[Creative] SBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX) レビュー [SCMS]

2024年5月4日

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Creativeの外付けサウンドボード(今風に言うとUSB DAC)である、SBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX)について。

SBDMUPX

関連:USB Sound Blaster Digital Music PX発売のお知らせ (クリエイティブ)

2003年12月中旬の発売で、価格は6,980円(税込)だった。

アイ・オー・データからも販売されていて、同じく2003年12月中旬出荷予定、価格はオープンだった。

関連:Sound Blaster Digital Music PX (アイ・オー・データ)

本記事を書いているのが2021年11月なので、18年前の機材(笑)

前面
前面_SBDMUPX
 ヘッドホン端子(3.5mmステレオ) ←4極のヘッドホンも使えた
 ボリューム(ヘッドホン端子用) ←LINE OUTとデジタル出力には効かない
 マイク端子(3.5mmステレオ)

背面
背面_SBDMUPX
 LINE IN(RCA×2)
 LINE OUT(RCA×2)
 光デジタル入力
 光デジタル出力

ヘッドホン、マイク、ラインIN、ラインOUTは、USB INは金メッキされており、光端子はシャッター付き。

この価格ながら、キッチリしている感じ。

背面と側面_SBDMUPX

パソコンと接続するUSBケーブルは、A端子(PC側)とB端子(本機側)であり、B端子は側面にある。

なお、本機のUSBは、USB 1.1の模様。

ヘッドホンを挿してパソコンの音楽を聴くのはもちろん、LINE出力と光デジタル出力があるので、パソコンの音をカセットデッキMD(MiniDisc)に録音したり、逆にパソコンに録音できる(音声のデジタル化)。

SBDMUPX

関連:USB Sound Blaster Digital Music シリーズ 録音ガイド (クリエイティブ)

対応OS

対応は、Windows98 SE/Me/2000 Pro SP3/XP SP1以降(後にWindows Vistaにも対応)、MacOS 10.2以降となっているが、Windows7用のドライバーが、以下で公開されている。

関連:SBDMUPX – Windows7 64/32bit (クリエイティブ)

Windows7のサポートは既に切れており、現行ならWindows10だが、Windows10用のドライバーは公開されていない。

しかし、Windows10(64bit)に挿すと、自動でドライバーが入り、使用可能となる。

上記からダウンロードしたWindows7用のドライバーをWindows10に入れると、一部不良箇所があるので、入れない方が良い。

Win10標準ドライバー_SBDMUPX
↑Windows10の標準ドライバー(2011/07/05 v1.1.100.0)

その後、WindowsUpdateかは知らないが、以下に変わっていた。

Win10標準ドライバー_SBDMUPX_2019_12
↑Windows10の標準ドライバー(2019/12/06 v10.0.19041.1)

そして翌日には、また「2011/07/05 v1.1.100.0」に戻っていた(意味不明)。

Win10標準ドライバー_SBDMUPX
↑Windows10の標準ドライバー(2011/07/05 v1.1.100.0)

デバイスマネージャーで削除してから更新すると、えらく新しいドライバーになる。

Win10標準ドライバー_SBDMUPX_2021_08
↑Windows10の標準ドライバー(2021/08/26 v10.0.19041.1202)

Macに挿すと、別途ドライバ不要で「USB Audio」と認識される。

Mac_SBDMUPX

ライン入力、光デジタル入力、マイクの3つが見えるだろう。

SCMS

令和にもなってこのページにたどり着いた人は、SCMS(Serial Copy Management System)関連で調べているのだろう。

SCMS

SCMSの詳細はここでは省くが、SBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX)がSCMSを回避できるという話?

CDからデジタル録音されたMDを、デジタルでパソコンに取り込む際に、普通のデジタル入力機器なら、SCMSにより拒否されるが、本機はそれをスルーして録音できるという話?

結論を書くと、ダメだった。

SCMSへの挑戦

確かに、SBDMUPXは、SCMSの制限を受けないという情報が、各所で見られる。

だが、アナログ録音したMDはPCに録音できたが、デジタルで録音したMDは、モニターすらできなかった。

試した環境を挙げる。

WindowsXP(32bit)
 CD-ROMにあるドライバーやソフトを入れても不可。

Windows10(64bit)
 自動で入るドライバーで不可。
 ダウンロードしたWindows7用のドライバーやソフトを入れても不可。

MacOS High Sierra(10.13.6)
 自動で入るドライバーで不可。

わざわざ、古(いにしえ)のWindowsXPを持ち出してまで試したのだが…

Windowsに於いては、専用ソフト(SMART RECORDER)だけでなく、AudacitySoundEngine Freeでも試したがダメだった。

SMART RECORDER_SBDMUPX
↑SFDIF(光)インの時、アナログ録音のMDはメーターが触れるが、デジタル録音のMDは触れない。

Macに於いては、QuickTimeで試した。

どの環境でも、デジタル録音MDだけが確実にハネられているので、SCMSをキッチリ喰らっているということだ。

何故ダメなのか?

