電子部品チェッカー(LCR-T4/MTester)の故障と再購入
以前購入して使っていた、電子部品チェッカー(LCR-T4)であるが、
その後、不動になった(笑)
電源すら入らない。
コンデンサを調べる際に、コンデンサ付近でパチッと音がしたので、放電していなかったのが原因だろう。
測る前に、両極をショートさせ、放電させなければならない。
アマゾンの商品ページにも、以下の記載がある。
「テスターのMCU(Micro Controller Unit:マイコン)が破壊される恐れがありますので、コンデンサを測定する前に必ずコンデンサの放電操作をしてください。」
MCU(EGA328)が電圧で壊れたようだ。
ということで、再度購入。
前回は2019年3月の購入だが、ずいぶん価格が上がっているね…
カラー液晶でバッテリー駆動の亜種もあるようだが、
関連:LCR-TC1
関連:LCR-T7
透明ケースに入れて使っていたので、透明ケースを流用するため、同じLCR-T4を購入。
新旧比較
同じに見えるが、細部が異なる。
↑左が旧、右が新
裏面はかなり違う。
↑左が旧、右が新
新には、水晶振動子(MCUの左にある銀色の部品)がない?
新には「V4.1.3_2022/5/18」とあるので、新しいのは間違いないが、
新しいからと言って、性能的に優れているとは限らず、省略等のコストダウンが行われている可能性もある。
# 旧には、バージョンや日付の記載ナシ。
ケースとの不一致
まぁ、とにかくケースに格納、と着手したが、なんと、ネジ間の距離が異なる事案が発生…
# 新の方が狭い。
そのまま仮組したところ、負荷がかかるためネジを締めきれず、緩く締めても、基板やケースが湾曲してしまう。
決まったところが製造しているのではなく、各自が勝手に何の連携もなくコピーのコピー、デッドコピーを作っているのだろう。
ということで、基板のネジ穴をドリル(3.5mm)で拡張したが、
まだ及ばないので、ケースの方も拡張。
それでも若干反っており、ボタンが埋没している等の問題はあるが、ギリギリOKのレベルなので妥協する。
改造
以前のように、小型昇圧器を組み込み、USBで駆動できるようにした。
環境によるだろうが、USBケーブルは、若干長め(ケース外で40-50cm程度)かつ、柔らかいケーブルにしておいた方が良いだろう。
また、1番と3番を赤黒線で引き出し、
コネクタ式として、先を変えられるようにした。
先端には、ピン型やミノムシクリップを用意すると、機器から取り外したような、脚の短いパーツも測れる。
視野角
以前のものよりも、視野角が狭い気がする。
下方から見ると見えないので、チェッカーを机の奥に置いて使うと困る。
# 液晶だけの交換は不可能。
電源OFFの状態から電源スイッチを長押しすることでコントラストの調整ができるようだが、本機はできなかった。
校正
本機は、校正(キャリブレーション)が必要である。
①0.1uF(100nF)から20uFの無極性のコンデンサ(セラミックコンデンサ等)を用意。
②1番と2番と3番のソケットをショートさせると、セルフテストモードに入る。
③38%の時点で「Pls Isolate Prove」となるので、ショートを解除する。
④82%の時点で「Insert The Capacitor」となるので、1番と3番にコンデンサを挿す。
⑤100%になったら、校正完了。
本機は、何も接続していないのに「Capacitor」と出る。
付加した赤黒線が原因かもしれないが、同じ構成の旧機では出なかった。
また、コンデンサのESRが、多くの場合で0.00Ωと出る。
やはり、校正が必要?
校正には、無極性のコンデンサが必要。
電解コンデンサやタンタルコンデンサには極性があるので使用不可。
無極性のコンデンサには、セラミックコンデンサがある。
校正なので、muRata(村田製作所)などのできるだけ正確なコンデンサが必要?
