[SONY] Discman D-223のレビュー [CDプレーヤー]

2024年1月5日

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SONYのポータブル型CDプレーヤーである、Discman D-223について。

内部_D-223

1bit DAC機で、1993年の発売、価格は25,000円。

音飛びガードもなく、チューナー(ラジオ)もなく、光デジタル出力もないので、ベーシックモデルである。

液晶リモコン付き「ニュアンスカラー」ディスクマン。

掲載カタログ

本機が掲載されているカタログの一部を挙げる。

・SONY ディスクマン カタログ 1993年5月 新製品 本機が表紙に登場

SONY ディスクマン カタログ 1993年5月

・SONY ディスクマン カタログ 1993年6月 新製品
・SONY ディスクマン 総合カタログ 1993年10月 新製品
・SONY ディスクマン 総合カタログ 1994年5月
・SONY ディスクマン 総合カタログ 1994年10月
・SONY ディスクマン 総合カタログ 1995年4月

後述するように、本機の製造打切年は1994年3月なので、カタログには掲載されていたが、既に製造は打切られていた時期がある(=それが普通)。

状況

再生は可能で音も出るのだが、再生中に次曲ボタンを連打すると、読みに行こうとするが、止まってしまう。

電池残量不足?とも思ったが、AC電源でも同様に落ちる。

分解して基板を眺めると、ボリューム横のコンデンサ(6.3V 330uF)が若干膨らんでいる感があったので外して調べるも、

6.3V_330uF_D-223
↑nichicon 330uF 6.3V

液漏れはなく、値的にも問題なし。

コンデンサ検査_D-223

手持ちに交換用のコンデンサもあったが、使わずに元に戻した。

フタの開閉検出スイッチがあるのだが、この接触不良?

開閉検出SW_D-223
↑中央の突起が開閉検出スイッチ

接点復活剤をSWに流し込んでみると、目下のところ、改善したように見える。

接点復活王

関連:接点復活王(ポリコールキング,サンハヤト)

分解は、底面のネジ6個(全部同じ)を外すだけで簡単。

ピックアップユニット他周辺も簡単に外せるが、フィルムケーブルに注意。

フィルムケーブル_D-223

茶色いロックを外してから、フィルムケーブルを抜く。

ピックアップ

ピックアップユニットは、KSS-331C。

KSS-331C_D-223

KSS-331Cを含む周辺一式は、KSM-331CANR。

KSM-331CANR_D-223

レールにある古いグリスを除去し、シリコングリスを塗布。

シリコングリースメイト

関連:シリコングリースメイト ペースト

このグリスは、プラスチックやゴムを侵さないので、安心して使用できる。

オペアンプ

JRC(新日本無線) 低飽和電圧オペアンプ NJM2100D

NJM2100D_D-223

これが2個使われている。

JRCは、2018年に日清紡ホールディングスの完全子会社となり、同年に日清紡ホールディングスの子会社としたリコー電子デバイスを2022年1月に吸収合併し、日清紡マイクロデバイス株式会社となった。

音質

ヘッドホンやスピーカーによるが、このディスクマンは、LINE OUTは大したことないが、ヘッドホン端子(緑色の端子)からの音は良い。

LINE OUT(素の音)ではないので、かなりいじられた音ということになるが。

重低音(BASS BOOST)のスイッチがあり、NORM(OFFの意味)/MID/MAXがあるのだが、MIDがいい感じ。

AVLS(Automatic Volume Limiter System:音量制限)のスイッチがあり、OFF/1/2があるのだが、これはOFFで。

# Limiterは「t」が1個で正。

Panasonicの同様のCDプレーヤーにも「S-XBS」という重低音強調があるが、「S-XBS」はただボンボンさせているだけだが、本機の「DBB(DYNAMIC BASS BOOST)」は、その質が全く違う。

パソコン上で色々工夫しても、この音はなかなか作れないのではないか?と思わせるもの。

手持ちの音源を集めて音楽CD(CD-DA)を作り、本機で再生してみよう。

ただ、元から低音が強調されたような音楽だと、クドく感じるかもしれない。

上述のように、これは、ヘッドホン端子(緑色の端子)限定だが、マイク付きのヘッドセットのような4極のものは、音が変になるので、この端子には使えない。

4極と3極
↑4極(上)と3極(下)

