[SONY] CDP-950とCDP-750 [CDプレーヤー]
CDP-950とCDP-750は、共に1987年に発売されたCDプレーヤーである。
↑CDP-950(1987年) 49,800円
↑CDP-750(1987年) 39,800円
1987年9月の「コンパクト・ディスクプレーヤー 総合カタログ」に於いて、
・CDP-950:新製品
・CDP-750:新発売
として掲載されている。
カタログ情報
↑CDP-950(1987年) 49,800円
↑CDP-750(1987年) 39,800円
SONYの900番台のCDプレーヤーは、カタログの写真は格好いいのだが、実物はイマイチ…
比較
両機とも、4倍オーバーサンプリングデジタルフィルター(4 TIMES OVERSAMPLING)搭載。
両機ともにヘッドホン端子とボリュームがあるので、ヘッドホン視聴時の音量調整が可能。
CDP-950は電動ボリュームだが、CDP-750は手動ボリューム。
CDP-950のライン出力は固定と可変の2系統だが、CDP-750は固定の1系統。
CDP-950はラインアウト連動の電動ボリューム(リモコンで操作可)だが、CDP-750は連動ではなく、ヘッドホンの音量のみ。
両機とも、ボリュームに赤色LEDはなく、赤色LEDが組み込まれ、リモコンで操作可能になるのは、次機種(CDP-970/CDP-770)から。
# リモコン操作時に赤色LEDが点滅するが、LEDが搭載されていないCDP-950は、操作を受け付けているのかどうかが分かりにくい。
CDP-950にはデジタル出力端子(同軸)があるが、CDP-750にはデジタル出力端子がない。
# 次機種のCDP-970/CDP-770以降には、光デジタル出力端子が搭載されている。
CDP-950は、後の900番台同様、ディスクメモが付けられる(10文字まで)。
メモリーの保持は、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)ではなく、アルミ電解コンデンサにて行われている(後述)。
両機とも、フロントパネルは、プラスチックである。
両機ともINDEX(インデックスサーチ)ボタンがあるが、次機種(CDP-970/CDP-770)からはなくなってしまう。
↑INDEXボタン(CDP-950)
次の機種であるCDP-770(1988年)になって、デジタル出力(角型)が付き、ラインアウト連動の電動ボリュームも付くが、ライン出力は可変の1系統のみ。
CDP-9xxがアルミフロントパネルになるのは、次の次の機種であるCDP-990(1989年)からである。
↑CDP-990(1989年) 49,800円
関連:[SONY] CDP-990(1989年)とCDP-M99(1990年)の比較 [CDプレーヤー]
同軸デジタル出力
CDP-950の同軸デジタル(COAXIAL)出力は、ラインアウトとは排他である。
↑出力端子(CDP-950)
上の写真のように、背面に「出力切替」SWがあり、同時には出せない。
このSWがデジタル出力の時は、前面のヘッドホン端子からも音が出なくなる。
令和時代に於いて、同軸デジタル出力を受けられる機器は少ないが、
AIYIMAのUSB DACであるDAC-A2 PROなどがある。
関連:[AIYIMA] DAC-A2 PROの入手とレビュー [USB DAC]
CDP-950では、デジタル出力時の音量調整はできないが、DAC-A2 PROにはボリュームがあり、音質も調整も可能だ。
CDP-950の内部
黄色いコンデンサ(C904)は47mF(=47000uF)の大容量だが、これはディスクメモ等を保持しておくためのメモリバックアップ用。
後の機種(9百番台では1990年発売のCDP-991から)では、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)に置き換わった。
最後の写真のように、前面の電源ボタンを押すと、長い棒を介して、本体後部の電源SWが押される仕組み。
CDP-950のFL管
後の機種とは異なり、FL管が暗褐色で、その前にある前面パネル(=内窓)が透明なので、
