[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK/MMI-6H2LWKC) [カセットデッキ]

2023年7月3日



33E2L12C

TC-RX50(1988年)やTC-RX51(1988年)、TC-RX55(1989年)で使われているモーター。

33E2L12C-1C_TC-RX50
↑TC-RX50:M1 X-3343-408-1 MOTOR ASSY(33E2L12C-1C)

33E2L12C-1H_TC-RX55
↑TC-RX55:905 X-3343-408-1 MOTOR ASSY (M901) 33E2L12C

これらの機種は、この1個のモーター(33E2L12C)で全てを動かしているので、動作が遅く緩慢。

関連:[SONY] TC-RX50(1988年発売)のレビュー [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RX55(1989年発売)のレビュー [カセットデッキ]

メカデッキの一新

1990年発売のTC-RX70以降、メカデッキが一新され、TCM-200を採用した機種には、モーターが3個搭載され、そのうち、MMI-6S2LKSがキャプスタンモーターである。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

「テープ再生/録音」「早送り/巻き戻し」「モード切替」とモーターが別になったことで、TC-RX5xに比べ、動作が格段に俊敏となった。

MMI-6S2LKS

TC-RX70(1990年発売)に搭載されているDCモーター。

MMI-6S2LKS_Apr-1990
↑MMI-6S2LKS(1990年4月製)

TC-RX70(1990年発売):オートリバース機:X-3356-635-1 MOTOR(CAPSTAN R2) ASSY

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

松下製。

後継のMMI-6S2LKとは仕様が同じなので、同じ型式のデッキでも混ざって使用されている可能性がある。

2線、裏面の穴(可変抵抗,Variable Resister)で速度調整可。

MMI-6S2LKS_分解

MMI-6S2LKSは、古くなると異音が出やすく、分解手入れをしても直らないことが多い。

分解しグリスを塗布すると収まるように見えるが、しばらく回転させ続けると再び鳴り出す。

なので、不良のMMI-6S2LKSを交換するなら、MMI-6S2LKSではなく、後述のMMI-6S2LKを推奨する。

MMI-6S2LK

上記の「MMI-6S2LKS」の末尾の「S」を外したモーター。

TC-RX77/TC-RX79/RX71xやTC-K700Sなど、多くの機種で搭載されているDCモーター。

MMI-6S2LK_Sep-1991
↑MMI-6S2LK(1991年9月製)

MMI-6S2LK
↑MMI-6S2LK(1992年3月製)

MMI-6S2LK_Jan-1993
↑MMI-6S2LK(1993年1月製)

TC-RX77(1991年発売):オートリバース機:X-3356-646-1 MOTOR(CAPSTAN V1) ASSY
TC-RX79(1992年発売):オートリバース機:X-3356-646-1 MOTOR(CAPSTAN V1) ASSY
TC-RX711(1993年発売):オートリバース機
TC-RX715(1994年発売):オートリバース機
TC-K700S(1993年発売):3ヘッド機:X-3356-646-1 MOTOR(CAPSTAN V1) ASSY

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

MMI-6S2LKSとMMI-6S2LKはロゴが違うが、いずれも松下製。

MMI-6S2LKSとMMI-6S2LKは仕様は同じなので、同じ型式のデッキでも混ざって使用されている可能性がある。

2線、裏面の穴(可変抵抗,Variable Resister)で速度調整可。

variable resister

下記写真中央上の「-(マイナス)」が見える穴がそれだ。

MMI-6S2LKの基板

ピンチローラーやキャプスタンベルトを交換した時には、速度調整をする必要がある。

速度調整には、マイナスドライバー(2.0mm)を使う。

穴側から見て時計回りで速くなる。

少し回すだけでもかなり変わるので、調整は根気が必要。

3kHz(=3000Hz)のテストテープで、10Hz程度は許容範囲。

調整しても、10分後にはズレているので、神経質にならないように。

クォーツロックサーボのない機種の限度なので仕方がない。

こだわるなら、クォーツロックサーボのあるES機か、後述のTC-K710Sを選ぶこと。

関連:[SONY] 3ヘッド機対決(比較) [TC-K222ESJ,TC-K710S,TC-K700S]

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令和追記:MMI-6S2LKは、古くなると、走行が不安定になる現象がある。

具体的には、テープの前半では問題ないが、途中で速度が低下するとか、A面では問題ないが、B面で速度が低下するなど。

テープの巻きが固いのかと思って他機で再生すると、何の問題もないので、当該機(モーター)が原因と思われる。

短時間の動作チェックでは問題ないため、不良に気付きにくい。

再生なら他機で再生すれば済むが、録音の際に速度低下が起きたテープを正常な機体で再生すると高速再生になってしまい、ソースによっては取り返しがつかないことになる。

微妙な速度低下なので、テープ窓の見た目では気付かない。

MMI-6H2LWK

クォーツロックサーボのTC-K710Sや、以下のピッチコントロール機能のある機種などに搭載されているDCモーター。

MMI-6H2LWK_Jul-1995
↑MMI-6H2LWK(1995年7月製)