3極のヘッドホンを使うか、4極→3極の変換ケーブルを使おう。

4極→3極の変換ケーブル

関連:4極→3極の変換ケーブル

ポップスを聴くなら、据置機であるCDP-597よりも音質が良いと感じるが、精細感はやはりCDP-597の方が上。

CDP-597_カタログ
↑CDP-597(1991年発売) 29,800円

関連:[SONY] CDP-597(1991年発売)のレビュー [CDプレーヤー]

元から低音が強調されたような音楽は、CDP-597が適する。

比較には、ゼンハイザーのHD 599を使用。

HD 599

・型式:ダイナミック・オープン型
・周波数特性:12-38,500Hz
・インピーダンス:50Ω
・感度:106dB

ただ、BASS BOOSTをON(MID/MAX)にすると、低音強調が入ったり切れたり、連続で波打つような感じがすることがある。

# 再現性がハッキリせず不明。

波打つ感じなので、スイッチの接触不良などではない。

AVLS(音漏れ防止)がONなら分かるが、OFFである。

そういうものなのか、それとも、何かしらの部品の劣化?

よく考えると、同年発売のCDP-611が29,800円なのに対し、本機が25,000円であり、5千円の差しかない。

CDP-611_カタログ
↑CDP-611(1993年) 29,800円

となると、本機は高級品?(違う)

関連:[SONY] CDP-591,CDP-597,CDP-611,CDP-720,CDP-991,CDP-997,CDP-911,CDP-X333ES,CDP-X555ES,CDP-X777ES,CDP-S35,CDP-S1 [スペック比較]

その他

分解せずとも、レンズのクリーニングは可能。

CD-R(CD-DA)再生可能、CD-RWは認識不可(no disc)。

しかし、新しいCD-R(RO-CR07M-050PW/N)は、認識できなかった。

RO-CR07M-050PW

ディスクを入れて再生ボタンを押すと、回転し始めるが、ディスクを認識できずに、すぐに電源が切れてしまう。

他のCDプレーヤーでは再生できるので、焼きエラーではない。

このCD-Rはベトナム製で1枚20円、質が低い(=反射率が低い)のかは分からない。

LINE OUTは音量固定であり、BASS BOOSTやAVLSは無効。

ヘッドホン端子はリモコン対応だが、音声部分は普通の3.5mmステレオジャックであり、特殊端子ではない(=リモコンが無くても聴ける)。

光デジタル出力はない。

データをメモリーに蓄える音飛び対策機能はないので、振動に弱い。

電池は単三×2本、ニッケル水素電池(1.2V)も使える。

電池フタが壊れやすいようなので開閉の際は注意。

外部電源端子は後部にあり、電圧は4.5V。

センタープラス、外径4mm、内径1.7mmなので、PSPの電源供給用USBケ-ブルが使える。

PSPの電源供給用USBケ-ブル

電圧は5Vとなるが、1.11倍なので、問題ないでしょ…

液晶のバックライトは橙に光る。

電池駆動時は操作直後しか光らないが、外部電源の時は常時光る。

CXP83916_CXD2515Q_D-223
↑CXP83916とCXD2515Q

リモコン

・1-467-068-11 REMOTE COMMANDER (RM-DM12) (BLACK)
・1-467-146-11 REMOTE CONTROL UNIT (RM-DM16L) (BLACK)
・1-467-146-21 REMOTE CONTROL UNIT (RM-DM16L) (BLUE)
・1-467-146-31 REMOTE CONTROL UNIT (RM-DM16L) (PINK)

RM-DM12には表示部がないが、RM-DM16Lには液晶が付いている。

取扱説明書

2022年10月現在でも、英語版になるが、取扱説明書がSONY USAのサイトで入手できる。

DISCMAN D-223 User's Guide

関連:DISCMAN D-223 User’s Guide (SONY USA)

SONY公式なのに、紙スキャンの劣悪なものしかないとは?

