カセットデッキメーカーの「その後」

2023年8月25日



長岡鉄男 ダイナミック大賞 カセットデッキにて選出された機種を中心に、メーカーの「その後」を調べてみた。

(以下、順不同)

EXCELIA(エクセリア)/AIWA(アイワ)

業績不振により、2002年にソニーに吸収合併され、アイワはソニーの1ブランドとなるが、2008年に終息。
2017年4月にアイワの商標使用権を取得した十和田オーディオが、日本で新たにアイワ株式会社を設立。

関連:アイワ株式会社

ブランドだけで、法人は全くの別物、販売品目も、大部分が東南アジアで製造流通している製品を輸入販売するジェネリック家電商社でしかない。

十和田グループ

関連:十和田グループ グループ企業

上表にもあるように、アイワ株式会社の従業員は、わずか6名(2021年8月現在)。

例えば、ラジオは、TECSUN(中国)の表(おもて)を「aiwa」に変えただけである。

CR-BUE50:CDラジカセ
CSD-MV20:CDラジカセ
TR-A30S:テープレコーダー

Nakamichi(ナカミチ)

バブル景気の崩壊以後経営難に苦しみ、1997年には香港の投資ファンドの傘下となるが、その後も経営状況は改善せず、2002年2月19日に民事再生法の適用を申請して倒産した。
2019年8月現在、解散登記はされておらず、法人自体は存在している。

A&D(エーアンドディー)

A&D=AKAI(赤井電機) and Diatone(三菱電機)

赤井電機は、1987年には、親会社となった三菱電機と提携してA&Dブランドの下でオーディオ製品を製造・販売。
DATデッキの他、ゼネラルオーディオなどにも参入した。
しかし、業況は改善されず、1991年にオーディオ分野から撤退。
1994年には山水電気と共に、香港のセミ・テック・グループの傘下に入ったが、2000年に民事再生法の適用を申請して倒産した。

一方の三菱電機は現存するが、映像機器は扱っているが、オーディオからは撤退済?

marantz(マランツ)

1953年にアメリカ合衆国で創設された音響機器のブランド。

日本マランツ株式会社は、2005年4月1日に、株式会社ディーアンドエムホールディングスと合併し、消滅したが、カセットデッキを出していた時期の法人はどこなの?

KENWOOD(ケンウッド)

2011年10月1日に、日本ビクターと共に株式会社JVCケンウッドに吸収合併された。

Victor(ビクター)

2011年10月1日に、ケンウッドと共に株式会社JVCケンウッドに吸収合併された。

Pioneer(パイオニア)

家庭用AV機器事業は販売不振が続き、ホームオーディオを含むホームAV事業は、2013年7月から機能子会社のパイオニアホームエレクトロニクス株式会社が取り扱っていたが、2015年2月には同社の全株式はオンキヨー(現・オンキヨーホームエンターテイメント)に譲渡され、翌月よりオンキヨーの機能子会社のオンキヨー&パイオニア(現・オンキヨーホームエンターテイメント)に移管された。

ONKYO(オンキヨー)

選出されてはいないが、ONKYOもカセットデッキを出していた(K-W502など)。

2021年8月1日、親会社のオンキヨーホームエンターテイメントが、純資産の債務超過により上場廃止。

以上のように、オーディオを主力としてきたメーカーのその後は散々である。

音楽聴取がスマホ+青歯イヤホンで完結する時代、コンポやステレオ、アンプ、巨大なスピーカーで音楽を聴くのは、面倒くさい崇高なマニアくらいである。

DENON(デンオン/デノン)

知らぬ間にデンオン→デノンになっていた。

YAMAHA(ヤマハ)

オーディオだけでなく、楽器、自動車部品、ネットワーク機器、さらにはスポーツ用品などを扱う。

オートバイはヤマハ発動機の方。

Technics(テクニクス)/Panasonic(パナソニック)

Technics=Panasonic=松下電器=National

法人もブランド(Technics)も現存するが、カセット関連は、ラジカセ程度しか出していない。

RX-D47:CDラジカセ
RX-FS27:ステレオラジカセ(生産終了)
RX-M45:モノラルラジカセ(生産終了)

SONY(ソニー)

現存するが、カセット関連は、ラジカセ程度しか出していない。

CFD-S401:CDラジカセ
CFD-S70:CDラジカセ

Aurex(オーレックス)

