[SONY] DTC-790/DTC-690/DTC-ZE700のLED化 [DAT]
DTC-790(1995年)やDTC-690(1993年)は最廉価機種であるから、見た目や質感はもちろんのこと、機能的にも削られている。
↑DTC-790(1995年) 75,000円
関連:[SONY] DTC-790のレビューと修理 [DAT]
↑DTC-690(1993年) 75,000円
ES機であるDTC-57ES(1991年)やDTC-59ES(1993年)、DTC-59ESJ(1995年)には、テープ挿入口の上部に明かりがあり、
↑LAMP, PILOT(1-518-634-11) DTC-57ESの場合
↑LED BOARD(1-645-241-11) DTC-59ESの場合
テープ窓から中のテープの様子が分かるが、
ES機ではないDTC-690やDTC-790、DTC-ZE700には明かりがなく、中の様子が見えない。
アナログのコンパクトカセットとは異なり、DATはデジタルであり、絶対時間(Absolute Time)も表示できるので、テープが見えなくても問題はないのかもしれないが、やはりテープを使う以上は、その様子を見たいのが男/漢/侠である(意味不明)。
ということで、DTC-790にLEDを追加し、中が見えるようにする。
LED追加
まず、テープの挿入→取り出しを観察した結果、上部にLEDを設置しても、接触することはないようだ。
しかも、ちょうど該当する部分に、何故か使われていないネジ穴がある(笑)
この穴は、M2のネジが通る大きさなので、手持ちにあったネジ(長さ4mm)とナット(厚さ1.5mm)を用意。
関連:M2×4mmネジ
関連:M2六角ナット
4mmとは、以下のように頭を含まない長さである。
なお、このネジ穴は、ドイツ人のDTC-790(後述)や、海外モデル(DTC-A6/PCM-R300)の動画(後述)を見ると、アース用の銅箔が取り付けられているのだが、サービスマニュアルには記載がなく、当方の所有の個体にも銅箔は見当たらない。
サービスマニュアルには、この穴に「#4」というネジが描かれているのだが、
そのネジは何も止めるものがなく、何ら役目を果たしていない謎。
当方の個体には、ネジ穴はあるがネジはない状態で、入手直後は、ネジ穴を見ても、止められた跡が全くなかったのだ。
話を戻す。
次に、電圧を取るポイントを探す。
できれば基板を外さずに電圧を取りたいので、表に出ているジャンパー(サービスマニュアルでは「JUMPER RESISTOR」で「JW」から始まる部品)を狙う。
すると、C340(コンデンサ)とR337(抵抗)の間に5Vがあるのを発見。
この間には運よくJW019があるので、
↑この図の下方が基板奥側
これを+(プラス)とする。
↑JW019
場所的には、基板の中央の最も奥だ。
次に-(マイナス)だが、R337(抵抗)の次にあるR338(抵抗)の向こう側にそのポイントがあり、その先にはJW008があるのだが、
C901やC910といった大きなコンデンサと背面板の間であり作業が困難なので、右端のIC602の奥側にある基板を止めているネジのところにした。
関連:絶縁ターミナル
その左にあるJW216でも良いが。
後は、LED側の工作である。
当方のLEDコレクション(謎)から、白色を選択。
砲弾型の3mmと5mm、角型の3種類があるが、最も高さの低い3mmを選択したが、余裕はあるので、5mmでも問題ないだろう。
砲弾型は前方に光を集中させるので、砲弾の頭をテープの方向(=下方)に向ける。
↑下方から見たところ
プラ板を20cm幅と12cm幅の2枚を用意し、その上にLEDと抵抗を組み付ける。
↑上方から見たところ
LEDには極性があるので、プラスマイナスを逆に付けると点灯しない。
抵抗値は、以下から270Ωとした。
・電源電圧:5V
・電流:7.4mA
・VF(順方向電圧):3V
・抵抗:270.3Ω(0.0148W)
関連:LEDの抵抗値計算 (秋月電子通商)
大きなプラ板の上にLEDと抵抗、電線をテープで固定する。
この時のテープは、劣化で散ると、下にあるドラムヘッドに悪影響を与えるので、紙のテープは使用しないこと。
その上から小さなプラ板を載せて挟みテープで固定、その一式を、上述のネジ穴を使い、ネジとナットで固定。
↑LEDはネジよりも手前に来るので上からは見えない
大きなプラ板の手前側は前面パネルと長辺で全辺触れているので、ネジ固定が1箇所でも、回転することはない。
電線は、メカ部から出ているケーブルを固定しているリング状のプラスチックを使ってまとめておく。
これで完成。
電源を入れると点灯、切ると消灯する。
↑テープがない時
↑テープがある時
大した出費もなく目的達成。
これで、最廉価機種のDTC-790は、上位の「DTC-790ES」となったのかは知らない。
改良の余地
明るさはこれで十分であり、認識も十分可能であるが、まだ改良の余地がある。
