[SONY] 3ヘッド機対決(比較) [TC-K222ESJ,TC-K710S,TC-K700S]

2022年10月19日

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TC-K222ESJとTC-K710S、TC-K700Sの比較(一部)

TC-K222ESJ:1993年発売
TC-K710S:1995年発売
TC-K700S:1993年発売

各機の細かい情報は、以下を見てもらうとして、

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:[SONY] 廉価の3ヘッド機(TC-K600,TC-K700S,TC-K710S) [カセットデッキ]

そりゃ、ES機の方が上でしょ?
ということだが、

クルマやカメラ同様、大して差がない部分や、逆に廉価機の方が優れている部分がある。

発売時期

・TC-K222ESJ:1993年:細川内閣成立、class「夏の日の1993
・TC-K710S:1995年:阪神・淡路大震災、Windows95、シャ乱Q「ズルい女
・TC-K700S:1993年:同上

TC-K222ESJが同年、TC-K710Sはその2年後。

価格

・TC-K222ESJ:65,000円
・TC-K710S:49,000円
・TC-K700S:49,800円

TC-K222ESJとTC-K710Sの差は、16,000円。

ヘッド

・TC-K222ESJ:PC-OCC巻線レーザーアモルファスヘッド
・TC-K710S:SD(Super High Density=ハードパーマロイのSONYの呼称)ヘッド(録音/再生とも)
・TC-K700S:SD(Super High Density=ハードパーマロイのSONYの呼称)ヘッド(録音/再生とも)

クローズドループ デュアルキャプスタン

・TC-K222ESJ:〇
・TC-K710S:×
・TC-K700S:×

TC-K710SとTC-K700Sはシングルキャプスタン。

Lapis(軸受けのサファイア使用)

・TC-K222ESJ:〇(巻き取り側のみ)
・TC-K710S:〇
・TC-K700S:×(黒いプラスチック)

サファイアキャプスタンベース_TC-K710S
↑TC-K710Sのサファイアキャプスタンベース

クォーツロックサーボ

・TC-K222ESJ:〇
・TC-K710S:〇
・TC-K700S:×

TC-K710Sのクォーツ(水晶振動子)
↑TC-K710Sのクォーツ(水晶振動子)

このクォーツロックサーボの有無が、TC-K700SとTC-K710Sの大きな差である(後述)。

DOLBY NRの種類

・TC-K222ESJ:B/C/S
・TC-K710S:B/C/S
・TC-K700S:B/C/S

全てSに対応。

関連:[SONY] Dolby S NR 対応機種 [カセットデッキ]

FL管

FL管_TC-K222ESJ
↑TC-K222ESJ

FL管_TC-K710S_TC-K700S
↑TC-K710S/TC-K700S

後述するが、TC-K222ESJは表示項目が少ないので注意。

DOLBY NRの選択

・TC-K222ESJ:表示されない
・TC-K710S:FL管に表示される
・TC-K700S:FL管に表示される

TC-K222ESJは、旧モデルのTC-K222ESGTC-K222ESLTC-K222ESAでは表示されていた内容(DOLBY NR、MPX FILTER、Dolby HX PRO、CD DIRECTの4項目)が表示されず、大幅に劣化している。

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

MPX FILTERのON/OFF

・TC-K222ESJ:表示されない
・TC-K710S:FL管に表示される
・TC-K700S:FL管に表示される

TC-K222ESJは、ボタンで判別することになるが、ボタンが押込式なので、見た目だけでの判別は困難。

MPX FILTER_HX PRO_CALIBRATION_DIRECT_TC-K222ESJ
↑ONかOFFか、すぐに判別できない!

DOLBY HX PRO

・TC-K222ESJ:ON/OFF切替可(※)
・TC-K710S:常時ON(OFFにできない)
・TC-K700S:常時ON(OFFにできない)

※MPX FILTER同様、ON/OFFがFL管に表示されず分かりにくい。

DOLBY HX PROの害は特にないようなので、OFFになってた!というミスのない、切替不可(常時ON)の方がいいのでは?

なお、TC-K222ESJからDOLBY HX PROボタンを取り去ったのが、海外モデルのTC-K808ES?

