[AIYIMA] DAC-A2 PROの入手とレビュー [USB DAC]
AIYIMAのUSB DACであるDAC-A2 PROを入手したので、レビューする。
提供品ではなく自腹購入であり、巷(ちまた)にあふれる提供レビューではない。
DAC-A2 PROは、2023年5月あたりに発売された模様。
購入時期(2023年11月)からすると、まだ新しい機種である。
内容物
内容物は、
・本体
・光デジタルケーブル(角型-角型)
・USB-A & USB-Cケーブル ← USB2.0品(後述)
・取扱説明書(中国語、英語)
・保証書+謎の合格証
謎の合格証は、中華製品ではよく見る(笑)
外箱にはAIYIMAの文字はなく、角にある型式(DAC-A2 PRO)もシールなので、汎用の箱なのだろう。
背面のAUX出力は、RCAではなく、3.5mmであるが、AUX出力に係るケーブルは付属されていない(後述)。
外観
背面には青色のUSB-A(USB3.0)が3ポートあるが、注意が必要(後述)。
天面には何もなく、
底面にはゴム脚が4ツある。
外装は、六面全てアルミニウムである。
各部
「イヤホン出力」のところに「Androidイヤホンのみ対応」とあるが、これは説明になっていない。
正確には「4極プラグの場合はCTIA規格のみ対応」という意味である。
↑4極プラグと3極プラグ
4極プラグには、以下の2種類がある。
・CTIA規格:CTIA(Cellular Telephone Industry Association)。日本ではこちらが主流で、iPhoneもこちらを採用。
・OMTP規格:OMTP(Open Mobile Terminal Platform)。2011年ごろまでのXperiaや海外モデルに採用されている。
OMTPとCTIAは、GNDとMICが入れ替わっている。
プラグの先端から、
・CTIA:L/R/GND/MIC
・OMTP:L/R/MIC/GND
本品はCTIA規格に対応しており、OMTPは非対応。
現在販売されている4極品(マイク付きイヤホンやヘッドセット)は、ほとんどがCTIAなので、問題ない場合がほとんどだが、念のために確認を。
当然ながら、プラグを見ただけでは、判別は不可能。
処理系統
DAC(デジタルアナログコンバーター)は、ESS Technologyの「ES9018K2M」である。
CM6542 + ES9018K2M + NE5532 + RT6863 + R1286 + GL3510 + AW3410 + AT32F421K8T7
デジタル(光/同軸)入力時は24ビット 192kHzまで、USB-C入力時は24ビット 96kHzまでの対応(後述)。
仕様
・最大出力レベル:1.8V
・ヘッドホンインピーダンス:16-300Ω
・最大ヘッドホン出力:150mV
・ノイズ:-128dBV
・周波数特性:20Hz-20kHz(-0.5dB)
・THD:0.005% 以下
・SN比:112dB以上
・大きさ(実測):幅135x高さ37x奥行105mm(突起部含む)
・重量(実測):355g(本体のみ)
パソコンと接続
背面のUSB INに、付属ではなく100円ショップのUSB-A & USB-Cケーブルを使い、パソコン(Windows11 23H2)と接続して使ってみた。
接続しただけで認識され、使用可能となる。
デバイスマネージャーでは「USB HIFI AUDIO」と表示される。
サウンドの詳細設定の画面は、以下の通り。
認識(再生)
24ビット 96000Hz(96kHz)まで選択可能。
認識(録音)
1チャンネル 24ビット 96000Hz(96kHz)まで選択可能。
上の画面でも分かるように、本機のマイク入力は1チャンネルであり、ステレオマイクを接続してもモノラルになる。
なので、カセットデッキにある音楽をパソコンに取り込む用途には使えない。
その場合は、LINE IN(ステレオ入力)のある機器を選ぶ必要がある。
ツマミ
左:BASS(低音)
中:TREBLE(高音)
右:電源/MODE(+音量ツマミ)
「電源/MODE」の短押しで電源オン。
電源オン中に、「電源/MODE」の短押しで入力切替(USB→OPT→COA)。
入力は、青色のLEDで確認できる。
電源オン中に、「電源/MODE」の長押しで電源オフ。
BASSとTREBLEには細かいクリック感があるが、12時の位置では止まらない(センタークリックなし)。
音量には荒いクリック感がある。
音量変化はかなり細かいので、微妙な音量調整が可能だが、瞬時に変化させることはできない。
音質調整の回した感じは重め、音量調整は軽め。
指が太い人は、ツマミが小さく、回しにくく感じるかもしれない。
ミュート機能はないが、単押しすることで入力が変わるので、他に何も入れていなければ音は消せる。
ツマミにはローレット加工が施されており、滑り止めの効果がある。
BASSとTREBLEは最小と最大で回転は止まるが、音量は延々と回るタイプ(=可変抵抗ではなくエンコーダー)。
延々と回るため、下限/上限が分からないが、下限に達するとCOAが、上限に達するとUSBが短時間点滅する。
3.5mm端子
左:マイク端子
右:ヘッドホン端子
ヘッドホン(3極)の場合は、ヘッドホン端子(右)に挿す。
ヘッドセット(4極)の場合は、ヘッドホン端子(右)に挿すと、1本で済む。
ヘッドホン(開放型)
購入時は、BASSとTREBLEが最小(値がマイナス)となっているが、そのままでは音に全く勢いがないなので、まずは12時の位置(値=0)に回してから聴くこと。
SENNHEISER(ゼンハイザー)のHD 599 SE(インピーダンス:50Ω)では、BASSとTREBLEともに12時から45度右に回すのが良い。
音量は充分であった。
音質は、芯のあるシッカリした音だが、広がり感は薄い。
よって、ナウなヤング(死語)向けのコンピューター音楽(謎)には向くが、生演奏(クラッシック等)には不向き。
# 使用したHD 599 SEは開放型ではあるが、音は「半開放型」と言えるものなので、本格的な開放型のヘッドホンを使うことを推奨。
音質は、ゲーム機向けなのかもしれない。
ヘッドセット(密閉型)
ヘッドセットであるHyperX Cloud Alpha(インピーダンス:65Ω)を接続してみた。
このヘッドセットは4極(CTIA規格)なので、上述のようにヘッドホン端子(右)に挿すだけでよく、3極×2に分けるケーブルは不要である。
こちらも音量充分。
こちらはゲーミング用かつガチの密閉型なので、BASSとTREBLEを12時より90度右に回し、音量を上げるとグン!グン!!来る!!!(何が?)