・砲弾型だと光が鋭すぎるので、拡散キャップを被せるか、チップ型LEDを使い、面で光らせるか。
関連:チップ型LED
# 光を広げるという意味では、3mmではなく5mmを使った方が良かったか。
・カセットリッドの上辺から外に光が漏れているので、遮蔽板を付けるなどして、光が手前に出ないようにする。
↑光漏れがある
メンテナンスでメカ部を取り外す時に面倒なので、以下のような線材を使い、ケーブルを脱着可能にする。
関連:2ピン 脱着ケーブル
白色は認識には最適であるが、どうも普通すぎるので(笑)、青色/緑色(昔からある緑色ではなくエメラルドグリーン)/桃色(爆)あたりに交換するか。
↑青/緑/桃
1995年当時は無かったであろう桃色LEDを使用すれば、まさにナウなヤングである。
関連:桃色LED
DTC-59ES(1993年)やDTC-59ESJはLEDを搭載しているが暗いので、現代のLEDに交換すると明るくなるだろう。
LEDフィラメント
エジソン(1847年2月11日-1931年10月18日)もビックリの「LEDフィラメント」なるものを発見したので、それを使用した。
関連:LEDフィラメント
関連:LEDフィラメント
使用したLEDフィラメントの長さは、光部は30mm、端子間の長さは38mm、太さは1.8mmである。
曲げると容易に折れて破損するので、爪楊枝等で添え木をする必要がある。
# 曲げてもOKなものもあるようだが。
端子に小さい穴の開いている方がアノードである。
・電源電圧:5V
・VF(順方向電圧):3V
・抵抗にかかる電圧:2V
・抵抗:47Ω
・電流:0.043A(43mA)
・抵抗にかかる電力:0.09W
抵抗の定格電力:1/4W=0.25W
0.09Wは定格電力の半分以下なので問題なし。
試作ではLED側に置いた抵抗だが、本体後部のJW019(プラス側)に設置した。
メカ部を広く覆うため、試作よりも奥行きの長い130×120mmのプラ板を用意し、手前側から10mmの位置にフィラメントを固定(プラ板の上)し、赤丸の位置に穴を開けて前面パネルに固定した。
フィラメントや電線はプラ板の下ではなく上であり、プラ板はメカ部をほぼ覆っているので、マスキングテープ(=紙)でも問題ないだろう(劣化して散ってもメカには降りかからない)。
気になる場合は、劣化しても散らないテープとか、プラ板に穴を開けて結束バンドとか、釣糸とか、針金とか、接着剤とか、グルーガン/ホットボンドとか、固定する方法は様々ある。
上述した脱着式の線材を使い、メンテナンス時に切り離せるようにした。
プラ板の横幅が130mmよりも長いと、メカ部を固定している4ツのネジを外す/締める際に、ドライバーに干渉する。
光漏れは、厚紙でL字型の「暖簾(のれん)」を作り、プラ板の前方の上に重ねてネジで同時に止めて対策した。
この「暖簾」は、LEDとケースが接触(ショート)するのを防ぐ役目もある。
プラ板は、試作段階では何かの製品の外箱を使ったが薄いため、本番ではダイソーのPPシート(厚み0.75mm,乳白色,両面光沢)を使用。
関連:PPシート(乳白色、両面光沢、厚さ0.75mm、390×550mm) (ダイソー)
両面つや消しのもの、厚いもの、色付きのものもある。
関連:PPシート(乳白色、両面つや消し、厚さ0.75mm、390×550mm) (ダイソー)
関連:PPシート(乳白色、両面つや消し、厚さ1.2mm 300×470mm) (ダイソー)
関連:PPシート(カラー、両面つや消し、厚さ1.2mm、300×470mm) (ダイソー)
厚いものは強度があるが切るのが大変になるので、LEDフィラメントのような軽いものを載せるのには、0.75mmのもので十分。
LEDフィラメントは砲弾型LEDとは異なり光は拡散されるが、より拡散させたい場合は、両面光沢よりも両面つや消しを選ぶべきだが、光量は落ちる。
プラ板や厚紙が厚い場合は、ネジを5mm程度にしないと締められなくなる。
抵抗値を下げると、電流が増え、光量は増す。
LEDフィラメントにもよるが、今回のものの定格電流は0.1A(100mA)あたりだろう(不明瞭)。
スペックがハッキリしている製品の場合は、300mAあたりまでOkなものもある(長さにもよる)。
VF(順方向電圧)は色により異なり、2.8V-3.0Vあたり。
電源電圧が5.0Vの場合、
VF(順方向電圧)を2.8Vとした場合、
・100mA流す場合の抵抗値は22Ω(0.221W)
・150mA流す場合の抵抗値は14.7Ω(0.33W)
・200mA流す場合の抵抗値は11Ω(0.441W)
・300mA流す場合の抵抗値は7.4Ω(0.66W)
VF(順方向電圧)を3.0Vとした場合、
・100mA流す場合の抵抗値は20Ω(0.2W)
・150mA流す場合の抵抗値は13.4Ω(0.3W)
・200mA流す場合の抵抗値は10Ω(0.4W)
・300mA流す場合の抵抗値は6.7Ω(0.6W)
となる。
但し、抵抗の定格電力に注意!