FL管や内窓の内側にホコリがあれば非常に目立ち、拭いたとしても、拭き跡があれば非常に目立ってしまうので、拭き跡も残さないようにする必要がある。
後の機種はFL管が透明で、前面パネルが暗褐色なので、ホコリや拭き跡はさほど目立たない。
なお、FL管はCDP-227ESDと同じ部品(1-519-428-11)である。
CDP-950/CDP-227ESD
FLD801 1-519-428-11 INDICATOR TUBE, FLUORESCENT
↑FLD801 1-519-428-11(CDP-950/CDP-227ESD)
上位機種(CDP-337ESD/CDP-557ESD)のFL管は、パーツ番号が異なる。
CDP-337ESD/CDP-557ESD
FLD801 1-519-427-11 INDICATOR TUBE, FLUORESCENT
CDP-950のリセット方法
本体のERASEボタンとFILEボタンを押しながらPOWERスイッチを押して電源を入れる。
ディスクメモなどのメモリーが全て消去され、工場出荷時の状態となる。
CDP-950の不良個所
タクトスイッチの接触不良により、そのボタンが機能しないだけでなく、別の機能が発動してしまう。
例えば、「OPEN/CLOSE」を押すと、その上にある「DISPLAY」や「AUTO SPACE」が発動する。
逆に「DISPLAY」を押すと「OPEN/CLOSE」が発動する。
これらを防ぐには、タクトスイッチを交換する必要があるが、接点復活剤(接点復活王)をタクトスイッチに吹き込むという手もある。
タクトスイッチに直接吹き付けると周囲に付着して拭き取る必要があり、かつ無駄になるので、綿棒の先に含ませてタクトスイッチを押し、流し込むと良い。
テンキー等、多数のタクトスイッチが使われているので、その全てに流し込んでおく。
1個に対し十分な量を流し込む必要があるので、接点復活剤は惜しまないこと。
流し込んだ後は、ボタンを連打し、接点になじませ、動作をみる。
但し、全てが直るとは限らないので、直らない場合はタクトスイッチを交換する。
ボリュームのガリは、前面パネルを外し、裏にあるボリュームとヘッドホン端子の小基板を外し(ネジ3個)、ヘッドホン端子を止めてあるコの字型の板を抜いてヘッドホン端子を外し、
ボリュームにある穴から接点復活剤を流し入れる。
付属のストローを穴に向けて噴射するのだが、周囲に付着した液は、綿棒で拭き取ること。
ボリュームを回した際にガタつく場合は、ナットが緩んでいるので締め直す。
ペンチで掴んで締め直す。
その他
CDP-950
・ヘッドホン出力レベル:15mW(32Ω)
・消費電力:11W
・外形寸法:幅430×高さ105×奥行340mm
・重量:5.6kg
・ワイヤレスリモコン:RM-D650(同年発売の上位機種であるCDP-227ESD/CDP-337ESD/CDP-557ESDと共用)
CDP-750
・ヘッドホン出力レベル:6.6mW(32Ω)
・消費電力:10W
・外形寸法:幅430×高さ100×奥行340mm
・重量:5.0kg
・ワイヤレスリモコン:RM-D450
TDA1541搭載機
両機とも、D/AコンバーターにPhilipsのTDA1541が使用されている。
↑TDA1541(CDP-950)
・CDP-950:TDA1541-N5(IC521)
・CDP-750:TDA1541-N5(IC5)
TDA1541搭載の他のSONY機
・CDP-555ESD(1986年) 150,000円 TDA1541-N5(IC401) ← TDA1541A
・CDP-333ESD(1986年) 89,800円 TDA1541-N5(IC401)
・CDP-337ESD(1987年) 89,800円 TDA1541-N5×2(IC701,IC702)
・CDP-227ESD(1987年) 59,800円 TDA1541A-R1×2(IC521,IC522)
・CDP-M95(1988年) 47,800円 幅355mm TDA1541-N5(IC521)
・CDP-C100(1988年) 79,800円 ディスク10枚対応 TDA1541-N5(IC402)
