[FM] SSGなしでステレオセパレーションを調整する方法 [チューナー]
SSG(標準信号発生器)がなくても、FMトランスミッターがあれば、FMチューナーのステレオセパレーション(ステレオ分離度)を調整することが可能?
方法
WaveGeneで、以下の2ファイル(WAV)を生成。
・1kHz_Lch_-10db_300s ←左チャンネルだけ
・1kHz_Rch_-10db_300s ←右チャンネルだけ
1kHzというのは、いわゆる「ピー」という音。
1kHz_Lchを再生し、FMトランスミッターで送信開始。
ST-S222ESAのFMアンテナ端子にFMトランスミッターを近付け、83.0MHzを受信する。
ST-S222ESAのLINE OUTの音を、ヘッドホンでモニターする。
Lchしか音が出ないはずなのに、Rchからも音が出る場合、セパレーション(分離)が悪いということになる。
基板上のRV302を回し、Rchの音が最小になるようにする。
同様に、1kHz_Rchを再生し、Lchの音が最小になるように、RV301を回す。
耳だと不安な場合は、音をパソコンに入れ、WaveSpectraで見ると、はっきりするだろう。
関連:[SONY] ST-S222ESAのレビュー [チューナー]
実際
当方の手元に、GH-KANA-GTKという、グリーンハウスのmp3プレーヤーがある。
これには、FMトランスミッター機能があるので、これを使う。
・1kHz_Lch_-10db_300s ←左チャンネルだけ
・1kHz_Rch_-10db_300s ←右チャンネルだけ
各々をmp3にエンコードし、GH-KANA-GTKに転送する。
GH-KANA-GTKで1kHz_Lchを再生する。
再生中にMENUボタンを押して、RF Settingを選択、
RF Freqで83.0MHzを選択。
周波数変更はボタン長押しでは進まないので、延々と連打する必要あり!
1kHz_Lchを、83MHzで送信開始!
安物のトランスミッターの中には、モノラル送信のものがあるので、まずはステレオかどうかを確認する。
XHDATAのD-808で受信したところ、「STEREO」が点灯したので、ステレオとなっているようだ。
が、ヘッドホンでモニターしたところ、どう聴いても、R側からも「ピー」音がする。
他のラジオでも同じ。
D-808のヘッドホン出力をSBDMUPX(オーディオインターフェイス)経由でパソコンに入れ、WaveSpectraで見ると…
関連:[Creative] SBDMUPX(Sound Blaster Digital Music PX) レビュー [SCMS]
↑L(左)
↑R(右)
1kHzが両方から出てるだけでなく、Rの方が大きい(笑)
19kHzにパイロット信号があるので、ステレオと認識はされるのだが、1kHzはLだけのはずなのに、Rにも出てる!
ダメだこりゃ。
GH-KANA-GTKのヘッドホン端子で聴くと、Lしか聴こえないので、MP3プレーヤーとしては問題ないが、トランスミッターとしてはゴミのようだ。
トランスミッターは完全にモノラルなのかというとそうでもなく、音楽を聴くと、微妙なステレオ感があるという、意味不明なプレーヤー(笑)
ということで、FMトランスミッター自体がゴミにつき、セパレーション調整は失敗どころか、未着手に終わった。
FMトランスミッターは、探せば手に入るが、本用途で使うには、質が不明。
関連:FMトランスミッターモジュールボード(87-108MHz)
関連:FMトランスミッターモジュールボード(87-108MHz)
以下のような敷居があるが、
・87.5-89.9MHz(0.1MHzステップ)であり、83MHzは不可
・自分で組み立てる必要がある
・電源を用意する必要がある
秋月電子で販売されているFMトランスミッターを使った方が良いだろう。
関連:NS73M使用 FMステレオ・トランスミッター・キット (秋月電子)
税込4,800円…
ラジオ自体が時代遅れかつ斜陽かつ滅亡へ向かっている令和に於いて、キミはそこまでして、チューナーのステレオセパレーションを調整したいのか、真冬に越前あたりの廃寺に籠(こも)り、よく考えるがよい。
試験電波を使う
雑念を払い、越前の廃寺に籠って1週間考えた結果、α-STATION(エフエム京都)の試験電波を使うことにした。
関連:FM放送の試験電波を使った ステレオセパレーション調整
α-STATIONの試験電波は、Lには1kHz(「ピー」音)、Rには400Hz(「ポー」音)と、異なる音が流れていることを利用する。
WaveSpectraで見て、
・L表示時に、RV301を回して、400Hzが最小になるようにする。
・R表示時に、RV302を回して、1kHzが最小になるようにする。
下がる方向に回し、最小になるところで止める。
回し過ぎると、減少から増加に転じるので、最小に戻す。
調整の前後を掲載する。
↑L(調整前)
↑L(調整後) 400Hzを下げた
↑R(調整前)
↑R(調整後) 1kHzを下げた
このように、それなりにズレていた。
試験電波が流れるのは、23/26時(曜日による)-午前5時の間なので、放送終了まで待つ必要があるが、ファイルを作ったり、トランスミッターを用意する必要もない。
関連:[FM京都] 放送終了→試験電波 [α-STATION]
周波数は以下の通り、各々の送信所の位置はココ、試験電波の時間はタイムテーブル参照のこと。
・小塩山(京都市西京区):89.4MHz
・福知山:81.3MHz
・舞鶴:87.2MHz
・宮津:79.8MHz
・峰山(京丹後市):85.4MHz
関連:α-STATION タイムテーブル (エフエム京都)
ズレ修正後、全ての悩みが消え、出家への道も開けたが、放送中の他局を聴いてみると、特に変わった感じもなく…
自分の耳がゴミなだけではないのか、真冬に越前あたりの廃寺に籠り、雪が降り積もる静寂の中、再び考えるがよい。
α-STATION(エフエム京都)の放送開始後に聴くと、α-STATIONは良いが、他局はイマイチのような気が…
セパレーションの調整箇所はRV301とRV302しかないので、セパレーションに関しては、これ以上どうしようもないのでは?
それか、他の箇所(歪率:IFT252)などがズレている?
試しに、放送を聴きながらIFT252を左右に各々1周程度回してみたが、聴感では特に変化を感じず。
↑緑丸(IFT251)の右にある白丸がIFT252
この部品、意味あるの?(笑)
FMって、こんなにいい音だったの?という感動(謎)を得るためには、以下の上位機種に逝行く必要がある?
ST-S333ESG:49,800円(1989年発売)
ST-S333ESA:55,000円(1991年発売)
ST-S333ESJ:55,000円(1993年発売)
ST-S555ESX:74,000円(1986年発売)
ST-SA5ES:55,000円(1995年発売)
ST-SA50ES:40,000円(1997年10月発売)
ラジオ自体が時代遅れかつ斜陽かつ滅亡へ向かっている令和に於いて、キミはチューナーごときに何故こだわるのか、その先に何があるのか、真冬に越前あたりの廃寺に籠り、よく考えるがよい。
関連:[SONY] ST-S510(FM/AMチューナー)レビュー [AMステレオ対応]
関連:[SONY] ICR-S71の修理(電源SW/バリコン/ボリューム) [ラジオ]
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