校正実施
校正用に、新品のmuRata(村田製作所)の積層セラミックコンデンサ 10uF 50V 無極性を入手。
↑RDEC71H106K3K1H03B(静電容量 10μF±10%)
関連:RDEC71H106K3K1H03B (村田製作所)
1番と2番と3番ピンをショートさせるために、他で切り落とした脚で、以下のようなものを作成。
この3本脚を挿して、電源ON。
以下、先の手順で校正完了。
↑Test End
以下に、校正前後の結果を記す。
校正前後
(以下、全て新品)
muRata 10uF 50V(積層セラコン,無極性) 校正のために用意したもの
・(前)0Ω 0% 10.38uF
・(後)0.16Ω 0% 10.48uF
↑校正前
↑校正後
ルビコン 100uF 50V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 0.6% 87.55uF
・(後)0Ω 0.7% 88.08uF
ルビコン 470uF 35V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 0.7% 421.4uF
・(後)0Ω 0.6% 424.2uF
ルビコン 1000uF 35V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 1.0% 940.3uF
・(後)0Ω 0.7% 943.7uF
ルビコン 2200uF 35V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 0.7% 2069uF
・(後)0Ω 0.5% 2073uF
ルビコン 3300uF 16V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 1.0% 3472uF
・(後)0Ω 0.5% 3386uF
ルビコン 4700uF 16V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 1.0% 4947uF
・(後)0Ω 0.5% 4989uF
ニチコン MUSE 4.7uF 50V(アルミ電解コンデンサ,オーディオ用,両極性品)
・(前)1.2Ω 0.2% 4.365uF
・(後)2.0Ω 0.2% 4.391uF
ニチコン MUSE 10uF 50V(アルミ電解コンデンサ,オーディオ用,両極性品)
・(前)0Ω 0.1% 10.2uF
・(後)0.49Ω 0.1% 10.26uF
ニチコン MUSE 220uF 25V(アルミ電解コンデンサ,オーディオ用,両極性品)
・(前)0Ω 0.7% 197.9uF
・(後)0Ω 0.6% 199.1uF
中華 4.7uF 50V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)1.3Ω 0.2% 4.490uF
・(後)2.1Ω 0.2% 4.547uF
中華 100uF 16V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 1.7% 95uF
・(後)0.48Ω 1.4% 95.26uF
中華 1000uF 16V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 1.0% 992.6uF
・(後)0Ω 0.7% 1014uF
中華 2200uF 16V(アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 0.5% 2561uF
・(後)0Ω 0.7% 2548uF
中華 680uF 16V(導電性高分子アルミ電解コンデンサ)
・(前)0Ω 0.7% 778.2uF
・(後)0Ω 0.5% 749.6uF
校正前後でさほど変化がなく、部品を買ってまで構成する必要もなかったような。
まぁ、正確性を求めるなら、もっと高いLCRメーターが必要だ。
↑5種類の測定周波数に対応(100/120/1k/10k/100kHz)
なお、何も挿していない状態で「Capacitor」と出る問題は、これで解消された。
↑何も挿していない時
ただ、この後も、コントラストの調整はできなかった。
長押ししても、調整モードに入れない。
基板から探す
校正の為だけに、使いもしないセラミックコンデンサを買うのも…という人は、何かしらの機器の基板から取り外すという手もある。
その機器が使用中であっても、一時的に取り外し、校正後、元に戻せばよい。
例えば、SONYのカセットデッキであるTC-RX79(1992年)には、以下の箇所に0.1uFのセラミックコンデンサが使われている。
↑TC-RX79の基板
1-164-159-11 CERAMIC 0.1uF 50V
・C606
・C608
・C609
・C716
・C801
・C802
・C810
・C812
・C813
・C815
但し、発売から30年も経過した機器であり、セラミックコンデンサも劣化していると思われるので、校正に使うには適さないか…
関連:[SONY] TC-RX79(1992年発売) レビュー [カセットデッキ]
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