[ドリテック] 電気ケトルの故障と修理 [ランプ不点灯]

2025年1月15日

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電気ケトルが故障

電気ケトル(保温機能なし)が故障した。

ドリテックのPO-307BLという、0.8リットルのもの。

PO-307BL

購入は2014年8月なので、10年と4ヶ月となる。

10年以上も経っているので、普通は「買い替え」となるだろうが、後学のためにも分解してみる。

ランプ不点灯

よくある故障は、通電せず加熱されないというものだが、本件は、加熱され沸騰するが、ランプが点灯しないというもの。

よって、温度ヒューズ等には異状なく、ランプ切れだろう。

まぁ、使えるには使えるが、加熱されているか不明なので不便であり、危険でもある。

切れたであろうランプを交換するだけで済むのだろうが…

分解

持ち手にある青いスイッチの内部に、ランプが組み込まれているので、持ち手を分解する。

持ち手のスイッチ

持ち手の上部は、2ツのネジで止められているが、このネジはフタを外さないと外せない。

2ツのネジ

フタは金属ヘラで外側に曲げると、外すことができたが、折らないように注意。

金属ヘラで外側に曲げる

持ち手はさらに、側面下部に4ツのツメで固定されているが、これはマイナスドライバーを差し込んで強引に外した。

4ツのツメで固定

# 傷だらけになるがキニシナイ!

底面には3ツのネジがあるが、今回は温度ヒューズに異状はないため、外す必要はない。

なお、本件では特殊なネジ(トルクスや間の埋まったマイナス等)はなく、プラスドライバーだけで済んだ。

観察

ランプ付近を観察する。

ランプ付近

ランプの線はスイッチ(=本線)とは並列であり、ランプが切れても本線は有効なので、本件のように、ランプ切れ=使用不能とはならないのだ。

ランプには抵抗のようなものが接続されている。

抵抗のようなもの

ランプは、LEDでは「ない」ようだが、どの種のランプかは不明。

不明なランプ
↑謎のランプ(このランプの正体は後述)

LEDと抵抗に置き換えれば済むかと思ったが、ランプ箇所にテスターを繋いで通電させると、先の抵抗を含めた状態で、AC(交流)の12Vを示した。

ACの12V

DC(直流)ではないので、そのままではLEDに置き換えることはできない。

スイッチ部は、3ツのネジで止められているので外してみる、

スイッチの裏

スイッチの裏には、丸い金属板がある。

丸い金属板

本機は、沸いてしばらくすると電源がオフになる。

沸くと蒸気が発生し、その蒸気が持ち手の部分に流れ込む構造で、その熱で金属板が変形し、電源をオフにするのだろうか。

持ち手に蒸気が通るということは、すなわち濡れるということで、金属板がかなり錆びている。

よって、寿命と解し、修理などせずに、買い替えるべきだろう。

安いものなら1,600円ほどで買えるようなものだし。

KTK-300-G

関連:ヒロコーポレーション 電気ケトル 1.0L

ランプ部を組む

ランプ部を組んでいく。

ランプ部を構成する部品は、以下各1ツ。

・LED:青色 5mm
・抵抗:1kΩ
・ダイオード:1N4148

抵抗は、LEDに流れる電流を制限するために必要である。

LEDには極性があり、逆向きの電圧をかけると壊れてしまう。

そこで、ダイオードを追加する。

ダイオードには、逆向きの電圧をかけても、電流が流れないという性質があるからだ。

極性に注意!

・LED:極性あり(アノード/カソード)
・抵抗:極性なし
・ダイオード:極性あり(アノード/カソード)

・アノード(Anode):外部回路から電流が流れ込む電極
・カソード(Cathode):外部回路へ電流が流れ出す電極

これを、以下のように組む。

ランプ部の図

交流(プラスとマイナスが入れ替わる)なので、左端の部分はどちらに繋いでもよい。

LEDの色

LEDは各色持っているので、色を選択する。

LED各色

赤色は、異常や警告を示す感があるので除外。

黄色は、普通すぎるので除外。

緑色は、暗いので除外。

白色は、状態を示さない感がある(=ただの灯り)ので除外。

ということで、青色を選択。

透過ボタンが青色なのでマッチするというのも選んだ理由だが、これは失敗であった(後述)。

大きさは、余裕があるので、3mmではなく5mmを選択。

組んだランプ部

上図とは異なり、アノード側ではなくカソード側に付けているが、回路的には同じである。

組み立て

電気ケトルに仮組し、電源を入れ、LEDが点灯することを確認する。

電気ケトルに仮組
↑これは3mmのLEDだが、後で5mmにした。

最初、抵抗は2kΩを使用したが、点灯しなかったので、1kΩに変更した。

収縮チューブを使ってショート(短絡)を防ぐが、防水機能は期待できないだろう。

グルーガンを使い、LEDの位置を固定する。

グルーガン

持ち手を閉じるには、先に上部(ネジ側)をハメてから、下部の4ツのツメを入れる。

完成

ネジを締め、フタを取り付けて組み上げ、電源を入れる。

電源オン

青色透過ボタン内に青色LEDを入れると、点灯していることが非常に分かりにくい!