マイク入力を確認してみたが、ノイズは感じられず、優秀。
CreativeのSBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX)にように、マイク入力が謎のノイズだらけ、ということはない。
関連:[Creative] SBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX) レビュー [SCMS]
マイクのミュート機能はないので、ヘッドホン側で行うか、パソコンの画面上で行う必要がある。
OPT入力時
光デジタル出力のあるCDプレーヤーと接続。
振舞は、上述したUSB接続時と同じ。
COA(同軸デジタル)は、古いCDプレーヤーであるCDP-950(1987年)とRCAケーブルで接続すると音が出た。
関連:[SONY] CDP-950とCDP-750 [CDプレーヤー]
AUX OUT
AUX OUTは、アクティブスピーカー(アンプ内蔵のスピーカー)などを接続するためのもの。
上述のように、AUX出力に係るケーブルは付属されていないので、必要であれば3.5mmオス – 2RCAオスを用意しよう。
出力先が3.5mmなら、ステレオミニプラグ オーディオケーブルで接続する。
当方はヘッドホンで使用するので、AUX OUTは目下使用しない。
USBハブ機能
本機の背面には、3ツのUSB-Aポート(USB 3.0)があり、USBハブ機能を持つ。
背面なので、頻繁に抜き挿しする用途には向かないが、PS5やSwitch等のゲーム機で使う場合は役立つ?
# ゲーム機にはUSB端子が少ない。
USBハブ機能を使うには、本機の電源が入っている必要がある。
電源を切ると、USB機器は認識されなくなる。
付属のケーブルはUSB2.0までの対応なので、そのケーブルでは、USB3.0の速度は出ない。
接続したUSB3.0のUSBメモリーの速度計測だけでなく、USB Device Viewerでも確認したので間違いない。
付属ケーブル(USB2.0品)
Protocols Supported
・USB 1.1:yes
・USB 2.0:yes
・USB 3.0:no
・Hub Power:Self Power
・Hub type:USB 2.0 Hub
別売ケーブル(USB3.0対応品)
Protocols Supported
・USB 1.1:no
・USB 2.0:no
・USB 3.0:yes
・Hub Power:Self Power
・Hub type:USB 3.0 Hub
理論上の最大速度には10倍以上の差があるので、
・USB3.0:最大5Gbps(625MByte/s)
・USB2.0: 最大480Mbps(60MByte/s)
外付けSSD等で高速が必要なら、USB3.0に対応したケーブルを別途買う必要がある。
USB3.0のHUBを搭載しながら、付属のケーブルが2.0までってどういうこと?