抵抗の定格電力の半分程度に抑えるべきだとされている。
試しに10Ωの抵抗で試したところ、点灯はするが、抵抗が明らかに発熱していた。
10Ω時の抵抗にかかる電力を計算してみると、
・電源電圧:5V
・VF(順方向電圧):3V
・抵抗にかかる電圧:2V
・抵抗:10Ω
・電流:0.2A(200mA)
・抵抗にかかる電力:0.4W
これは抵抗の定格電力(0.25W)を超えており不適である。
なお、定格電力の半分(0.125W)を超えない範囲で最も近付けるための抵抗値は、
・電源電圧:5V
・VF(順方向電圧):3V
・抵抗にかかる電圧:2V
・抵抗:33Ω
・電流:0.06A(60mA)
・抵抗にかかる電力:0.12W
ということで33Ωとなる。
今回は33Ωの抵抗が手持ちになかったので47Ωとしたが、10Ωと22Ωは持っていたので、それらを直列につなげば32Ωは作れる。
LEDフィラメントの色だが、白色(2200K,3000K,4000-4200K,6500K)はテープの認識という点に於いてはベストだが、普通過ぎてつまらないので、試作段階では青色を使用。
これはこれでOKなのだが、
その後の本番では紫色に変更!
桃色に見えないこともないが(笑)
これを機に、2年と短命で終わった、SONYの高級ブランドであるQUALIA(クオリア)が復活、最廉価機種のDTC-790は、最/災上位の「QUALIA 018 DTC-790ES Super Ultra Limited Edition a-nkmrのサイン入り」が標準価格135万8,000円で発売され、予約開始後わずか2分で完売となったのかは知らない。
関連:QUALIA (Wikipedia)
メモ
LEDフィラメントは全方向に光が出るが、裏表があり光の強弱があるので、設置の際は向きを考慮すること。
今回は採用しなかったが、黒色の収縮チューブを使い、その一部を切り取って窓を開ければ、光の方向を制限することができる。
添え木の太さを含めた収縮チューブを使えば、添え木の固定と光方向制限が同時に可能。
但し、LEDフィラメントが壊れる恐れがあるので、加熱しての収縮はしないこと。
また、光を和らげるだけであれば、細いストローも使えるだろう。
LEDフィラメントの色
以下の9色のLEDフィラメントが販売されている。
・Warm White:2200K
・Warm White:3000K
・Neutral White:4000-4200K
・Cold White:6500K
・Red:618-623nm
・Green:535-545nm
・Blue:450-460nm
・Pink:500-515nm
・Purple:380-390nm
Whiteは4種類あり、K(ケルビン)が小さいと赤寄り、大きいほど青寄りになる。
関連:「電球色」「温白色」「昼白色」「昼光色」 (マネシタ電器)
Blueの管は無色透明、Purpleは薄桃透明であり中が見えるが、他は濃い色が付いており中が見えない(その色とLEDの光が反応して表記の色を出している)。
RedとPinkとPurpleは異なる色なのだが、同時に見比べないと区別が付きにくいというか、見ていると目がおかしくなり区別不能となる(笑)
DTC-ZE700
DTC-790と中身が同じDTC-ZE700にも、同様の方法でLEDが追加できるだろうが、
↑80,000円(1996年)
ケース(筐体)が変わっており、天板と重なる重なりしろがないのでネジ穴がなく、また、高さが16mm低くなっているので、取り付けられるスペースがあるかどうか…
DTC-690
DTC-790の前機種であるDTC-690だが、真上ではないものの使えるネジ穴があるので、同様の方法でLEDを追加できる。
↑DTC-690(1993年) 75,000円
実際に、外国人が基板を作成し、LEDを追加している。
電源の接続箇所は動画内にあるが、恐らく以下の位置かと思われる。
↑DTC-690でのLED接続箇所
ジャンパーが近いので、電線の接続は楽だ。
関連:[SONY] DTC-55ES(1990年発売)のレビューと修理 [DAT]
関連:[SONY] DATデッキ一覧とテープの価格変遷 [Digital Audio Tape]
関連:[SONY] MD/DAT/カセットデッキ 総合カタログ [1994年10月]
関連:[SONY] カセットデッキ/DATデッキ 総合カタログ [1996年10月]
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