発売当初はOKだったが、途中でこれが問題となり、その後ドライバーで不可にした可能性も考えたが、CD-ROMにある(古い)ドライバーでもダメな結果を見ると、ハード的に不可の可能性が高い。

CD-ROMの内容も対策された可能性もあるので、断言はできないが。

ネットにある「成功の情報」は何なのか?

又は、初期型と後期型のような、ハード自体の差異でもあるのだろうか?

先人による情報

以下は、Windows2000環境で、付属のCD-ROMのドライバーとアプリで、デジタル入力に成功したという、先人による情報。

関連:購入(2019.2.20)

Windows2000でOKで、当方のXPでダメというのは考えにくいので、やはりドライバーの差(対策)か、ハードの差異?

なお、側面のDIGITAL ONLY/DIGITAL ANALOGのスイッチの位置に関しては、デジタル接続でアナログ録音のMDが録れていることから、本件とは無関係だ。

デジタル出力

本機の光デジタル出力をMDレコーダーに入れると、普通に録音できる(SCMSにはかからない)。

ファイルはmp3でもwavでも何でも良いし、YouTubeの再生でもOK。

まぁ、この機能については、本機でなくても、光デジタル出力のある機器なら多くができるので、特別なことではない。

なお、光デジタル出力の際の音量が小さく、OSや再生ソフトで音量をMAXにしても小さい場合、録音側でデジタル入力のレベル調整ができる機器でないと困るので注意。

MDレコーダーの多くでは、アナログ入力のREC LEVELは調整できても、デジタル入力のREC LEVELが調整できる機種は少ない。

例えば、SONYのMDS-Sxxシリーズでは、以下のように最後期の機種しか対応していない。

・MDS-S30(1994年発売):不可
MDS-S35(1995年発売):不可
MDS-S37(1996年発売):不可
MDS-S38(1997年発売):不可
MDS-S39(1998年発売):不可
MDS-S40(1999年発売):可
MDS-S50(2000年発売):可

関連:[SONY] CDP-S35とMDS-S37のレビュー [CD/MD]

本機のボリュームでは、デジタル出力の音量調整はできない。

ファイルを編集して音量を上げれば回避できるだろうが、編集を伴うため、音質が劣化する。

foobar2000でReplayGainで調整するとロスレスで音量を上げられるが、ファイルやタグの破損が生じることがあるので、コピーしたファイルで行うこと。

このように、音質にこだわったとしても、MDに録る時点で、ATRACによる圧縮により、音質は劣化するのだが(笑)

関連:[SONY] ATRACのバージョン [MiniDisc]

マイク入力

本機のマイク入力は、2チャンネル(ステレオ)である。

マイク入力_SBDMUPX

だが、後述するように、マイク入力はノイズが多く使い物にならない。

USB DACとして

SCMS云々は別として、普通のUSB DACとしての評価。

別途電源が不要であり、USBケーブル1本で済む(バスパワー)のは良い。

# 現行のUSB DACは、その多くがUSBケーブルとは別に電源供給用のUSBケーブル(5V)、又はACアダプター(12V)が必要。

肝心の音であるが…

最近はカニ(Realtek)のオンボードでも音は良いので、あまり差は感じない?

内蔵サウンドがヒドいのなら、本機でマシにはなるだろうが、高音質を求めるものではない。

# 高音質を求めるなら、電源供給(12V以上)のある機種が必須だろう。

本機と通信をしている間は、音を出していなくても、本体上面の青色LEDが延々と点滅(点灯ではない)するのが目障りなので、中村"アンガー"修二氏に抗議するか、テープで隠すなどの対策を。

青色LED_SBDMUPX

ヘッドホンで使うと分かるが、無音でもかなりのノイズ(ピーという電子音)がある。

これは、マイクを使っていなくても(挿していなくても)、マイクの音を拾おうとするのが原因。

サウンドの設定(再生側)で、マイクのモニターをキッチリ無効にしておく必要がある。

SBDMUPXのプロパティ

なお、マイクとライン入力を切っても、ボリュームを最大にすると、かすかな「サー音」はあるので、神経質な人は、本機を選ぶべきではない。

ライン出力も光デジタル出力も、選択がグレーアウトしており、16bit 48kHzしか選べない?