MMI-6H2LWK_Aug-1995
↑MMI-6H2LWK(1995年8月製)

MMI-6H2LWK_TC-RX2000T
↑MMI-6H2LWK(2003年8月製)

TC-WR990(1992年発売)
TC-K710S(1995年発売)
TC-WR965S(1995年発売)
TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)
TC-RX2000T(2003年発売)
・TC-K411=TC-K511S(海外モデル)

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但し、例外もあり、例えば、海外モデルのTC-K411=TC-K511Sは、クォーツロックサーボやピッチコントロール機能がないモデルだが、キャプスタンモーターにはMMI-6H2LWKが使われている(速度調整は基板上にある)。

M2 X-3365-377-1 MOTOR ASSY, CAPSTAN

関連:[SONY] 海外モデルについて [カセットデッキ]

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以下はTC-RX1000Tに搭載されていたモーターだが、2002年と新しい(1994年から2003年8月まで生産)。

MMI-6H2LWK
↑MMI-6H2LWK(2002年5月製)

新しいMMI-6H2LWKは、ケーブルに赤/青/黄の色分けがなく、桃色のみ。

4線(DCサーボ)、裏面に可変抵抗なし。

穴があるので何か調整できるように思えるが、分解してみると分かるが、以下のように調整はない。

MMI-6H2LWKの基板

先のMMI-6S2LKと同じ感覚で調整しようとドライバーを入れるも、何の感覚もないので「?」となる。

この紛らわしい穴は一体何なのか!

何なる部品(フタ)の流用?

以下記事のように、TC-RX715TC-RX1000Tは兄弟機であるが、TC-RX715にはピッチコントロール機能がないため、TC-RX1000Tとはモーターが異なるので注意。

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

内部の油切れにより、以下動画のような異音が発生する。

関連:[SONY] 謎の異音、そして混迷へ [TC-RX1000T]

MMI-6H2LWKC

上記の「MMI-6H2LWK」の末尾に「C」が付いたモーター。

4線で、ピッチコントロール機能のあるデッキに使われている。

上のモーター同様松下製だが、ロゴが「三角」ではなく「M」になっている。

TC-WE475_カタログ

TC-WE475(発売年不明)

TC-WE475は、2011年頃まで販売されていた最後のダブルデッキで、Aデッキに再生ピッチコントロール機能がある。

関連:[SONY] カセットデッキの最終モデル [標準サイズ]

このモーターも、MMI-6H2LWK同様、異音が発生しやすいので、分解して手を入れる必要がある。

MMI-6S2LKS/MMI-6S2LKとMMI-6H2LWK/MMI-6H2LWKCの違い

前者のMMI-6S2LKS/MMI-6S2LKは、裏面の可変抵抗でしか速度調整できないが、後者のMMI-6H2LWKは、追加の2線により、外部からの速度変更が可能。

多くの場合、外部=ピッチコントロールなのだが、TC-K710Sは、クォーツロックサーボ制御につき、リアルタイムで速度調整を行っており、ES機に迫る正確なテープ送りを実現している。

# これが、TC-K700STC-K710Sの大きな差。

関連:[SONY] 3ヘッド機対決(比較) [TC-K222ESJ,TC-K710S,TC-K700S]

これらのモーターは、もはや新品では手に入らないので、壊れた場合は、中古機から移植するしかない。

異音が発生している程度であれば、以下の方法で修理(=静音化)は可能。

関連:[SONY] モーター分解と静音化 [カセットデッキ]

キツめのキャプスタンベルトを使うとモーターに負荷を掛けるので、キャプスタンベルトの選択は慎重に。

関連:[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]

なお、以下で書いたが、SONYのサービスセンターに消耗部品の交換を依頼すると、キャプスタンモーターも交換となっていた。

関連:[SONY] TC-K710Sの分解とTC-K700Sとの比較 [カセットデッキ]

消耗部品の交換は2004年時点での話であり、2021年時点で、SONYは修理を受け付けていない。

補修用性能部品の保有期間が経過したからである。

関連:[SONY] 製造打切年/補修用性能部品保有期間/修理対応終了年 [オーディオ]

SONYの最後のカセットデッキ?である、2003年に発売のTC-RX2000Tでも、既に18年が経過しているので、SONYのカセットデッキは全て、もはや修理依頼ができないということだ。

よって、修理業者に依頼するか、自力で直すことになるが、ゴムベルトやピンチローラーのように互換品があるものは互換品を使い、キャプスタンモーターロータリーエンコーダーのように互換品がないものは、強引に分解して直すか、アイドラーギアのように直せないものは、ジャンク機から移植するしかない。

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:キャプスタンモーター(MMI-6S2L)と互換品(EG-530AD-2B)



Posted by nakamura