・DAS-R1(1988年) 300,000円 TDA1541A-S1×2(IC301,IC401)
・CDP-301V(1988年) 69,800円 CD/CDVプレーヤー
CDP-301Vは、CDP-950を元にして開発された、CD/CDVプレーヤー。
↑CDP-301V(1988年) 69,800円
CDV(CD Video)は、ビデオCDとは全くの別物。
元となったCDP-950同様、TDA1541搭載であるが、ピックアップがCDP-301V専用の「KSS-200A」であり、このピックアップは入手困難なので注意が必要。
TDA1541の音質であるが、1bit機であるCDP-997(1991年)と、SENNHEISER(ゼンハイザー)のHD 599 SE(インピーダンス:50Ω)を使い聴き比べてみたが(両機ともヘッドホン端子)、
CDP-997(DSPはFLAT)に比べ、CDP-950は、透明感がなく、解像感も不足したボケた音で、期待外れであった。
関連:[SONY] CDP-997(1991年発売) レビュー [CDプレーヤー]
CDP-950より前がよほどつまらない音だった(推測)ためにCDP-950で称賛されたのか、1bit機になって格段に明瞭になったのかは、比較したことがないので分からない。
ただ、ボケたような音ではあるが、スカスカな音ではなく、適度な低音を纏(まと)った高級感のある音なので、比較しなければ、上級の部類に入る?
令和時代の、アナログを一切通さない、ガチガチのコンピューター音楽(謎)には不向きだが、古いジャズには向くだろう。
その後、さらに聴き比べてみた。
CDP-997はCDP-950に比べ高音が出るので、それが透明感につながっていると思われる。
CDP-950は音量を上げると聴ける音になるが、やはり解像感は乏しく、高音不足により透明感はない。
CDP-997は音量を上げると高音が耳に刺さるので不可。
よって、高音や透明感を求めるならCDP-997、高音が苦手ならCDP-950が良いかと。
ピックアップ
ピックアップは、両機ともKSS-150Aだが、KSS-150AとKSS-210AとKSS-212Aは互換性があるので、KSS-212Aが使用可能である(CDP-950で確認済)。
CD-R(CD-DA)の再生も可能(CD-RWは認識できないので再生不可)。
ピックアップを新品に交換しても、再生中に本体を軽く叩いただけで音飛びするが、SONY機では普通である。
両機前後の流れ
・CDP-950(1987年) 49,800円 高さ105mm
・CDP-970(1988年) 49,800円 高さ115mm
・CDP-990(1989年) 49,800円 高さ115mm
・CDP-991(1990年) 39,800円 高さ115mm
・CDP-997(1991年) 39,800円 高さ110mm
・CDP-911(1993年) 39,800円 高さ110mm
----------
・CDP-710(1987年) 49,800円 高さ100mm
・CDP-750(1987年) 39,800円 高さ100mm
・CDP-770(1988年) 39,800円 高さ100mm
・CDP-790(1989年) 39,800円 高さ110mm
・CDP-720(1995年) 32,000円 高さ110mm
価格競争だけでなく、オーディオ衰退に伴い、価格が下がっている。
同時期のES機
CDP-557ESDとCDP-337ESDの価格差が大きい!
↑CDP-557ESD(1987年) 180,000円
↑CDP-337ESD(1987年) 89,800円
↑CDP-227ESD(1987年) 59,800円
CDP-227ESDのFL管に「-REBECCA-」とあるのは、レベッカがLIBERTY(コンポ)のCMに出ていたことと、
・1985年10月21日:フレンズ
・1986年5月2日:RASPBERRY DREAM
という流れからだろう。
なお、CDP-227ESDとCDP-950の取扱説明書は共通である。
外観(前面/背面)も似ており、異なるのはCDドライブだけ?