サンプルレート_SBDMUPX

当然だが、foobar2000等で、WASAPIに設定することは可能。

WASAPI_SBDMUPX

但し、上述のように48kHzしか選択できないので、44.1kHzのファイルはアップサンプルする必要がある(しないとエラーで再生不可)。

Resampler Settings_48kHz

ヘッドホンを挿すと、ライン出力から音は出なくなる。

ライン出力にアンプ付きスピーカーを接続している場合は向くが、それ以外の用途だと逆にマイナスとなることもあろう。

ライン出力と光デジタル出力は同時に出せるので、カセットデッキ(ライン入力)とMD(光デジタル入力)に同時に録音することは可能(MDはSCMSにはかからない)。

本体にあるボリュームはヘッドホン端子のものなので、ライン出力と光デジタル出力は変わらない(固定)。

デジタル入力のレベル調整ができるMDレコーダーの方が良というのは上述。

インピーダンスが65Ωくらいまでのヘッドホンなら、まぁ何とか大丈夫だが、それ以上のヘッドホンは、音量をパソコンと本機の両方で最大にしても、音量不足を感じるかもしれない。

参考:SONYのスタジオモニターヘッドホンであるMDR-CD900STのインピーダンスは63Ω、最近のゲーミングヘッドホンのインピーダンスは65Ω。

マイク端子は、ノイズが多く使い物にならない。

「ピー」とか「ヴー」といったノイズが、常に入る。

使うマイクにも寄るだろう?ということだが、カニ(Realtek)のオンボードのマイクINで普通に使えるマイクを本機に挿すと、ノイズだらけでかつAMラジオが入ったりと最悪なものであり、OBSのノイズ抑制フィルターをONにしても無駄。

上述の、マイクのモニターON時のノイズからも推測できる通りだが。

WaveSpectraを使うと分かるが、ライン入力にはノイズが乗る(ケーブル未接続でも波がある)が、

WaveSpectra_SBDMUPX
↑無音状態でも底に波がある

これはどのUSB DACにでもあるものなので、気にしないこと(詳細は以下記事)。

関連:[USB DAC] LINE入力/光デジタル入力の無音時のノイズ [WaveSpectra]

本機を使い、カセットテープに3kHzや10kHzのサイン波を録音し、そのテープの音をPCに入力し、アジマス調整などができる。

コンパクトだが軽くて動いてしまうので、耐震用の粘着シートなどでパソコン机の端に貼って固定するとよいだろう。

前機種

SBDMU(Sound Blaster Digital Music):2003年5月中旬発売

SBDMU

色は灰色。

限定でブラックモデルが出ていた(2003年6月下旬発売)。

SBDMUのブラックモデル

次機種のSBDMUPXとの差異は、色(灰/黒から白へ)、MacOSへの対応、ソフト(「Sound it! 3.0 LE-SB」のバンドル)程度なので、Windowsでしか使わないのなら、前機種でもOK?

白色は日光に当たって黄ばみが出るだろうから、旧機種の灰色/黒色の方が良かったのだが、コストダウンか、外国人の感性かは知らない。

廉価版(SBDMULX)

SBDMUPXの廉価機として、SBDMULX(Sound Blaster Digital Music LX)がある。

SBDMULX

関連:Sound Blaster Digital Music LX 発売のお知らせ (クリエイティブ)

マイク入力と光デジタル入力、Macの対応を外した製品。

ライン入力と出力はあるので、Windowsパソコンからカセットデッキに録音するとか、カセットデッキの音をパソコンに入れてアジマス調整するとかの用途には、これで十分だ。

関連:カセットデッキのアジマス調整の方法

深まる謎

SBDMU:2003年5月
・SBDMU(黒):2003年6月
SBDMUPX:2003年12月

という発売時期から、全て内部は同じものだと思われる。

ハードが同じであろうにもかかわらず、旧機種のSBDMUにはSCMS云々の情報がなく、そして上述の先人の情報からすると、やはりドライバーか、ソフトに要因があるのではないだろうか。

ドライバーも同じだとすると、残るはソフト差異…つまり「Sound it! 3.0 LE-SB」か?

Sound it! 3.0 LE-SB

先人情報の気になる点

①ドライバーを入れてもダメ
②ソフト(名称不明)を入れると成功
③一度録れると、SoundEngine Freeでも録れた

②と③から「ソフトが何かを書き換える?」と推測できるが、そんなことあるのだろうか。

「Sound it! 3.0」は株式会社インターネットのソフトだが、クリエイティブ社とは関係がない。

末尾に「SB」とあることから、何かしらのカスタマイズがされている?

Sound it! 3.0 LE-SB

Windows10に「Sound it! 3.0 LE-SB」を(非対応だが)入れて試すも、結果は同じくダメ(アナログ録音のMDは可だがデジタル録音のMDは不可)だった。

残るはWindowsXP機か…

WindowsXPに「Sound it! 3.0 LE-SB」を入れて試すも、結果は同じくダメ(アナログ録音のMDは可だがデジタル録音のMDは不可)だった。

終了

関連:カセットデッキのアジマス調整の方法

関連:[SONY] MDS-S38のレビュー [MiniDisc]

関連:[SONY] CDP-S35とMDS-S37 [CD/MD]

関連:[ONKYO] MD-105(ミニディスクレコーダー) [MiniDisc]

関連:オーディオ構成/接続図(2021年10月)



Posted by nakamura