[SONY] 電源スイッチの不具合 [カセットデッキ]

2022年1月12日

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電源スイッチの不良

SONY機では、概して左側にある、電源スイッチ(POWER)。

TC-RX70の電源スイッチ周辺

最近、この不具合が散見される。

電源が入らない

だけでなく、

・何度かON/OFFしないと電源が入らない
・電源が切れない
・何度かON/OFFしないと電源が切れない
・勝手に電源が入る
・勝手に電源が切れる

などである。

電源スイッチ

原因は、スイッチ内部の銅接点の表面に錆などが生じたことによる、接触不良だ。

もちろん、多湿等、劣悪な場所に保管されていたものには、この種の不具合が生じやすいが、良好な環境であっても、長い間、スイッチを動かさずにいると、摩擦が生じず、表面の錆が残ってしまい、蓄積され、取れなくなってしまう。

つまり、スイッチを動かしていない(=使われない状態が長く続いた)カセットデッキに生じがちでもある。

以前は問題なく動いていたが、10年前に使わなくなり押し入れに保管、整理のために出したら、電源が入らなくなっていた、というような場合は、この不具合の可能性が高い。

劣化必至のゴムベルトが伸びて/切れて/溶けてしまっても、電源は入るからね。

関連:[SONY] ゴムベルトの交換(型式と長さ) [カセットデッキ]

当然、100%電源ボタンが原因とは限らないが(Fuse切れ等)、

1-212-942-00 FUSIBLE
↑1-212-942-00 FUSIBLE 2.2 5%

電源操作の大元である以上、原因として疑うのは普通である。

謎の振舞

TC-RX70(1990年発売)は、電源スイッチの先が二又に分かれているため、不良のスイッチで電源を切ると、FL管は消えるが、モーター音とテープ窓は消えず、メカ側は動いたまま、という謎の現象が生じることがある。

また、順調に再生していたと思ったら、突然停止、かといって電源OFFかと思いきや、電源は入っている。

おそらく、勝手に電源が切れた後、再び電源が入ったのだろう(=スイッチ不良による瞬断)。

ゴムベルトの劣化やロータリーエンコーダーの不良、リモコン受光部の不良により、おかしな振舞をすることもあるが、電源ボタンの不良でも変な動きをすることがある。

関連:[SONY] ロータリーエンコーダー(1-466-238-11,1-466-525-11)の分解と清掃 [カセットデッキ]

関連:[SBX 1610-59] リモコン受光部の不具合と互換品との交換 [VS1838B]

瞬断は気付きにくいので、非常に厄介だ。

スイッチの分解と不具合解消

カセットデッキの天板を開け、前面パネルの裏にある基板を外す。

ネジ(機種により数が違う)とツメで固定されているはずである。

基板を取り出し、「POWER」のカバー(4-922-921-01)を引き抜くと、スイッチが見える。

スイッチ

スイッチは、簡単に分解できる。

スイッチの分解

スイッチの構造は、銅板をコの字型のブラシで挟み、ブラシが動いてON/OFFを切り替える、というもの。

コの字型のブラシ

銅板2枚にブラシ2枚、よって2組が格納されている。

接触不良の解消方法としては、銅板やブラシの表面を磨くことだが、銅板はまだしも、ブラシは微細かつ貧弱なので、磨くのは困難。

以下の動画のように、歯間ブラシを使って磨けないことはないが…

分解/組立時に注意しないと、ブラシは簡単に変形してしまい、その修復は困難。

変形したブラシ

なので、スイッチは分解せず、表面側の白い突起の隙間から、接点復活剤を流し込み、ON/OFFを繰り返すのが、確実ではないが安全。

スイッチ_接点復活剤

# よくやる、ボリュームのガリを直す方法ね。

接点復活剤で狙うポイントは、以下。

接点復活剤ポイント
↑赤矢印のポイントを狙う

銅板とブラシの接触面を狙うのだ。

だが、表面劣化の具合が悪いと、接点復活剤程度では直らないだろう。

その場合は、ジャンク機を手に入れ、他機から移植するという方法もあるが、それもダメになっている可能性がある。

同じスイッチ部品が採用されているRX機
TC-RX70TC-RX77TC-RX79
TC-RX711TC-RX715TC-RX1000T

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

但し、スイッチ周辺のケーブルや基板が異なる場合、スイッチのハンダを外し、スイッチだけを入れ替える必要がある。

スイッチだけを入れ替える
↑基板やケーブルが異なるので丸ごとの入れ替えはできない

ハンダ箇所は5点。

スイッチのハンダ箇所

ES機は、スイッチを押した感覚からも分かるように、上記のRX機とは異なるスイッチが使われているので、ES機の修理にRX機のジャンクは使えない。

なお、スイッチを動かした際の「カチカチ」という感触は、ブラシではなく別の部分で出しているので、カチカチ音の具合で不良を判断することはできない(=不良があってもカチカチ音はする)。

ついでに、TIMERとDIRECTIONに不良が出ている場合は、スライドスイッチに接点復活剤を吹き込んでおこう。

TIMERとDIRECTION

組立後、TIMERがRECになっていると、電源を入れた途端に録音が開始されるので注意!

必ず「OFF」にしておくこと。

SONYが修理を受けていた頃だと、SW BOARD(スイッチを含む一式)を交換して修理完了、となるのだが、2021年時点で、既に修理を受け付けていない。

関連:[SONY] カセットデッキの修理について [サービスセンター]

このスイッチはSONY独自のもので、汎用部品は使えず、新品は手に入らない。

生産から30年以上経過しており、各部の劣化は確実にあるので、自力で対処できるだけの知識や道具は持っておきたい。

関連:[SONY] モーター分解と静音化 [カセットデッキ]

関連:[SONY] アイドラーのギア欠け(X-3356-641-1) [カセットデッキ]



2022年1月12日

Posted by nakamura