッドホンボリュームあり。

右半分_TC-RX2000T

録音図書作成という用途を考えると、ヘッドホン端子、マイク端子、ボリューム(音量調整)は外せない。

関連:[SONY] ヘッドホン端子と音量調整が可能なオートリバース機 [カセットデッキ]

REC LEVELツマミにはLED用の丸窓(透過部材)があるが、本機にはLEDが搭載されておらず(電動でもない)光らない。

REC LEVEL_TC-RX2000T

単なる部品の流用である。

オートリバースなし(正方向のみ)

左半分_TC-RX2000T
↑再生ボタンが片方向しかない

オートキャリブレーションなし
BALANCEなし
録音はノーマル(TYPE I)のみの対応
DOLBY HX PROもない

そしてなんと、DOLBY NRもない!

録音図書作成の現場では、ドルビーNRは使わないことが多いようなので、なくても構わないかもしれないが…

「全国点字図書館協議会の商品化要請と企画」の中で、

協議会「ドルビー不要です」
SONY「ない方が安くなりますね」

という合意により、ドルビーなしになったのかは知らない。

背面は、LINE INとOUTのみ。

背面_TC-RX2000T

点々の模様は、TC-WE475(発売年不明、2011年頃まで販売)などの、最後期のモデルで見られる。

内部

カセットデッキ最後期の機種であり、ドルビーもないので、部品は少ない。

内部_TC-RX2000T

キャプスタンモーターは、速度制御対応のMMI-6H2LWK。

MMI-6H2LWK_TC-RX2000T
↑MMI-6H2LWK(2003年8月製)

関連:[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK) [カセットデッキ]

速度調整は、TC-RX1000T同様、内部の手前左側の子基板にある。

速度調整_TC-RX2000T

数が多く、録音と再生に分かれてもいるので、調整は非常に面倒。

フライホイールは2個あるが、ピンチローラーが右側しかない。

ヘッド周辺_TC-RX2000T

ノーマルテープのみの対応だが、リーフスイッチは、逆面やハイポジやメタルの分も含めて5個付いている(=メカの流用)。

リーフスイッチ_TC-RX2000T

関連:[SONY] リーフスイッチの不良と修理 [カセットデッキ]

ヘッドはパーマロイ(ニッケルと鉄の合金)であり、安価なもの。

ヘッド_TC-RX2000T

令和現在、ハイポジやメタルの入手は困難なので、ノーマル専用でも構わないかもしれないが、過去のテープの再生や、ヘッドの摩耗が気になる(パーマロイは柔らかい)。

レーザーアモルファスヘッドに比べると、レベルを上げて録ると歪(ひず)みが出やすいので、レベルを下げて録音した方が良いが、これはドルビー HX PROがないため?

関連:ドルビーHX PROシステムとは?

片方走行なので、ピンチローラーは右側だけに存在。

ピンチローラー_TC-RX2000T

軸がボロボロになるタイプが使われていたので、交換推奨。

カセットホルダーの内側_TC-RX2000T

カセットホルダーの内側はスポンジなので、劣化や保管場所によってはボロボロになっている可能性がある。

カセットホルダーのスポンジ_TC-RX2000T

その他メカ部は、TCM-200と同じなので、TCM-200に精通していれば、迷うことはなかろう。

メカ部_TC-RX2000T

メカ部_TC-RX2000T

アイドラーのギアに欠けがないかチェックすること。

関連:[SONY] アイドラーのギア欠け(X-3356-641-1) [カセットデッキ]

メカ部_TC-RX2000T

キャプスタンベルトは、リバース機と同じ方式、同じ要領でσ(シグマ)型に掛ける。

メカ部_TC-RX2000T

中央のモードギアは、黒ではなく白!

メカ部_TC-RX2000T

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

富士通のリレー(46ND012-P)が使われていて、電源を切ると、小さく「カチッ」と音がする。

リレー_TC-RX2000T

電源ボタンが「POWER」ではなく「I/O」表記であり、

電源ボタン_TC-RX2000T

何か違和感が(笑)

FL管

FL管と基板_TC-RX2000T
↑FL管と基板

FL管のパターンには、本機には機能のないドルビーB/C/S、TYPE II/IV、JFS(Just Fader System)やMPX FILTER、AUTO CALも見られるので、部品の流用だと思われる。

FL管_TC-RX711_TC-RX715_TC-RX1000T

本機はノーマルテープ(TYPE I)のみの対応なので、ハイポジやメタルを入れてもTYPE II/IVが点灯しないばかりか、ノーマルを入れてもTYPE Iすら点灯しない。