なお、USB-Aは見た目で3.0かどうかの区別が付くが、USB-Cは付きにくい。
100円ショップ等で売られているケーブルは、高速充電を謳っていても2.0なので注意。
# 高速充電と高速通信は別物である。
背面のUSB HUBに機器を差すとノイズが入るというレビューがあったが、音量を最大にし、USBメモリーを挿して書き込みを行っても、その間にノイズは感じられなかった。
消費電力
USB INとパソコンと接続し、音を出している場合の電圧と電流は、以下の通り。
・0.27A
・4.30V
上記に加え、DC 5Vにも給電した場合は、以下の通り。
・0.09A
・4.35V
電圧は多少変動するので、変化するのは電流の変化のみである。
音量や音質を変えても、値は変わらない。
必要とする電力が小さい(USBの最小である5V 500mA以下)ので、パソコンと接続する際は、USB INとの接続だけで問題ない。
その他
前面のヘッドホン端子に挿すと、背面のAUX OUTからは音が出なくなり、前面から抜くと、背面から出るようになる。
音量や音質調整は、前面だけでなく、背面にも効く。
だが、前面のヘッドホン端子と背面のAUX OUTは同じではなく、音量を最大にした時、ヘッドホン端子の方が音が大きい。
電源を入れたり、ヘッドホンを抜き挿しすると、本体内でリレーの「カチッ」という音がする。
上で挙げたヘッドホン(HD 599 SE/50ΩとHyperX Cloud Alpha/65Ω)では、音量を最大にしても、ホワイトノイズは感じられなかったが、インナーイヤー型のイヤホン(インピーダンス:16Ω)だと、音量を最大にしなくとも、ホワイトノイズを感じるので、低インピーダンスのものを使う際には注意。
USB DACに音質調整は不要という人もいるだろうが、その場合、音が気に入らなければ「即終了!」となってしまうし、音楽のジャンルによって変えることもできるので、ないよりはあった方がよい。
# トーンコントロール回路による音質の劣化との兼ね合い
多くの場合、音量調整の幅は充分で、効果が足りず不足、ということはないだろうが、90年代以前のJ-Pop(CD-DA)などに見られる味付けの薄い音楽の場合は、不足を感じるかもしれない。
# 低音、高音の両方MAXでちょうど良い感じ。
マイク端子にマイクを挿した状態で、ヘッドホン端子にヘッドセットを接続(=マイク重複)すると、マイク端子のマイクのみが有効となり、ヘッドセットのマイクは無効となる。
発熱だが、室温16℃の状況で、本体天面と底面に、若干熱を感じる。
USBケーブルを接続している限り、電源を切っても、以前の入力と音量は記憶されている。
ケーブルを抜いてしまうと、次の電源オン時には、USB入力となり、音量もリセットされる。
筐体は適度な大きさで、造りはカッチリしており、ツマミの回転や押した感じもシッカリしているので、モノとしての質も高い。
「聴こえない音が聴こえるようになった(笑)」などの過度な期待は禁物だが、特に最近の「ミニPC」は音が悪く(ノイズがあるわけではないが、何か物足りない)、音に不満があるが、1万円以上も出すに気にはなれないという場合には、適度な選択になるだろう。
オーディオ沼に注意!(1回目)
パソコン以外との接続
USB-C端子のある、iPad Air4とAndroidスマホとの接続でも、音を出すことができた。
# マイクは未確認。
電力をタブレットやスマホから取るため、タブレットやスマホの電池がどんどんなくなっていくので、実用的ではない。
DC 5Vに、別途供給用のUSB-Cを挿せば回避できるかは、これを回避できるかは確認していない。
なお、USB-Cからアナログの音声が出ているスマホでは、DACが重複するためか、正常に音が出なかった(極小でかつ途切れる)。
短いケーブルを使う
100円ショップのダイソーに、50cmのUSB2.0ケーブル(USB-A & USB-C)がある。
表面には記載がないが、裏面の「特徴」に「最大3Aまでの出力まで対応可能」とある。
当方の環境では、1mでは長いので50cmで充分であり、短い方が通信/給電的には有利だろう。
# 長さを測ったところ、先端から先端の長さは57cmであった。
断線防止用のスプリングが設けられている。
また、3A品は2A品よりは銅線が太いのかは分からないが、その可能性が高い(謎)ので、これも通信/給電的には有利だろう。
まぁ、1mの2A品と50cmの3A品を聴き比べたところで、差は分からないのだが。
付属のケーブルで充分?
なお、ダイソーには、より短い、3A対応の10cmのケーブルもあるが、10cmはさすがに短かすぎる。
オーディオ用のUSBケーブル
上述のように、本機の給電や通信は、USB-C端子から行う。
付属品や、100円ショップの安物ケーブルではなく、以下のようなオーディオ用のケーブルを使うと、音が良くなる?
デジタルだからどのケーブルでも同じでしょ?と思われるも、本機は給電も行っているので…
「CD(シーデー)はデジタル臭くてダメだ、やはりレコードが良い。」と言うややこしいオーディオマニアの老人オーディオに精通している先人なら、当然変わると回答するだろう!
オーディオ沼に注意!!(2回目)
AIYIMAのUSB DAC
AIYIMAからは、型式の似たような機種が出ている。
いずれも、DAC-A2 PRO同様、USB/OPT/COA入力が可能である。
-----
型式から分かるように、DAC-A2 PROの前モデル。
マイク入力はない。
入力選択用の専用スイッチがある。
背面の出力がRCA端子である。
USBがUSB-Bとなっている。
なお、Fosi AudioのDAC-Q4も同じように見えるが…
ヘッドホン端子の色が異なるが、これは製造時期によるものだろう。
-----
マイク入力はない。
ヘッドホン端子が2ツ(3.5mmと6.3mm)ある。
音量ツマミを押すとミュートできる。
背面の出力がRCA端子である。
USBがUSB-Bとなっている。
電源がACアダプター(DC 12V)である。
オーディオ沼に注意!!!(3回目)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません