[SONY] アイドラーのギア欠け(X-3356-641-1) [カセットデッキ]
早送り:テープ不動
巻き戻し:テープ不動
再生:片方のリールが回っていない
アイドラー不良状態で再生すると、キャプスタンは回るが巻き取られないため、テープが引き出されてしまう!
モード切替に不具合はなく、キャプスタンも回ることから、ゴムベルト(2本)に異常はない。
モードベルト:3-356-603-01
キャプスタンベルト:3-356-730-01
メカ部を取り出し、前面のプレートを外す。
アイドラーに注目!
ギアが欠けてる!
黒ワッシャーを外し、アイドラーを外す。
ギアがガタガタ!
このアイドラーの入手は困難なので、他のデッキから取り外す。
アイドラー一式を入替えてもいいが、今回はギアだけを入替えてみる。
アイドラーを底に穴のある台の上に乗せ、T5あたりのトルクスの先などで押して抜く!
軸の構造上、黒ワッシャーを先に抜くことはできないので注意。
双方とも分解、ギアを入替えるのだが、この時、Y字型の金属板の三端を内側に曲げ、ギアの回転に多少の抵抗を作ること。
グリスポイント(ギアとの接触面)
軸を入れすぎるとギアが固くて回らず、緩すぎるとギアの回転が軽すぎて不可となる。
黒ワッシャーを戻して組み直す。
動作確認
内側に向かってギアを押さえ付けるように。
アイドラー(X-3356-641-1) LEVER (FR2) ASSY
ギアは新しい機種だと欠けないというわけではなく、比較的新しい、TC-RX1000Tでも欠けている有様。
SONYからの部品の供給は終了しており、アイドラーやギアの新品は手に入らないので、他機から移植するしかない。
そのためにジャンク品を手に入れても、ギアが欠けていない保証はない…
3Dプリンターでの作成も困難かと思われる。
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振り子部分には、黒のものと白のものがある。
機能的な差はない。
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ギアには白い(乳白色)ものと透明のものがあるが、透明のものはギア欠けとなる。
↑透明(右)はギア欠け発生!
製造当初は問題なかったものの、塗布された油と反応して劣化、ギア欠けが生じる?
劣化の少ないキレイなアイドラーギアは、以下のような乳白色をしている。
欠けたギアは、残っている歯を爪で押すとカンタンに欠けてしまうほど弱くなっている。
透明のギアは、欠けていなくても、いずれ欠けると思われるので、中身を確認し、透明のギアが使われているようであれば、白いギアに交換しておきたい。
↑様々な劣化度のアイドラーギア
アイドラーのギアはアイドラー一式で以下の部品番号であり、
X-3356-641-1 LEVER (FR2) ASSY
ギアだけの部品番号は存在しない。
アイドラーをメカに止めている小さいワッシャーは
3-669-465-00 WASHER (1.5), STOPPER
3-669-465-11 WASHER (1.5), STOPPER
であり、2種類の大きさが存在する。
どちらも機能的な差はない。
保守部品
後に作られた、保守部品。
・X-3371-411-1 LEVER (FR2) ASSY:マレーシア製
振り子部分が白、ギアが黒となっている。
組込品の振り子部分には、白と黒があるが、ギアが黒なのは、この保守部品だけ?
ギア欠け対策品?
2010年前後までは手に入ったようだが、令和現在では、既に入手不可。
関連:[SONY] カセットデッキの修理について [サービスセンター]
ギア欠けなくとも
アイドラーギアに欠けが無くても、アイドラーの振り子の動きが悪くなると、早送り/巻き戻しの際にギアが掛からず、異音がして遅れるか、動かず停止してしまう。
関連:[SONY] アイドラーの動作不良 [カセットデッキ]
SONYの品質
アイドラーという重要な箇所に容易に欠けるギアを使用。
これが優秀な「ソニータイマー」を支える、日本の高度な技術である!
2021年7月時点でギア欠けが確認されている機種
・TC-K333ESG(1989年発売)
・TC-K555ESA(1991年発売)
・TC-KA5ES(1995年発売)
・TC-WR965S(1995年発売)
・TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)
・TC-K710S(1995年発売)
1989年(TCM-200メカ登場)から1995年以降まで、年代的に広く発生している。
また、低価格機だけでなく、ES機にもギア欠けが散見される。
他にも、再生/早送り/巻き戻しはできるも、時々「ギ~」というギアが擦るような異音がする場合、ギア欠けの可能性があるので、分解して調べるべきだ。
欠けた歯が少ない時点では、異音は稀にしか出ないので、中古で「再生できました」という機体でも注意が必要。
正常に動いていても、「ギギッ」という音がした後に不具合が出たら、それがギア欠けの断末魔である。
上述のように、アイドラーギアの入手は困難であり、ジャンク機から取るにしてもコストがかかる上に、それが正常なギアであるという確証はない。
ダブルデッキには、当然ながら2枚のギアあるので、ギア確保の意味では狙い目だが、メカがTCM-200であることを確認しておく必要がある。
関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]
関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]
関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]
関連:TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)
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