つまり、点灯しないパターンが非常に多く、他機と比べると、非常に寂しい感じを受ける。

左半分_TC-RX2000T
↑再生時はこれだけしか点灯しない

関連:FL管(蛍光表示管)について

関連:FL管の窓(ウィンドウ)について

FL管の表示は、リモコンの「DISPLAY」ボタンにより、全灯/消灯が変えられる(本体ではボタンがなく不可)。

リモコン

本機には、ワイヤレスリモコン(RM-J710)が付属するが、これは3ヘッド機のリモコンを流用したものなので、「MONITOR」ボタンは機能しない。

RM-J710_TC-RX2000T
↑「本機では使用できません」とある

関連:[SONY] ワイヤレスリモコン(RM-J701/RM-J702/RM-J703/RM-J710/RM-J501/RM-J510) [カセットデッキ]

メンテナンス

ゴムベルトやピンチローラーは、TC-RX1000Tと同じサイズだ。

関連:[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]

関連:[SONY] ピンチローラーの交換(型式と大きさ) [カセットデッキ]

リサジュー図形

アジマス調整後のリサジュー図形(但し、ピンチローラーは清掃のみで未交換)。

関連:カセットデッキのアジマス調整の方法

アジマス調整ネジの位置は、正方向(FWD)なので、回すのは向かって左側だけでよい。

アジマス調整_オートリバース機

関連:カセットデッキのアジマス調整用ネジの場所

評価

「全国点字図書館協議会推奨 ボランティア専用カセットデッキ」とあるように、録音図書(=声)を録る分にはよいが、ドルビーNRやHX PROがないことから、音楽には向かない。

選ぶなら、オートリバースあり、ドルビーB/Cあり、HX PROあり、オートキャリブレーション機能搭載という、TC-RX1000Tの方が良いだろう。

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

TC-RX2000Tの主な仕様

トラック方式
 4トラック2チャンネルステレオ

録音方式
 交流バイアス

ヘッド
 録音・再生×1(Pヘッド)
 消去×1(F&Fヘッド)

 補足
 P=パーマロイ
 F&F=フェライト&フェライト=オールフェライト構造

関連:[SONY] LC-OFC/PC-OCC巻線レーザーアモルファスヘッド [カセットデッキ]

モーター
 キャプスタンモーター(DCサーボモーター)×1 (MMI-6H2LWK)
 リールモーター(DCモーター)×1
 メカ駆動用モーター(DCモーター)×1

関連:キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK)

ワウ・フラッター
 0.08% WRMS
 ±0.15% W.Peak(JEITA ※)

早巻き時間
 約120秒(C-60にて)

TC-RX70では90秒なので1.3倍と遅い。

周波数特性
 TYPE I カセット(ソニー TYPE I)
 25-16,000Hz±3dB(JEITA)
 15-17,000Hz

ノーマルテープ(TYPE I)以外は非対応なので、上端が低い。
ドルビーは非搭載。

SN比
 47dB(ソニー TYPE I)

ノーマルテープ(TYPE I)非対応なので低い。

ひずみ率
 315Hz、3次高調波ひずみ率:1.8%
 250nWb/m(TYPE I)(JEITA)

入力端子
 ライン入力(ピンジャック)×1系統
 最小入力レベル 0.16V
 入力インピーダンス 47kΩ

 マイク入力(標準ジャック)×1
 最小入力レベル 0.4mV
 ローインピーダンスマイクロホン

出力端子
 ライン出力(ピンジャック)×1系統
  規定出力レベル 0.5V
  負荷インピーダンス 47kΩ時
  適合負荷インピーダンス 10kΩ以上

 ヘッドホンジャック(ステレオ標準ジャック)
  規定出力レベル 0-3mW(32Ω)

参考:SONYのスタジオモニターヘッドホンであるMDR-CD900STのインピーダンスは63Ω、最近のゲーミングヘッドホンのインピーダンスは65Ω。

電源
 AC100V 50/60Hz

消費電力
 16W

最大外形寸法
 430×125×295mm(幅/高さ/奥行き)

重量
 4.8kg

付属品
 オーディオ接続コード (2)
 リモートコマンダー(RM-J710) (1)
 単3型乾電池 (2)
 取扱説明書 (1)
 保証書 (1)
 ソニーご相談窓口のご案内 (1)
 安全のために (1)

本機の仕様および外観は改良のため予告なく変更することがありますが、ご了承ください。

※ JEITA(電子情報技術産業協会)規格による測定値です。

JEITAは、EIAJ(日本電子機械工業会)の後継のような団体。

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]



2022年10月12日

Posted by nakamura