[SONY] TC-RX1000Tの前期型と後期型 [カセットデッキ]

2022年10月12日



前期型と後期型

「全国点字図書館協議会推奨」のカセットデッキであるTC-RX1000Tについて。

TC-RX1000T_カタログ
↑TC-RX1000T(1994年から2003年8月まで生産)

1994年に登場したTC-RX715の兄弟機であるとは、以下に書いた通りだが、

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

同じTC-RX1000Tであっても、製造時期により、内部が異なることを確認した。

以下「前期」と「後期」と呼ぶ。

# 「中期型」もあるかもしれないが。

基板の色が明らかに異なり、前期は薄く、後期は濃い。

基板の色_TC-RX1000T
↑(左)前期と後期(右)

コンデンサも異なり、前期は電源部にELNAのコンデンサが使われているが、後期はELNAではなくなっている。

電源部(前期)_TC-RX1000T
↑前期

電源部(後期)_TC-RX1000T
↑後期

ELNAのコンデンサはコストがかかるので、後期はコストダウンしたと思われるが、逆に前期でELNAでない部分が後期ではELNAになったりと、変えている基準がよく分からない。

REC EQ(前期)_TC-RX1000T
↑前期

REC EQ(後期)_TC-RX1000T
↑後期

写真中央下に横に並ぶ、C112、C305、C306、C212が、後期ではELNAになっている。

コンデンサの違いは他にも多数あるし、コンデンサ以外の差もあるだろう。

音質の差は?

前期型と後期型の音質の差であるが、片方のメカをもう片方に移植して聴き比べたところ、ハッキリと分かる差はなかった。

ただ、前期型と後期型とも、TC-RX715に比べて(意図的に)高音が抑えられている感がするのは、以下に書いた通りである。

関連:[SONY] TC-RX715とTC-RX1000Tの比較 [兄弟機]

見分け方

どこかの製造番号で切り替わっているはずだが、何番からかは調べようがない。

ただ、背面の型式部分に、PSEマークがあるものが、後期型であった。

背面型式(前期)_TC-RX1000T
↑前期

背面型式(後期)_TC-RX1000T
↑後期(PSEマークあり)

PSEマークは、電気用品安全法が2001年4月1日の改正施行に伴うものなので、それ以降の生産品に、このPSEマークが付く?

PSEマークはシールなので、剥がれてしまえば分からなくなってしまう。

どちらを選ぶべき

前期型と後期型のどちらを選ぶべきかについては、上述のように、ELNAで判断するに、どちらとも言えない。

ただ、何となくではあるが、後期型は余ったパーツを寄せ集めて作った感がするのは気のせい?

TC-RX1000Tは、TC-RX715と同じ1994年から2003年まで、長期に渡って生産されていた。

TC-RX715が生産されていたなら、それを流用すれば済むのだが、TC-RX715の方は、先に生産終了となっていただろう。

となると、録音図書作成機であり、音質を求める必要のないTC-RX1000Tは、流用元がなくなった以上、部品にこだわる必要はないわけだ。

2003年に、後継機であるTC-RX2000Tが発売されたが、それまで間は、つなぎとして、安い部品に変えた可能性が高い。

となると、選ぶなら、TC-RX715に近い前期型の方が良い、と判断できそうだ。

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Posted by nakamura