選出されてはいないが、Aurexもカセットデッキを出していた。

Aurexは、東芝が白物家電に使う「TOSHIBA」とは別に、オーディオ製品に用いるブランド名。

かつてadres(Automatic Dynamic Range Expantion System)を擁したAurexが想起されるが、現在、Aurexを展開しているのは、東芝エルイートレーディングであり、その親(東芝ライフスタイル)は、中国の美的集団(Midea Group)であり、「東芝」を名乗るものの、その実は中華系。

「ハイレゾ対応」を謳うラジカセであるTY-AK2を出しているが、何がハイレゾ対応?

TY-AK2
↑TY-AK2(2020年9月発売)

前モデルのTY-AK1は、テープの蓋が壊れるという、製品以前の問題。

TY-AK1
↑TY-AK1(2018年3月発売)

「東芝」を名乗るものの、やはり中華クオリティー、往年のAurexが泣いている。

TY-CDX91:SD/USB/CDラジカセ
TY-CDM1:CDラジカセ
TY-CDH8:CDラジカセ
TY-CDS8:CDラジカセ
TY-CDW990:CDダブルラジカセ
TY-CDW99:CDダブルラジカセ
TY-CDH7:CDラジカセ
TY-CDS7:CDラジカセ
TY-CWX90:SD/USB/CDラジカセ

TEAC(ティアック)

2022年現在も、以下のカセットデッキを販売している!

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AD-850-SE:CD+カセット(2ヘッド 片道走行)

AD-850-SE
↑AD-850-SE(2022年8月27日発売)

CD/カセット/マイク/外部入力機器から、USBメモリー(MP3ファイル)への録音が可能。

CD/USBメモリー/マイク/外部入力機器から、カセットテープへの録音が可能。

MP3ファイル再生(USBメモリー、CD-R/RW)が可能。

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W-1200:ダブルデッキ(2ヘッド 片道走行)

W-1200
↑W-1200(2018年3月発売)

Dolby B NRに対応したICの生産終了に伴い、現在ではDolby B NR搭載カセットデッキの新規生産はできない状況だが、W-1200には、Dolby B NR相当の効果がある独自のノイズリダクションシステムを搭載している。

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CD+MDデッキであるMD-70CDも出していたが、

MD-70CD_カタログ

既に生産終了となっている(2020年12月で販売終了)。

弊社(TEAC)には「録音と再生の技術で今と未来をつなぐ」というポリシーがあります。
他社がMDオーディオ事業から撤退していくなか、我々まで生産・販売を辞めてしまうと、MDを聴けなくなってしまうので、できる限り続けたいという思いがありました。
そのため、(MD-70CDの)生産に必要な部品を買い溜めして細々と続けていたのですが、その在庫が底を尽き、2020年12月で販売を終了することになりました。

関連:「辞書からも削除」MDは完全に消えてしまうのか「最後のMDメーカー」に聞く (ラジオ関西)

このMD-70CD、在庫限りなので、適価で手に入るなら、入手しておきたい。

関連:2023年時点でも新品で手に入るカセットデッキやラジカセ、カセットテープ、クリーニングキット

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TEACは、業務用ブランドとしてTASCAM(タスカム)も展開している。

TEACのこれらの製品は、新品で手に入るのが魅力ではあるが、カセットデッキとしてのスペックは過去の機種に及ばないので、質を求めるなら、過去機を中古で入手し、メンテナンスをして使うのが良いが、以前に比べると、価格が高騰しているね…

関連:[SONY] ESシリーズの変遷と比較(ESG→ESL→ESA→ESJ→KA*ES) [カセットデッキ]

関連:[SONY] TC-RXシリーズの変遷と比較 [オートリバース機]

2010年前後なら、SONYのES機でも、ジャンクなら千円程度、完動美品でも5千円程度で買えた事実を知ると、とても現在(令和)の相場で購入/入札する気にはならない。

関連:過去のヤフオクでの落札価格記録

関連:過去のハードオフでの販売価格記録

関連:[SONY] TC-K710Sの分解とTC-K700Sとの比較 [カセットデッキ]

関連:[SONY] 3ヘッド機対決(比較) [TC-K222ESJ,TC-K710S,TC-K700S]



Posted by nakamura