[SONY] ヘッドのアジマス調整後の緩み止め剤 [カセットデッキ]
古いカセットデッキは、ヘッドの角度(アジマス)がズレていることが多い。
アジマスがズレていると、音がこもったりする。
オートリバース機のヘッドの回転機構を見ると分かるが、前面のネジを回すことにより、ヘッドがどこまで回転できるか(=角度)を調整できる。
テストテープがあれば、リサージュ図形云々でできるが、ない場合は、市販の(最初から音楽が入っている)音楽テープを使う。
再生している状態で、アジマス調整用のネジを回し、高音がキレイに出る状態にする。
ネジの位置だが、TC-RX711/TC-RX715/TC-RX1000Tの場合、
表面(正方向):正面向かって左側。
裏面(逆方向):正面向かって右側。
TC-K700S/TC-K710Sの場合は、正方向だけ(ヘッドが回転しない)なので、ネジは正面向かって右下だけ。
ネジは緩(ゆる)まないよう、緩み止め剤で止められているので、ネジを舐めないように、しっかり押して回すこと。
調整したら、緩み止め剤で固定する。
緩み止め剤、今回は、3MのTL90Jを使用した。
タイプは「後浸透,中強度,超低粘度」。
ネジに付けてから回すのではなく、回した後に付けるので、後浸透型を選んだ。
たくさん入っているように見えるが、赤容器の1/3程度、容量はわずか10mlだ。
アジマスのネジ固定であれば、1回に数滴しか使わないので、10mlもあれば十分。
50mlのものもあるが、長期保管で固まって使えなくなる可能性がある。
倍の値段で5倍の容量が買えるのだが、今回の用途では、10mlの方が賢明かは、各自の判断で。
接着剤や、緩み止め剤に高強度(永久固定)のものを使ってしまうと、ネジが外せなくなり、ドリルでネジを破壊するしかなくなるので、使用厳禁だ。
緩み止め剤は、金属間かつ酸素を遮断すると固まる性質がある。
ネジとその下の金属板(バネ)の間に浸透させると、金属間となるので固まるというわけだ。
高強度ではないので、力をかければ外すことも可能。
これらの点で、一般の接着剤とは違う。
超低粘度なので、このようにポシャポシャである。
液の色は、緑色。
これくらいポシャポシャでないと、金属間に浸透させることができない。
ノズル先端をニッパーやハサミで切ってから、使用を開始する。
使う前に、キャップを付けたまま、しっかりと振る。
この時、縦に振るのではなく、横に振るのが良い。
縦に振ると、ノズル先端に液が集まってしまうからね。
試しに、レンズ部がグラグラになったルーペのヒンジ部に付けてみる。
(危険:カメラ越しの作業)
付けすぎ(笑)
そして放置したところ、振っても動かなくなった。
それどころか、橋渡しをして上から押さえても、全く動かない。
接着剤ではないので、レンズ部の格納は可能だが、かなりの力が必要。
まぁ、何度か動かしていると適度に緩んだので、ルーペの使用には差し支えない。
同様に、使用によりユルユルになったスマホリングを固くする目的で使っている人もいるが、人体に有害。
TC-RX711/TC-RX715/TC-RX1000Tの場合、左右のネジを調整後、側面へ流し込む感じで付ける。
といっても、液がポシャポシャで緩いため、容器を押すと大量に出るから、加減に注意。
ネジ1つに対し、1滴で十分だ。
前面パネルを外し、メカ部の前面を上に向けた状態にすると液を付けやすくなる。
ネジ穴に付けてしまうと、穴が埋まり、外す時に障害となるので注意。
TC-K700S/K710Sの場合は、対象のネジが奥まっているので、ノズルの先端をネジに近付けることが難しい。
なので、前面パネルを外し、メカ部の前面を上に向けた状態にし、対象箇所に上から垂らす感じで付ける。
この時、間違っても、ノズルの先を下に向けないように!
