[Victor] SR-S365UとSR-S388E [JVC]

2025年9月25日

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日本ビクターの業務用のS-VHS(スーパーVHS)カセットレコーダーである、SR-S365UとSR-S388Eに関する情報。

Victor_SR-S365U
↑SR-S365U(1996年)

日本ではVictor、海外ではJVC(Japan Victor Company)ブランドで出ている。

Victor_Logo

JVC_Logo

ビクターは、家庭用ビデオフォーマットのVHSの開発メーカーである。

VHS_Logo

1976年9月9日にVHSビデオデッキの初号機(HR-3300)を発表し、2008年の単体VHSビデオデッキの生産終了時点では、VHSビデオデッキの累計出荷台数は9億台以上。

VHS(1976年) → S-VHS(1987年) → W-VHS(1993年) → D-VHS(1997年)

関連:VHS VIDEO 10TH ANNIVERSARY (1986年)

2008年10月1日に同業のケンウッドと経営統合し、JVC・ケンウッド・ホールディングス(現・JVCケンウッド)を設立、2011年10月1日にケンウッド、J&Kカーエレクトロニクスと共にJVCケンウッドへ吸収合併され消滅、日本ビクターは84年の歴史に幕を下ろした。

関連:日本ビクター (Wikipedia)

SR-S365UとSR-S388E共通

外装は、少し緑/青の入った灰色の、ミリタリー的な色。

CTL Time Code(時:分:秒:フレーム)対応。

RS-232C接続により、外部操作が可能。

編集コントローラーであるRM-G800Uが接続可能。

Victor_RM-G800U

但し、CTLタイムコード編集に対応するのは、RM-G800Uのシリアルプレートにあるモデル番号の後に「X」が付いている個体のみ。

ヘッドホン端子(3.5mm ステレオ)があり、ボリューム調整可能。

ヘッドホン端子やボリュームは、民生機にも上位機にはあったので、業務用としての特別なものではない。

民生用とは異なり、リモコンは付属しない。

# FL管の左に赤外線リモコンの受光部のようなものがあるが、これを使うリモコンがあるのかは不明。

メカ的には民生機と大差なく、特に耐久性が高いということはない。

高速早送り/巻き戻しのようなものはなく、民生機よりも遅い(後述)。

業務用のためか、民生機では「S映像」とあるS端子の表記が、「Y/C」となっている。

背面端子_SR-S365U
↑SR-S365Uの背面端子

・Y:輝度信号(Luminance)
・C:色信号(Chrominance)

関連:S端子 (Wikipedia)

正面から見える脚は、完全に造形の「ハリボテ」である。

編集機能が目的ではなく、単に安価な「業務用」として、結婚式場や会館、学校(講義室や視聴覚室)等で使用されていた。

なお、TVチューナーは非搭載だが、アナログ放送は既に終了しているので、今となってはない方が好ましい。

SR-S365U

1996年発売。

Victor_SR-S365U

Victor_SR-S365U

メニュー一覧

使用ボタン ③MENU ④SET ⑤SELECT

ボタン_SR-S365U

メニューの内容は、以下動画の通り。

録画時の標準モード(SP,Standard)と3倍モード(EP,Extended)の切り替えは、「335:RECORDING MODE」で行い、民生機のようなボタンはない。

「338:MENU SW2」をOPENにすると、項目が追加される。

使用/稼働状況を示す「アワーメーター」は、後述する。

SR-S388E

SR-S365Uの機能追加版。

Victor_SR-S388E

Victor_SR-S388E

Victor_SR-S388E

タイムベースコレクタ(TBC:Time Base Corrector)が追加。

背面のモニター出力の音声が、2系統ある(SR-S365Uは1系統)。

前面

機能が違ったり、SR-S388Eでは追加されていたりする。

前面_SR-S365U

前面_SR-S388E


・SR-S365U:A.MIX(Audio mixing) Indicator
・SR-S388E:16:9 Indicator

TBC(Time Base Corrector)
・SR-S365U:ナシ
・SR-S388E:TBC switch(⑲)