なお、取扱説明書内の日付は、本機発売の1993年、サイト上の日付は「Release Date:08/18/2003」となっている。

製造打切年等

・製造打切年:1994年3月
・補修用性能部品保有期間:8年
・修理対応終了年:2002年3月

修理対応終了年から20年以上経過しており、SONYは修理を受けない。

関連:[SONY] 製造打切年/補修用性能部品保有期間/修理対応終了年 [オーディオ]

コンデンサ

同時期の他のディスクマンとは異なり、表面実装型のコンデンサが使われていないので、液漏れは少ない模様。

表面実装型のコンデンサは、この時期の短波ラジオに多数使われており、液漏れで悲惨な状況。

とはいっても28年前の機種、容量抜けのコンデンサがあるかもしれないので全部調べたいが、外すのが面倒なので放置(笑)

追記:交換してみた結果は以下。

関連:[SONY] Discman D-223の修理 [CDプレーヤー]

CAPACITOR一覧

「Description」に「ELECT」とあるのが、アルミ電解コンデンサ。

CAPACITOR_D-223

使われているアルミ電解コンデンサ

SM:Service Manual

・C348:25V 3.3uF(日本ケミコンSRM) SMでは3.3uF 20% 50V

・C342:6.3V 10uF(松下KS 黒) SMでは10uF 20% 16V 当方の個体ではELNA

・C301:6.3V 22uF(松下KS 黒) SMでは22uF 20% 6.3V
・C344:6.3V 22uF(松下KS 黒) SMでは22uF 20% 6.3V

・C530:10V 22uF BP(ニチコン 5mm高) SMでは22uF 20% 10V 当方の個体ではELNA
・C531:10V 22uF BP(ニチコン 5mm高) SMでは22uF 20% 10V 当方の個体ではELNA

・C302:4V 33uF(ルビコン 5mm高) SMでは33uF 20% 4V
・C510:4V 33uF(ルビコン 5mm高) SMでは33uF 20% 4V

・C408:10V 33uF(三洋OSCON) SMではSOLID 33uF 20% 10V
・C411:10V 33uF(三洋OSCON) SMではSOLID 33uF 20% 10V

・C409:10V 33uF(ルビコン 5mm高) SMでは33uF 20% 10V

・C501:6.3V 100uF(ルビコン 5mm高) SMでは100uF 20% 10V
・C536:6.3V 100uF(ルビコン 5mm高) SMでは100uF 20% 10V

・C122:4V 220uF(ELNA 紺 5mm高) SMでは220uF 20% 4V
・C222:4V 220uF(ELNA 紺 5mm高) SMでは220uF 20% 4V

・C528:10V 220uF(ニチコン 5mm高) SMでは220uF 20% 10V

・C318:6.3V 330uF(ニチコン 5mm高) SMでは330uF 20% 6.3V

合計17個。

参考:SONY Discman D-223 (右京氏)

手元にある新品のコンデンサを調べると、耐圧と容量的には合うものの、大きすぎて格納できないものが大半。

高さ5mmのコンデンサ

コンデンサで高さ5mmのものは入手困難だが、AliExpressで根気よく探すと、以下を発見。

(2022年9月/11月時点)

価格は「商品代+送料」で表記。

50V 3.3uF 50pcs 129+152円 直径3mm 高さ5mm

16V 10uF 10pcs 171+152円 直径5mm 高さ5mm ELNA

50V 22uF 10pcs 197+229円 直径8mm 高さ5mm ELNA
16V 22uF 20pcs 874(11月セール)+0円 直径5mm 高さ5mm ELNA

25V 33uF 30pcs 1,113+0円 直径6.3mm 高さ5mm

25V 100uF 10pcs 91+152円 直径8mm 高さ5mm ニチコン

10V 220uF 10pcs 197+152円 直径8mm 高さ5mm ELNA

6.3V 330uF 20pcs 110+393円 直径8mm 高さ5mm

正確性は保証しないし(当然)、実際に格納できるかも知らない。

販売店が同じだと、送料が軽減できるかもしれないが、それを考慮しないと、上記合計、5,126円。

先人情報によると、ケーブルの抜き差しで負荷がかかり、ヘッドホン端子やLINE OUT端子付近の基板が割れる事象が多いようなので、コンデンサ交換の際に、合わせてチェックを。

関連:[SONY] Discman D-223の修理 [CDプレーヤー]

関連:[SONY] CDP-997(1991年発売) レビュー [CDプレーヤー]

関連:[SONY] CDP-597(1991年発売)のレビュー [CDプレーヤー]

関連:[SONY] CDP-S35(1995年発売)のレビュー [CDプレーヤー]

関連:[SONY] CDP-S35とMDS-S37 [CD/MD]

先人情報

関連:SONY Discman D-223

関連:SONY D-223(1993)

関連:SONY Discman D-223



Posted by nakamura