海外機
CDP-950の海外モデルがCDP-307ESD、CDP-750にデジタル出力端子(同軸)を付加した海外モデルがCDP-207ESDだが、CDP-750のAEP向け(型式はCDP-750)とUK向け(同)にも、デジタル出力端子(同軸)が付加されている。
CDP-V750
CDP-750と型式のよく似た「CDP-V750」は、SONYのコンポであるLIBERTYの一部分で、CDP-750とは全くの別物なので注意。
・アンプ:TA-V750
・グラフィックイコライザー:SEQ-V750
・CDプレーヤー:CDP-V750
・カセットデッキ:TC-V750
・FM/AMチューナー:ST-V750TV
・スピーカー:SS-V750AV
という内容で、システムコンポ「LBT-V750」を構成している。
CDP-V750には電源ケーブルがあり、単体使用は可能と思われるが、出力が光デジタル出力(角型)しかない。
LBT-V750は1989年の発売であり、CDP-750(1987年)の2年後の登場なので、CDP-750とは全くの別物だろう。
LBT-V750の上位機種に「LBT-V950」が存在し、そのCDプレーヤーは「CDP-V950」だが、これもCDP-950とは全くの別物。
関連:[SONY] CDP-V9900、CDP-V715、CDP-V950、CDP-V750 [CDプレーヤー]
1987年(昭和62年)のイベント
・1月17日:日本初の女性エ●ズ患者を神戸市内で確認
・2月1日:北海道の広尾線(帯広駅-広尾駅)が、この日限りで廃止
・3月14日:SFアニメ映画「王立宇宙軍 オネアミスの翼」日本公開
・3月23日:任天堂から1983年7月15日に発売された「ファミリーコンピュータ」が、国内出荷累計1,000万台を突破
・3月28日:シャープが「X68000」を発売
・3月31日:日本国有鉄道(国鉄)が、この日限りで鉄道事業を終了
・3月31日:筑波鉄道(土浦駅-岩瀬駅)がこの日限りで廃止
・4月1日:国鉄が分割民営化され、JRグループ7社が発足
・7月11日:世界の人口が50億人突破(その後の改訂で1986年に到達と修正) ← 国連の推計では2022年11月15日に80億人に達した
・7月21日:三菱石炭鉱業大夕張鉄道線が、この日限りで廃止
・7月23日:猛暑による電力供給不足により、首都圏一都五県約280万世帯で停電が発生、約1兆8000億円の経済損失(1987年7月23日首都圏大停電)
・8月31日:フジテレビ系列の帯バラエティ番組「夕やけニャンニャン」が、同日の生放送を以て放送終了、2年半の歴史に幕
・9月4日:第二電電(現在のKDDIの前身企業の1つ)が営業開始
・9月20日:おニャン子クラブが解散
・10月1日:日本楽器製造がヤマハに社名変更
・10月1日:小西六写真工業がコニカに社名変更
・10月4日:TBS系列の報道情報番組「関口宏のサンデーモーニング」放送開始
・10月12日:利根川進マサチューセッツ工科大学教授がノーベル生理学・医学賞を受賞
・10月19日:ニューヨーク株式市場が大暴落(ブラックマンデー)、世界同時株安に陥る
・10月30日:NECが家庭用ゲーム機「PCエンジン」発売
・11月6日:竹下内閣発足
・11月9日:後楽園球場の解体工事開始
・11月10日:円高ドル安不安で日経平均株価2万1000円台に暴落。
・11月12日:巨人の江川卓が現役引退
・11月18日:日本航空が完全民営化
・11月29日:金賢姫による大韓航空機●●事件
・11月30日:つくば市が発足(茨城県筑波郡谷田部町・大穂町・豊里町、新治郡桜村の3町1村の合併)
・12月18日:ファイナルファンタジー発売
・4月8日:TM NETWORK 「Get Wild」
・5月1日:アン・ルイス「天使よ故郷を見よ」
・10月25日:森高千里「オーバーヒート・ナイト」
・11月26日:光GENJI「ガラスの十代」 ← 作詞・作曲:飛鳥涼
・12月21日:柴田恭兵「ランニング・ショット」
柴田恭兵は、2023年8月で72歳!
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