[SONY] トランジスタ(2SD809)の故障 [TC-R502]
1986年に発売されたオートリバース機であるTC-R502について。
↑TC-R502(1986年) 69,800円
詳細は以下記事を読んでもらうとして、
関連:[SONY] TC-R502(1986年発売) レビュー [カセットデッキ]
使われているトランジスタに関して。
基板奥角(表から見ると左奥、裏からだと右奥)にある、Q516(2SD809)。
Q516 8-729-180-93 TRANSISTOR 2SD809
2SD809の故障
Q516の2SD809が壊れ、電子部品チェッカーではDiode(ダイオード)を示す事案。
2SD809はNPN型のトランジスタだが、電子部品チェッカーだと、何故かPNP型を示す、謎の事案も。
回路図を追い、トランスから順に電圧を調べていくと、Q516のE(エミッタ)の5.7Vが出ていない。
↑これは裏からなので、左右は逆
2SD809は非常に発熱するため、茶色のヒートシンクにネジ止めされているのだが、手で触れても熱がないことからも、故障していると推測できる。
Q516へのアクセス
本機は底板が外せるが、Q516は基板の端にあるため、隠れて見えない!
だが、基板を外して寄せることで、かろうじてQ516にアクセスすることは可能。
ケーブルを残したまま、Q516を交換することができる。
2SD809を交換
他機から外した2SD809を、電子部品チェッカーで調べる。
↑D809E 413hFE
これが正常な2SD809である。
2SD809のhFEは、以下の通り。
2SD809(NEC)
・L:135-270
・K:200-400
・F:300-480
・E:360-600
脚の並びは、正面からE,C,B。
2SD809が異常になると、電源は入り動作もするが、テープを動かすと、FL管の一部が消えてしまうことがある。
↑テープが止まっていると正常だが、
テープを動かすと、
↑レベルメーターのマイナス部分の目盛と「0VU」と「ドルビーマーク」が消えた
正常な2SD809と交換すると、FL管も正常となった。
Q516とQ504とも、以下のように、放熱用のグリスを塗布してから、ネジ止めしておく。
放熱用のグリスは、パソコンのCPU等に使うヤツね。
なお、2SD809は、基板中央奥のQ504にも使われている。
Q504 8-729-180-93 TRANSISTOR 2SD809
使われているランクは、EないしFである。
2SC2603Fは2SC2785
Q516の横(回路的には手前)にあるQ515は、サービスマニュアルでは「2SC2603F」だが、
↑Q515 8-729-606-33 TRANSISTOR 2SC2603F
実際には「C2785」が使われていた。
2SC2785のhFEは、以下の通り。
2SC2785(NEC)
・RF:110-180
・JF:135-220
・HF:170-270
・FF:200-320
・EF:250-400
・KF:300-600
脚の並びは、正面からE,C,B。
これは、2SC1675(hFE:155)で代用可能だった。
2SC1675のhFEは、以下の通り。
2SC1675(NEC)
・M:40-80
・L:60-120
・K:90-180
脚の並びは、正面からE,C,B。
脚の並びも同じなので、そのまま使える。
hFEは高くなるが、入手しやすい2SC1815でも大丈夫だろう。
発売から35年以上が経過し、コンデンサだけでなく、トランジスタ、トリマー(半固定抵抗)にも、続々と不良が発生。
トランジスタは他にも多数使われているが、それが不良だと特定するには、相当な労力を要する。
今後、ますますジャンク機が増えてくるだろう。
関連:[SONY] TC-K501ESとTC-R502の比較 [オートリバース]
関連:電子部品チェッカー(LCR-T4/MTester)の故障と再購入
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