青色の背景に、青色文字を打つようなものだ。

ここは黄色(点灯させると橙色)にすべきであった(=失敗)が、そのままとする。

水を入れて電源オンにし、湯が沸くことと、放置して電源が切れることを確認した。

部品や道具は全て持っていたので、今回の修理にかかった費用は0円だが、購入から10年以上が経過し、上述したような金属板の錆びもあるので、買い替えを推奨する。

追記:2025年1月10日

LED、しばらくは点灯していたのだが、点灯しなくなった。

そりゃそうだ、熱に弱いLEDを高温蒸気が通る場所に置けば、熱でやられるのは当然である(笑)

「謎のランプ」は「ネオンランプ」と判明したので、入手後、交換することにする。

ネオンランプ(抵抗ナシ)

関連:ネオンランプ(抵抗ナシ)

ネオンランプの特長は以下の通り。

・長寿命(1万時間から数万時間)
・交流でも点灯する
・極性ナシ

使われている箇所としては、

・電源タップ
・電子蚊取
・電気アイロン
・壁面の照明スイッチ(暗所での位置把握用)

などがある。

電源タップのネオンランプ
↑電源タップのネオンランプ

光色はオレンジ色が普通であるが、内部に蛍光剤を塗布し、緑色や青色の光にしているものもある。

# なのでオレンジ色はガラス管が透明で内部が見えるが、緑色や青色は蛍光剤のために白くなっており、内部が見えない。

交流使用時は、2本ある電極の両方が光る。

両方光っているように見えるが、高速で交互に光っている。

なので、電源タップのネオンランプを素早く顔を振りながら見ると、点滅しているように見える。

LEDとは異なり、交流でも使えることと、光り出す電圧が高い(60V程度)なので、家庭用電源(交流100V)等には有効である。

使用の際は、LED同様、制限抵抗(100kΩ程度)を直列に入れる必要がある。

そのため、以下のように、最初から抵抗が接続されているものも売られている。

ネオンランプ(抵抗アリ)

関連:ネオンランプ(抵抗アリ)

先述の分解で「抵抗のようなものが接続されている」のは、この抵抗であろう。

明るさは電流に比例し、同一のランプでも抵抗値を下げて電流を増やせば明るくなるが、寿命は短くなる。

寿命は電流比の約3乗に反比例する。

電流を2倍にすれば明るさは約2倍になるが、寿命は約1/8(=1/23)になる。

直流でも光るが、光るのは陰極(カソード側)だけで、寿命は交流使用時の60%程度になる。

電気ケトルは長時間使うものではないので、多少ランプの寿命が短くなっても、視認性を優先(=明るく)した方が良いかは、各自の判断で。

追記:2025年1月15日

今だLEDのままであるが、再び点灯しだした。

具体的には、点灯しない、点灯する、点滅する、点灯後に消えるなど、非常に不安定。

やはり、ネオンランプへの交換が必要だろう。

土台

温度ヒューズの記載は、本体ではなく土台裏にある。

温度ヒューズ_電気ケトル

・温度ヒューズ:172℃ 1個

温度ヒューズ 167℃

関連:温度ヒューズ(169度 10A 250V)

だが、温度ヒューズは土台内ではなく、本体底部にある。

よって、電源ケーブルの断線や接触不良が生じない限り、土台を分解する必要はない。

土台には、3ツのネジが使われているが、その内の1ツは、間の埋まったマイナスのような特殊なネジ。

特殊なネジ_電気ケトル

これを外すには、間の開いたマイナスドライバーのような特殊なものが必要になる。

特殊なドライバー_電気ケトル

これは、以下のセットに入っている。

関連:AC6088A 38in1 特殊ドライバーセット

土台の内部。

土台内部_電気ケトル

上述のように、土台にはヒューズがないので、開けるのは電源ケーブルの断線や接触不良の時くらいだろう。

安全機構

沸騰すると、容器内の上部にある穴から、蒸気が持ち手内のスイッチ部に流れ、その熱で金属板が変形し、電源を切ると思われるが、

容器内の上部にある穴

入れていてもフタを開けた状態だと、蒸気が持ち手内に流れず、電源が切れない。

また、水を入れていない場合(=空焚き)は、蒸気が発生しないので、電源が切れない。

沸騰が継続して水がなくなる(=空焚き発生)か、元から空焚きの場合は、本体底部が過熱し、内部にある温度ヒューズが切れ、強制的にオフになると思われる。

切れた温度ヒューズは交換するしかなく、底面を外して交換するか、廃棄として新品に買い替えることになるので、空焚きにはくれぐれも注意を!

関連:[タイガー] 炊飯器の故障と修理 [温度ヒューズ交換]



Posted by nakamura