[ドリテック] 電気ケトルの故障と修理 [ランプ不点灯]
電気ケトルが故障
電気ケトル(保温機能なし)が故障した。
ドリテックのPO-307BLという、0.8リットルのもの。
購入は2014年8月なので、10年と4ヶ月となる。
10年以上も経っているので、普通は「買い替え」となるだろうが、後学のためにも分解してみる。
ランプ不点灯
よくある故障は、通電せず加熱されないというものだが、本件は、加熱され沸騰するが、ランプが点灯しないというもの。
よって、温度ヒューズ等には異状なく、ランプ切れだろう。
まぁ、使えるには使えるが、加熱されているか不明なので不便であり、危険でもある。
切れたであろうランプを交換するだけで済むのだろうが…
分解
持ち手にある青いスイッチの内部に、ランプが組み込まれているので、持ち手を分解する。
持ち手の上部は、2ツのネジで止められているが、このネジはフタを外さないと外せない。
フタは金属ヘラで外側に曲げると、外すことができたが、折らないように注意。
持ち手はさらに、側面下部に4ツのツメで固定されているが、これはマイナスドライバーを差し込んで強引に外した。
# 傷だらけになるがキニシナイ!
底面には3ツのネジがあるが、今回は温度ヒューズに異状はないため、外す必要はない。
なお、本件では特殊なネジ(トルクスや間の埋まったマイナス等)はなく、プラスドライバーだけで済んだ。
観察
ランプ付近を観察する。
ランプの線はスイッチ(=本線)とは並列であり、ランプが切れても本線は有効なので、本件のように、ランプ切れ=使用不能とはならないのだ。
ランプには抵抗のようなものが接続されている。
ランプは、LEDでは「ない」ようだが、どの種のランプかは不明。
↑謎のランプ(このランプの正体は後述)
LEDと抵抗に置き換えれば済むかと思ったが、ランプ箇所にテスターを繋いで通電させると、先の抵抗を含めた状態で、AC(交流)の12Vを示した。
DC(直流)ではないので、そのままではLEDに置き換えることはできない。
スイッチ部は、3ツのネジで止められているので外してみる、
スイッチの裏には、丸い金属板がある。
本機は、沸いてしばらくすると電源がオフになる。
沸くと蒸気が発生し、その蒸気が持ち手の部分に流れ込む構造で、その熱で金属板が変形し、電源をオフにするのだろうか。
持ち手に蒸気が通るということは、すなわち濡れるということで、金属板がかなり錆びている。
よって、寿命と解し、修理などせずに、買い替えるべきだろう。
安いものなら1,600円ほどで買えるようなものだし。
ランプ部を組む
ランプ部を組んでいく。
ランプ部を構成する部品は、以下各1ツ。
・LED:青色 5mm
・抵抗:1kΩ
・ダイオード:1N4148
抵抗は、LEDに流れる電流を制限するために必要である。
LEDには極性があり、逆向きの電圧をかけると壊れてしまう。
そこで、ダイオードを追加する。
ダイオードには、逆向きの電圧をかけても、電流が流れないという性質があるからだ。
極性に注意!
・LED:極性あり(アノード/カソード)
・抵抗:極性なし
・ダイオード:極性あり(アノード/カソード)
・アノード(Anode):外部回路から電流が流れ込む電極
・カソード(Cathode):外部回路へ電流が流れ出す電極
これを、以下のように組む。
交流(プラスとマイナスが入れ替わる)なので、左端の部分はどちらに繋いでもよい。
LEDの色
LEDは各色持っているので、色を選択する。
赤色は、異常や警告を示す感があるので除外。
黄色は、普通すぎるので除外。
緑色は、暗いので除外。
白色は、状態を示さない感がある(=ただの灯り)ので除外。
ということで、青色を選択。
透過ボタンが青色なのでマッチするというのも選んだ理由だが、これは失敗であった(後述)。
大きさは、余裕があるので、3mmではなく5mmを選択。
上図とは異なり、アノード側ではなくカソード側に付けているが、回路的には同じである。
組み立て
電気ケトルに仮組し、電源を入れ、LEDが点灯することを確認する。
↑これは3mmのLEDだが、後で5mmにした。
最初、抵抗は2kΩを使用したが、点灯しなかったので、1kΩに変更した。
収縮チューブを使ってショート(短絡)を防ぐが、防水機能は期待できないだろう。
グルーガンを使い、LEDの位置を固定する。
持ち手を閉じるには、先に上部(ネジ側)をハメてから、下部の4ツのツメを入れる。
完成
ネジを締め、フタを取り付けて組み上げ、電源を入れる。
青色透過ボタン内に青色LEDを入れると、点灯していることが非常に分かりにくい!