大量に出て危険である。
TC-K700S/K710Sで消去ヘッドを調整した場合は、こちらも付けておく。
「完全硬化まで24時間以上置く」とあるが、先のルーペの場合からして、30分程度で十分だろう。
必要ない箇所に付けてしまった場合は、ティッシュペーパーで拭き取る。
金属間でないと固まらないものの、余った液が他に流れ、意図しない箇所が固まるのを防ぐためだ。
さて、今回の緩み止め剤、次回の出番はいつになるのか?
そしてその時、今回の緩み止め剤は固まらずに使えるのだろうか?
追記:購入から1年半が経過したが、固まることなく、問題なく使用可能である。
アジマス調整のネジの位置
ES機含め、アジマス調整のネジの位置は、以下記事を参照のこと。
TL42J(中強度,中粘度)
ネジ頭のみの固定であれば、TL42J(中強度,中粘度)が適。
TL43J(中強度,高粘度)
高粘度は隙間に入っていかないので、該当箇所に乗せる感じで。
止めたネジを外す方法
緩み止め剤は、パーツクリーナーやアルコールでは除去できない。
一般的に、緩み止め剤を外すには、ガスケットリムーバー(79040J)を使う。
だが、高価なことと、ヘッド周辺部材(プラスチック)への影響が不明なことから、使用すべきではないだろう。
緩み止め剤が「中強度」であれば、普通にドライバーで外せるはずだ。
しっかりしたドライバーを使い、押す力7、回す力3の割合で、ゆっくりと回す。
押す力が弱いと、ネジ山が潰れ、ドリルでネジを破壊するしかなくなる。
外した後のネジに緩み止め剤のカスが残っていると、再度塗布した際に固まらない恐れがある。
外した後のネジに付いたカスを除去するには、金属のみとなるので、ガスケットリムーバーを使っても良いだろうが、それなら新しいネジを買った方が安上がり。
↑M2ネジ SUS304 5mm
だが、ネジ穴に残ったカスはどうするのかという問題も出てくる…
というようなことを考えると、TL90J(後浸透,中強度,超低粘度)ではなく、TL42J(中強度,中粘度)やTL43J(中強度,高粘度)を使い、頭のみを固定、外した際には極細ペンチやピンセットで頭に付いたカスを除去、再度そのネジを使うのが適切と言える。
2022年11月追記
TL90J(中強度,超低粘度)に加え、TL43J(中強度,高粘度)も手に入れてみたが、TL43Jでも緩いので、調整しやすいという意味でもTL43Jで良いだろう。
↑(左)TL90J、TL43J(右)
使用前に、キャップをした状態で、しっかりとと上下に振ること。
そうしないと、内部で分離しており、粘性の緩い液が先に出てしまう。
だが、TL90J(中強度,超低粘度)は、使用後、液がスッキリとボトルに戻るのに対し、TL43J(中強度,高粘度)は、ノズルに残ったまま。
TL43J(中強度,高粘度)のノズルが青色なのは、液が滞留/固着しているためであり、ノズル自体はTL90J(中強度,超低粘度)と同じ乳白色である。
そもそも、TL43J(中強度,高粘度)は先端を切る未開封時からこの状態(容器を立てて長時間放置してもこの状態)なので、使わないと固まってしまうのではないか、というか、未開封時点で既に固まっているのではないかという疑念が…
追記:TL43J(中強度,高粘度)は、使用後の保管で固まりました!要注意!!
頻繁に使うとか、都度買い替えるなら高粘度でも良いかもしれないが、あまり使わないが、少しずつ長く使いたいという人は、超低粘度を購入し、使う際は爪楊枝に付けてからネジに塗布する(金属でないと固まらないのでOK)ことで、超低粘度による液の流れをカバーすると、長く使用できるだろう。
ノズルの先端が固まって出なくなったら、針で突いて穴を開けて使用。
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