関連:[SONY] 海外モデルについて [カセットデッキ]

CALIBRATION

・TC-K222ESJ:CALIBRATIONボタンを押す必要がある(面倒)
・TC-K710S:停止ボタンで解除可能
・TC-K700S:停止ボタンで解除可能

TC-K710S/K700Sの感覚でTC-K222ESJの操作をすると、CALIBRATIONのままで録音を開始し、音がINされない?となることが多々ある。

REC EQ CAL

・TC-K222ESJ:あり(LOW/NORMAL/HIGHの3段階)(※)
・TC-K710S:なし
・TC-K700S:なし

※後継のTC-KAシリーズ(TC-KA3ES/TC-KA5ES/TC-KA7ES)だと無段階調整可。

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

曲間検知(AMS)

・TC-K222ESJ:前後1曲のみ(※)
・TC-K710S:前後30曲(マルチAMS)
・TC-K700S:前後30曲(マルチAMS)

※ES機の複数曲対応は、後継のTC-KAシリーズ(TC-KA3ES/TC-KA5ES/TC-KA7ES)から。

ピークメーター

・TC-K222ESJ:24
・TC-K710S:16
・TC-K700S:16

16(疑似32)で十分では?

SOURCE/TAPE

・TC-K222ESJ:SOURCE(赤)、TAPE(白)
・TC-K710S:SOURCE(赤)、TAPE(緑)
・TC-K700S:SOURCE(赤)、TAPE(緑)

この「緑」が非常にイイのだが、劣化で暗くなっていることがあるので注意。

TAPE_FL管_TC-K710S

関連:FL管(蛍光表示管)について

FL管の表示切替(リモコン必須)

・TC-K222ESJ:全灯/時間のみ/消灯
・TC-K710S:ON/OFFのみ
・TC-K700S:ON/OFFのみ

TC-K710SとTC-K700Sは時間のみの表示ができない。

電源ON時(テープは停止)の動作音

・TC-K222ESJ:ほぼ無音
・TC-K710S:モーター音
・TC-K700S:モーター音

モーター音が大きい場合は、モーターを分解し、グリス塗布等の手入れをすると静かにはなるが、それでもTC-K222ESJの「ほぼ無音」にはならない。

関連:[SONY] モーター分解と静音化 [カセットデッキ]

大きさ

・TC-K222ESJ:幅430x高さ135x奥行360mm
・TC-K710S:幅430x高さ125x奥行295mm
・TC-K700S:幅430x高さ125x奥行295mm

TC-K710SとTC-K700Sは同じ。

重量

・TC-K222ESJ:7.4kg
・TC-K710S:4.7kg
・TC-K700S:4.8kg

TC-K710SとTC-K700Sはほぼ同じ、ES機は「222」でもやはり重い。

消費電力

・TC-K222ESJ:22W
・TC-K710S:17W
・TC-K700S:17W

TC-K710SとTC-K700Sは同じ、TC-K222ESJは5Wも大きい。

TC-K222ESJは向かって左側側面が熱くなる。

カセットホルダーを開けたままで電源を切ると

・TC-K222ESJ:閉じない
・TC-K710S:閉じてくれる
・TC-K700S:閉じてくれる

TC-K222ESJは、次回電源ON時に閉じる。

開いたままで電源が切れるのは好ましくないので、閉じてくれるTC-K710S/TC-K700Sが好ましいが、TC-K222ESJの「閉じない」は、掃除等のための意図的?

# OPEN/CLOSEを押しながら電源を入れると3機種ともクリーニングモードになるのは知っている。

TC-K710S vs TC-K700S

型式からも分かるように、TC-K700Sの後継がTC-K710Sであり、差は2年。

TC-K710S:1995年発売
TC-K700S:1993年発売

TC-K700Sは安価な3ヘッド機だが、モーターの回転が制御されない(半固定)のが難点。
気温やベルトの劣化等で回転速度が変わっても、自動では補正されない。

後継のTC-K710Sは、クォーツロックサーボにより回転が制御されるので、モーターの速度調整は不要。

QUARTZ

実際に正確な速度で回転しているかは、以下の機構で確認している。

TC-K710Sのフライホイールの裏には、フォトセンサー(Q1001)が載ったセンサーボード(1-651-596-11)が付いており、

SENSOR BOARD_TC-K710S
↑1-651-596-11 SENSOR BOARD

ここから放たれた赤外線の、フライホイールにあるミラーでの反射を読み取り、回転速度を取得、キャプスタンモーター(MMI-6H2LWK)を常時制御している。

TC-K710Sのフライホイール

関連:[SONY] キャプスタンモーター(MMI-6S2LKS/MMI-6S2LK/MMI-6H2LWK) [カセットデッキ]

