[SONY] トランジスタ(2SD809)の故障 [TC-R502]

2023年6月29日



1986年に発売されたオートリバース機であるTC-R502について。

TC-R502_カタログ
↑TC-R502(1986年) 69,800円

詳細は以下記事を読んでもらうとして、

関連:[SONY] TC-R502(1986年発売) レビュー [カセットデッキ]

使われているトランジスタに関して。

基板奥角(表から見ると左奥、裏からだと右奥)にある、Q516(2SD809)。

Q516_TC-R502

Q516_TC-R502

Q516 8-729-180-93 TRANSISTOR 2SD809

2SD809の故障

Q516の2SD809が壊れ、電子部品チェッカーではDiode(ダイオード)を示す事案。

ダイオードを示す2SD809

2SD809はNPN型のトランジスタだが、電子部品チェッカーだと、何故かPNP型を示す、謎の事案も。

PNP型を示す2SD809_TC-R502

回路図を追い、トランスから順に電圧を調べていくと、Q516のE(エミッタ)の5.7Vが出ていない。

Q516_5.7V_TC-R502
↑これは裏からなので、左右は逆

Q516_5.7V_TC-R502

2SD809は非常に発熱するため、茶色のヒートシンクにネジ止めされているのだが、手で触れても熱がないことからも、故障していると推測できる。

Q516へのアクセス

本機は底板が外せるが、Q516は基板の端にあるため、隠れて見えない!

だが、基板を外して寄せることで、かろうじてQ516にアクセスすることは可能。

Q516_TC-R502

ケーブルを残したまま、Q516を交換することができる。

2SD809を交換

他機から外した2SD809を、電子部品チェッカーで調べる。

正常な2SD809_TC-R502
↑D809E 413hFE

これが正常な2SD809である。

2SD809のhFEは、以下の通り。

2SD809(NEC)
・L:135-270
・K:200-400
・F:300-480
・E:360-600

脚の並びは、正面からE,C,B。

2SD809が異常になると、電源は入り動作もするが、テープを動かすと、FL管の一部が消えてしまうことがある。

テープ停止時_TC-R502
↑テープが止まっていると正常だが、

テープを動かすと、

テープ動作時_TC-R502
↑レベルメーターのマイナス部分の目盛と「0VU」と「ドルビーマーク」が消えた

正常な2SD809と交換すると、FL管も正常となった。

Q516とQ504とも、以下のように、放熱用のグリスを塗布してから、ネジ止めしておく。

対策後のQ516_TC-R502

放熱用のグリスは、パソコンのCPU等に使うヤツね。

なお、2SD809は、基板中央奥のQ504にも使われている。

8-729-180-93 TRANSISTOR 2SD809

Q504 8-729-180-93 TRANSISTOR 2SD809

使われているランクは、EないしFである。

2SC2603Fは2SC2785

Q516の横(回路的には手前)にあるQ515は、サービスマニュアルでは「2SC2603F」だが、

Q515_TC-R502
↑Q515 8-729-606-33 TRANSISTOR 2SC2603F

実際には「C2785」が使われていた。

2SC2785のhFEは、以下の通り。

2SC2785(NEC)
・RF:110-180
・JF:135-220
・HF:170-270
・FF:200-320
・EF:250-400
・KF:300-600

脚の並びは、正面からE,C,B。

これは、2SC1675(hFE:155)で代用可能だった。

2SC1675のhFEは、以下の通り。

2SC1675(NEC)
・M:40-80
・L:60-120
・K:90-180

脚の並びは、正面からE,C,B。

脚の並びも同じなので、そのまま使える。

hFEは高くなるが、入手しやすい2SC1815でも大丈夫だろう。

発売から35年以上が経過し、コンデンサだけでなく、トランジスタ、トリマー(半固定抵抗)にも、続々と不良が発生。

半固定抵抗_TC-R502

トランジスタは他にも多数使われているが、それが不良だと特定するには、相当な労力を要する。

今後、ますますジャンク機が増えてくるだろう。

関連:[SONY] TC-K501ESとTC-R502の比較 [オートリバース]

関連:電子部品チェッカー(LCR-T4/MTester)の故障と再購入



Posted by nakamura