背面

背面_SR-S365U

背面_SR-S388E

⑦AUDIO MONITOR OUT connectorの数が、SR-S365Uは1ツ(モノラル)に対し、SR-S388Eは2ツある(但しモノラル)。

早送り/巻き戻し

高速早送り/巻き戻しのようなものはなく、民生機よりも遅い。

同一テープ(富士フィルム,120分)での速度比較

民生機 SHARP VC-BF90(17W,1997年)
・早送り:2分22秒
・巻戻し:2分09秒

Victor SR-S365U(20W,1996年)
・早送り:3分03秒(+41秒,128.87%)
・巻戻し:2分40秒(+31秒,124.03%)

その他

SR-S365Uには1枚もののカタログ(システム対応S-VHSビデオ,1997年12月)が存在する。

消費電力
・SR-S365U:20W(AC 120V, 60Hz)
・SR-S388E:22W(AC 220-240V, 50/60Hz)

大きさ:
・SR-S365U:W400 x H94 x D340mm
・SR-S388E:W400 x H94 x D341mm

重量:
・SR-S365U:4.8kg
・SR-S388E:5.0kg

アワーメーター

アワーメーターはMENUにはなく、以下の操作で出る「隠し項目」となっている。

# SR-S388Eは「338:MENU SW2」をOPENにすると、MENUにアワーメーターを出せる。

1.電源を入れる
2.STOPボタンを押しながら、MENUボタンを押す
3.SUB MENUが出るので、SELECTを押してHOUR METERを選び、SETを押す

SUB MENU

SUB MENU>HOUR METER

909:DRUM HOUR METER

xxxxh ← ヘッドドラムの稼働時間(単位:h=時間)

MENUボタンで抜ける。

より詳細なアワーメーターを見る方法を、以下に記す。

STOP、PAUSE、MENUの3ボタンを同時に押す。

SERVICE MENUに入るので、SELECTを押してHOUR METERを選び、SETを押す。

SERVICE MENU

先のSUB MENUとは異なり、他のHOUR METERも確認できる。

SERVICE MENU>HOUR METER

908:OPERATE HOUR METER(電源オンの時間)
909:DRUM HOUR METER(ヘッドドラムの稼働時間)
910:CAP HOUR METER(キャプスタンモーターの稼働時間)

SELECTで次ページ

SERVICE MENU>HOUR METER

912:OPERATE ON TIMES(電源オンの回数)
913:LOADING TIMES(テープをロードした回数)
914:EJECT TIMES(テープを取り出した回数)

MENUボタンで抜ける。

最初に同時押しで入るのだが、離すタイミングがズレると普通のMENUやSUB MENUが発動してしまうのが難儀。

メンテナンス

SR-S365Uの内部は、以下の通り。

内部_SR-S365U

使用されているゴムベルトは、合計3本。

ゴムベルト_SR-S365U

内2本は、メカ部裏面にあるので、メカを外さなければアクセスできない。

メカ部裏面にあるゴムベルト

当然だが、メカを外す際は、基板につながっているケーブルに注意!

2025年9月時点では、ゴムベルトが伸びて使えないということは無く、再利用が可能であった。

ゴムベルトを外し、アルコールでゴムベルトとプーリーの溝を拭き、乾燥後、再度装着する。

ゴムベルトを拭く際は、伸ばし過ぎないように注意!

キャプスタンベルトが伸びていると、早送り/巻き戻しが途中で止まったり、巻き切るのにえらく時間を要したりする。

スポンジが劣化しボロボロになっていることが多いヘッドクリーナーは、本機では問題なかったので、撤去せずに残してある。

ヘッドクリーナー_SR-S365U

さすがは業務用?(違う)

動画


↑JVC SR-S365U


↑JVC SR-S388E


↑JVC SR-S388E(RS-232C接続によるPCからの操作)

外部リンク

関連:S-VHS RECORDER/PLAYER SR-S365U

関連:EDITING CONTROLLER RM-G800U



Posted by nakamura