[SONY] メカデッキ(TCM-110/TCM-CMAY/TCM-170/TCM-200/TCM-190)について [カセットデッキ]

2024年9月15日



カセットデッキのカセットを入れる部分一式を「メカデッキ(MECHA-DECK)」という。

TCM-200D2_TC-RX70
TC-RX70(1990年)のメカデッキ

メカ比較_TC-K710S_TC-K700S
↑(左)TC-K710STC-K700S(右)のメカデッキ

SONYのカセットデッキには様々な機種(型式)があるが、メカデッキは、大別すると、それほど多くはない。

メカデッキにはTCM-200D2やTCM-200R6のような枝番が付くが、枝番による差は小さいので、大番の機構が分かれば、枝番が異なっても問題なくメンテナンスできる。

以下は、SONYのカセットデッキのメカデッキの一部である。

TCM-110

ソレノイド(SOLENOID,電磁石を使った動作部品)を使ったメカ。

テープ窓はオレンジ色に光るが、扉は手動式。

# 扉が「手動式」というのは、OPENボタンを押すと、バネの力で開くが、閉める時はカセットリッドを手で押して閉める必要がある(=再度ボタンを押しても閉じない)ということ。

採用機種(ES機)
TC-K555ES(1982年):TCM-110C3
TC-K333ES(1984年):TCM-110C5

・TC-K501ES(1985年):TCM-110R3 日本では唯一のES付きのオートリバース機

TC-K501ES_フルカタログ

TC-K333ESX(1987年):TCM-110D2
TC-K555ESX(1986年):TCM-110x(xは不明)
TC-K333ESR(1988年):TCM-110D3
TC-K555ESR(1988年):TCM-110x(xは不明)
・その他

TC-K555ESR

ソレノイド
1-454-333-00 SOLENOID, PLUNGER
1-454-291-00 SOLENOID, PLUNGER

TCM-CMAY

ソレノイド(電磁石)を使ったメカ。

テープ窓は光らず、扉は手動式。

採用機種(オートリバース機)
TC-R302(1986年):TCM-CMAY B-4
TC-R502(1986年):TCM-CMAY x(xは不明)
TC-R303(1987年):TCM-CMAY B-13

TC-R502

ソレノイド
1-454-428-11 SOLENOID, PLUNGER

採用機種(スペクトラム・レベルメーター搭載のオートリバース機)
TC-RX80(1988年):TCM-CMAY B-22

TC-RX80

RXとは付くものの、メカが古い。

ソレノイド
1-454-440-11 SOLENOID, PLUNGER

採用機種(Kシリーズのオートリバース機)
TC-K500R(1989年):TCM-CMAY X(xは不明)

TC-K500R_カタログ
↑TC-K500R

末尾の「R」はオートリバースを表すと思われる。

採用機種(シングルキャプスタンの廉価3ヘッド機)
TC-K600(1988年):TCM-CMAY x(xは不明)

TC-K600

ソレノイド
1-454-440-11 SOLENOID, PLUNGER

TCM-170

ソレノイド(電磁石)を使ったメカ。

テープ窓は光らず、扉は手動式。

採用機種(オートリバース機)
TC-RX50(1988年):TCM-170RB2
TC-RX51(1988年):TCM-170RBx(xは不明)
TC-RX55(1989年):TCM-170RB11

TC-RX51

ソレノイド
1-454-456-11 SOLENOID, PLUNGER

TC-RX50とTC-RX51が、共に1988年に出ているが、リモコン(RM-900S)に対応したのが、TC-RX51だ。

なお、メカデッキにTCM-170を採用したTC-RX5xは、それ以前のTCM-CMAY採用機よりも性能が低い。

具体的には、モーターが2個→1個へと減少し動作緩慢となり、平ベルト→角ベルトでワウ・フラッター悪化。

仮掛_TC-RX55
↑TC-RX55の角ベルト

なお、TC-RX55は、電源ON後の待機時にはモーターは回っておらず静かだが、TC-RX50は待機時でもモーターが回っており、モーターの回転音がする。

つまり、同じTCM-170系ではあるが、動作は異なるということだ。

関連:[SONY] TC-R302とTC-R303の比較 [オートリバース]

TCM-200

1989年発売のTC-K222ESG以降、メカがTCM-200に変わり、大きく変化した。

採用機種
TC-K222ESG(1989年)以降のES機
・廉価3ヘッド機(TC-K700S/TC-K710S)
TC-RX70(1990年)以降のTC-RXシリーズの一部
・ダブルデッキの一部(後述)
・その他

TCM-200D2_TC-RX70
↑TCM-200D2(TC-RX70)

TC-RX70:TCM-200D2
TC-RX77:TCM-200R6
TC-RX79:TCM-200R10

TCM-200ではソレノイドを廃止して静音化、テープ窓点灯、電動で扉が閉まるなど、より使いやすくなった。

ダブルデッキ(800番台と900番台の一部)
TC-WR820(1990年)
・TC-WR870(1991年)
TC-WR990(1992年)
TC-WR905S(1994年)
TC-WR965S(1995年)
・SRP-CT3W(TC-WR965Sの業務用バージョン)

このメカを採用した機種は、ES機であろうとオートリバース機であろうと、テープ窓が緑色に光る。

光るテープ窓

関連:[SONY] テープ窓(PLATE ASSY,ORNAMENTAL)について [TCM-200]

以前のメカでは、光るのはES機のみで、オートリバース機は光らなかったので、オートリバース機を好む向きにとっては朗報である。

TCM-190

TCM-200の後に出た、廉価メカ。

採用機種
・TC-RX311(1995年)
TC-RX300(1996年)
・ダブルデッキ(TC-WRxxx)の400番台/500番台/600番台/700番台/800番台の一部
・その他

テープ窓は光らず、扉は手動式。

以下の動画でも分かるように、ガチャガチャと大きな操作音がする。

TC-RX311のように、TCM-200採用機と同じような外観であっても、TCM-190採用機種があるので注意。

TC-RX311
↑TC-RX311

日本のES機にはTCM-190の採用はないが、海外のES機には存在する。

関連:[SONY] 海外モデルについて [カセットデッキ]

どのメカデッキが良い?

個人的な思い入れがないのなら、TCM-200採用機種が無難。

TCM-200採用機種

・TC-K222ESG(1989年)以降のES機
・廉価3ヘッド機(TC-K700S/TC-K710S)
TC-RX70(1990年)以降のTC-RXシリーズの一部

ダブルデッキ(800番台と900番台の一部)
TC-WR820(1990年)
・TC-WR870(1991年)
TC-WR990(1992年)
TC-WR905S(1994年)
TC-WR965S(1995年)
・SRP-CT3W(TC-WR965Sの業務用バージョン)

機敏な動作、静音性、テープ窓点灯、電動扉など、使いやすいデッキに仕上がっているからだ。

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

関連:[SONY] テープ窓(PLATE ASSY,ORNAMENTAL)について [TCM-200]



Posted by nakamura