TC-K700S(下の写真の右側)には、その機構がないのが分かるだろう。

メカ比較_TC-K710S_TC-K700S
↑(左)TC-K710SとTC-K700S(右)

このように、リアルタイムでの回転制御が可能、かつ、クォーツロックサーボの意味はかなり大きい。

TC-K700Sだと、回転速度は、モーター(MMI-6S2LK)にある半固定抵抗を回すことで調整できるが、リアルタイムでは補正されず、フライホイールの速度取得もない。

ただ、TC-K700SとTC-K710Sのカセットリッド(フタ)はデザインが異なり、TC-K700SはTC-RX711/RX715/RX1000T/RX2000Tと同じ形だが、

カセットリッド_TC-K710S_TC-K700S
↑(左)TC-K710SとTC-K700S(右)

TC-K710Sは手前に膨らんでいて自己主張が強すぎるのが、唯一の劣る点か…

カセットリッド_TC-K710S_TC-K700S
↑(上)TC-K710SとTC-K700S(下)

並べて見ると、違いがよく分かる。

TC-RX1000T_TC-K700S_TC-K710S
↑上から、TC-RX1000T、TC-K700S、TC-K710S

外国人向けのデザイン(=海外モデル)を流用したため?

TC-K700SとTC-K710S
(上)TC-K700SとTC-K710S(下)

TC-K710SはTC-K700Sの後継機であり、外観の変化はないので、無理に差を付けたとも思える。

TC-K222ESJのリッドも、形状はTC-RX711/RX715/RX1000T/RX2000Tに近いので、並べると違和感が出る。

なお、カセットリッドは互換性があり、型式表記はないので、入れ替えることは可能ではあるが…

TC-K222ESJ vs TC-K710S

2年の差がある。

TC-K222ESJ:1993年発売
TC-K710S:1995年発売

TC-K222ESJは、回転ムラの少ない3相リニアトルクBSLモーターや、クローズドループ デュアルキャプスタンにより、ワウ・フラッターが小さいが、ある程度小さいもの同士の比較だと、その効果は体感しにくい(=差が分からないレベル)。

TC-K710Sのベルトを千石電商のものに交換し、ピンチローラーも適したものに交換すれば、ワウ・フラッターも小さくなり、TAPEの音はSOURCEにかなり迫る。

TC-K710Sは、FL管の情報量も多く、CALIBRATIONの解除等の使い勝手も良い。

TC-K222ESJは、DOLBYの種類やMPX FILTERのON/OFFがFL管に表示されないなど、中途半端な点が目立つ。

# 旧モデルのTC-K222ESATC-K222ESLでは表示されていた内容が表示されず、劣化している。

後継のKAシリーズ(TC-KA3ES/TC-KA5ES/TC-KA7ES)ではFL管内の表示不足が解消されるが、最終のES機なので、中古でも高い。

TC-K710Sはピンチローラーが右側だけだが、その分メンテナンスが楽。
当然、入手価格もES機に比べて安価なので、SONYの3ヘッド機の日本モデルなら、TC-K710Sがオススメ。

結論

TC-K222ESJ>TC-K710S>>>TC-K700S

あとは、見た目や、所有欲の問題か…

TC-K710Sはカセットテープ衰退期のさらに末、1995年の製品であるためか、出回っている数が少なく、入手困難である。

なお、海外モデルには、手動ドアの3ヘッド機(TC-KE500SやTC-KB920 QSなど)があったりと、日本よりもバラエティーに富み、選択肢が多く面白いのだが…

# 海外モデルについては、以下記事参照。

関連:[SONY] 海外モデルについて [カセットデッキ]

関連:TC-K222ESJ:1993年発売

関連:TC-K710S:1995年発売

関連:TC-K700S:1993年発売

ESJシリーズの後継は、以下のKAシリーズであり、最終のES機となる。

関連:TC-KA3ES:1995年発売

関連:TC-KA5ES:1995年発売

関連:TC-KA7ES:1995年発売

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:[SONY] 廉価の3ヘッド機(TC-K600,TC-K700S,TC-K710S) [カセットデッキ]



2022年10月19日

Posted by nakamura