ドルビーHX PROシステムとは?
ドルビーHX PROは、RXシリーズではTC-RX55から搭載された。
↑TC-RX55(1989年) 36,900円
関連:[SONY] TC-RX55(1989年発売)のレビュー [カセットデッキ]
「HX」は「Headroom eXtension」、「PRO」は「Process」に由来する。
以下は、TC-RX70(1990年発売)の取扱説明書にある、ドルビーHX PROシステムの説明。
DOLBY HX PRO
録音時の高域特性を改善するために開発されたのがドルビーHX PROシステムです。
システムの採用によって、音楽などを録音するとき、高域において高いリニアリティ(直線性)が自動的に得られます。
なお、このシステムは録音時にのみ働くため、本機で録音したテープを他のデッキで再生しても、同じ効果を得られます。
テープデッキでは、録音時にヘッドに信号電流と高周波電流を加算して流し、テープ上に音声信号を録音します。
この高周波数電流(以下、「バイアス電流」といいます)は、リニアリティを良くし、ひずみや雑音の少ない録音をするために不可欠なものです。
上の図は、ハイアス電流と出力レベルやひずみの関係を示したもので、バイアス電流によって出力レベルやひずみが大きく異なることが分かります。
一般に、テープデッキの設計上は、この様々な特性を考えて総合的にバランスの良い特性が得られるような、一定のバイアス電流値が設定されています。
ところが、2つ以上の周波数が混ざった音楽等の信号を録音する時、高い周波数の信号がバイアス電流と同じ効果を示します。
そのため、従来の方法では、単一周波数に対して設定された一定のバイアス電流に、さらにバイアスが加算され、バイアス電流が増大していきます。
本来、一定にしようとしていたバイアス電流が録音信号に応じて変化し(下図参照)、その結果、周波数特性やひずみが刻々と変動することになります。
ドルビーHX PROシステムは、音楽信号とバイアス電流を加算した実行バイアス量を1/1000秒単位でコントロールし、上述のひずみの発生を大幅に軽減します。
これによって、テープの高域のリニアリティも改善されます。
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ドルビーHX PRO搭載機種の多くでは、これをOFFにできない(常時ON)だが、TC-K222ESJなどのES機では、OFFにすることが可能。
↑上段左から2番目が、ドルビーHX PROシステムのON/OFFボタン(TC-K222ESJ)
OFFにしても、効果は分からない?
関連:MPX FILTER(マルチプレックスフィルター)の使い方
なお、海外モデルでは、日本のES機からドルビーHX PROのON/OFFボタンを抜いたものが存在する。
・TC-K770ES:1990年:TC-K222ESLからDolby HX PROのON/OFFボタンを抜いたもの?
・TC-K790ES:1991年:TC-K222ESAからDolby HX PROのON/OFFボタンを抜いたもの?
・TC-K808ES:1992年:TC-K222ESJからDolby HX PROのON/OFFボタンを抜いたもの?
ボタンがないということはOFFにするメリットがないということだろうが、ONである効果はあるのかね?
関連:[SONY] Dolby S NR 対応機種 [カセットデッキ]
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