青色の背景に、青色文字を打つようなものだ。
ここは黄色(点灯させると橙色)にすべきであった(=失敗)が、そのままとする。
水を入れて電源オンにし、湯が沸くことと、放置して電源が切れることを確認した。
部品や道具は全て持っていたので、今回の修理にかかった費用は0円だが、購入から10年以上が経過し、上述したような金属板の錆びもあるので、買い替えを推奨する。
追記:2025年1月10日
LED、しばらくは点灯していたのだが、点灯しなくなった。
そりゃそうだ、熱に弱いLEDを高温蒸気が通る場所に置けば、熱でやられるのは当然である(笑)
「謎のランプ」は「ネオンランプ」と判明したので、入手後、交換することにする。
関連:ネオンランプ(抵抗ナシ)
ネオンランプの特長は以下の通り。
・長寿命(1万時間から数万時間)
・交流でも点灯する
・極性ナシ
使われている箇所としては、
・電源タップ
・電子蚊取
・電気アイロン
・壁面の照明スイッチ(暗所での位置把握用)
などがある。
↑電源タップのネオンランプ
光色はオレンジ色が普通であるが、内部に蛍光剤を塗布し、緑色や青色の光にしているものもある。
# なのでオレンジ色はガラス管が透明で内部が見えるが、緑色や青色は蛍光剤のために白くなっており、内部が見えない。
交流使用時は、2本ある電極の両方が光る。
両方光っているように見えるが、高速で交互に光っている。
なので、電源タップのネオンランプを素早く顔を振りながら見ると、点滅しているように見える。
LEDとは異なり、交流でも使えることと、光り出す電圧が高い(60V程度)なので、家庭用電源(交流100V)等には有効である。
使用の際は、LED同様、制限抵抗(100kΩ程度)を直列に入れる必要がある。
そのため、以下のように、最初から抵抗が接続されているものも売られている。
関連:ネオンランプ(抵抗アリ)
先述の分解で「抵抗のようなものが接続されている」のは、この抵抗であろう。
明るさは電流に比例し、同一のランプでも抵抗値を下げて電流を増やせば明るくなるが、寿命は短くなる。
寿命は電流比の約3乗に反比例する。
電流を2倍にすれば明るさは約2倍になるが、寿命は約1/8(=1/23)になる。
直流でも光るが、光るのは陰極(カソード側)だけで、寿命は交流使用時の60%程度になる。
電気ケトルは長時間使うものではないので、多少ランプの寿命が短くなっても、視認性を優先(=明るく)した方が良いかは、各自の判断で。
追記:2025年1月15日
今だLEDのままであるが、再び点灯しだした。
具体的には、点灯しない、点灯する、点滅する、点灯後に消えるなど、非常に不安定。
やはり、ネオンランプへの交換が必要だろう。
土台
温度ヒューズの記載は、本体ではなく土台裏にある。
・温度ヒューズ:172℃ 1個
だが、温度ヒューズは土台内ではなく、本体底部にある。
よって、電源ケーブルの断線や接触不良が生じない限り、土台を分解する必要はない。
土台には、3ツのネジが使われているが、その内の1ツは、間の埋まったマイナスのような特殊なネジ。
これを外すには、間の開いたマイナスドライバーのような特殊なものが必要になる。
これは、以下のセットに入っている。
土台の内部。
上述のように、土台にはヒューズがないので、開けるのは電源ケーブルの断線や接触不良の時くらいだろう。
安全機構
沸騰すると、容器内の上部にある穴から、蒸気が持ち手内のスイッチ部に流れ、その熱で金属板が変形し、電源を切ると思われるが、
入れていてもフタを開けた状態だと、蒸気が持ち手内に流れず、電源が切れない。
また、水を入れていない場合(=空焚き)は、蒸気が発生しないので、電源が切れない。
沸騰が継続して水がなくなる(=空焚き発生)か、元から空焚きの場合は、本体底部が過熱し、内部にある温度ヒューズが切れ、強制的にオフになると思われる。
切れた温度ヒューズは交換するしかなく、底面を外して交換するか、廃棄として新品に買い替えることになるので、空焚きにはくれぐれも注意を!
関連:[タイガー] 炊飯器の故障と修理 [温度ヒューズ交換]
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません