[SONY] TC-K500RとTC-RX55の比較 [1989年]

2022年11月10日

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1989年発売のオートリバース機

TC-K500R(54,800円)とTC-RX55(36,900円)は、両者とも1989年発売のオートリバース機だが、17,900円の差がある。

価格や型式からも分かるように、TC-K500Rの方が上位機種であるが、その差は何だろうか。

1989年(昭和64年/平成元年)

・昭和天皇崩御(昭和64年→平成元年)
・消費税法施行(3%)
・竹下→宇野→海部
・ひばり死去(52)
・中森明菜がマッチの自宅で(略)
・浜田麻里「Return to Myself
・プリンセス・プリンセス「Diamonds」:ソニーのカセットテープCMソング

・Wink「淋しい熱帯魚
・BARBEE BOYS「目を閉じておいでよ

外観

TC-K500R_カタログ
↑TC-K500R(1989年) 54,800円

TC-RX55_カタログ
↑TC-RX55(1989年) 36,900円

関連:[SONY] TC-RX55(1989年発売)のレビュー [カセットデッキ]

メカデッキ

・TC-K500R:TCM-CMAY X(xは不明)
・TC-RX55:TCM-170RB11

両者とも、ソレノイド(電磁石)を使ったメカで、電動扉ではなく、テープ窓も光らない。

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

メカデッキにTCM-170を採用したTC-RX5xは、それ以前のTCM-CMAY採用機よりも性能が低い。

仮掛_TC-RX55
↑TC-RX55の角ベルト

具体的には、モーターが2個→1個へと減少し動作緩慢となり、平ベルト→角ベルトでワウ・フラッター悪化。

TC-K500Rが優れている点

・サウンドオートフォーカス機能(REC LEVELが電動)
・電源ケーブルがキャプタイヤコード(太い)
・入出力端子が金メッキ
・カウンターが実時間 ← TC-RX55は単なる数字
・BIAS調整可能 ← TC-RX55は不可
・ヘッドホン端子の音量調整が可能 ← TC-RX55は音量調整不可
・DISPLAY MODE(リモコンでも可) ← TC-RX55は本体でもリモコンでも不可
・AMSがある(但し前後1曲のみ) ← TC-RX55はAMSなし
・ピークメーターが長い ← TC-RX55は極短
・プリエンドウインカー機能(録音時にテープ終端が近付くと、カウンターの数字が点滅して知らせる)
・再生、録音、ポーズボタンが自照式 ← TC-RX55はボタンの上(ボタン外)が光る

関連:[SONY] ヘッドホン端子と音量調整が可能なオートリバース機 [カセットデッキ]

関連:[SONY] テープオペレーション・インジケーター [カセットデッキ]

TC-RX55が優れている点

・マイク入力端子がある

TC-RX55_カタログ

同じ点

・LC-OFC巻線レーザー・アモルファスヘッド
・ドルビーHXプロ
・ドルビーB/C
・MPXフィルター(TC-K500Rはスイッチが背面にある)
・オートテープセレクター
・スーパーバイアス
・ディレクションモード(2モード)
・リモコン使用による、ワイヤレス・シンクロ録音

仕様比較

周波数特性

・TC-K500R:30Hz-20kHz ±3dB(EIAJ,Metal-Sカセット)
・TC-RX55:30Hz-18kHz ±3dB(EIAJ,Metal-Sカセット)

数字上はTC-K500Rの方が上だが、高い方の差なので、聴いて分かるかは不明。

周波数範囲

・TC-K500R:20Hz-21kHz(EIAJ,Metal-Sカセット)
・TC-RX55:20Hz-19kHz(EIAJ,Metal-Sカセット)

数字上はTC-K500Rの方が上だが、高い方の差なので、聴いて分かるかは不明。

ワウ・フラッター

・TC-K500R:±0.07%Wpeak 0.05%WRMS
・TC-RX55:±0.13%Wpeak 0.09%WRMS

上述のように、新メカ(TCM-170)の方が性能が低く、ワウ・フラッターが悪化している。

歪率

・TC-K500R:0.5%(EIAJ,Metal-Sカセット)
・TC-RX55:0.5%(EIAJ,Metal-Sカセット)

両者同じ。

消費電力

・TC-K500R:15W
・TC-RX55:16W

誤差の範囲。

サイズ

・TC-K500R:幅430x高さ125x奥行350mm
・TC-RX55:幅430x高さ120x奥行285mm

TC-K500Rは高さが5mm高く、奥行きが65mm長い。

重量

・TC-K500R:5.5kg
・TC-RX55:3.9kg

1.6kgもの差がある!

リモコン

・TC-K500R:RM-J500
・TC-RX55:RM-900S

両者ともリモコンが付属していた。

製造打切年等

TC-K500R
・製造打切年:1990年2月
・補修用性能部品保有期間:8年
・修理対応終了年:1998年2月

TC-RX55
・製造打切年:1989年12月
・補修用性能部品保有期間:8年
・修理対応終了年:1997年12月

両機とも修理対応終了年から20年以上経過しており、SONYは修理を受けない。

関連:[SONY] 製造打切年/補修用性能部品保有期間/修理対応終了年 [オーディオ]

外観類似機

TC-K500Rは、前年に出た廉価3ヘッド機であるTC-K600と外観が似ているので、両機を揃えると見た目は良い。

TC-K600_カタログ
↑TC-K600(1988年) 59,800円

関連:[SONY] 廉価の3ヘッド機(TC-K600,TC-K700S,TC-K710S) [カセットデッキ]

海外機に、TC-K500Rと外観の似たTC-K500というモデルがあるが、オートリバースではなく(片方走行)、BALANCEがなく(意味不明)、リモコン受光部もない。

関連:[SONY] 海外モデルについて [カセットデッキ]

どちらを選択するか

マイク入力端子以外はTC-K500Rの方が上であり、とにかくTCM-170がの性能が悪いので、TC-K500Rを選ぶことになるが、中古でもやはりTC-K500Rの方が高くなる。

両者以外のオートリバース機でも良いのなら、電動メカとなったTC-RX70(1990年)以降がいいというのは、TC-RX50TC-RX55のページで書いた通りだ。

1989年当時は待たないと後継機が出なかったが、令和時点では、過去の機種なら何でも選べる。

関連:[SONY] TC-RX55(1989年発売)のレビュー [カセットデッキ]

関連:[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

関連:[SONY] ヘッドホン端子と音量調整が可能なオートリバース機 [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RX55とTC-RX70の比較 [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-K501ESとTC-R502の比較 [オートリバース]



2022年11月10日

Posted by nakamura