[Victor] SR-S365UとSR-S388E [JVC]
日本ビクターの業務用のS-VHS(スーパーVHS)カセットレコーダーである、SR-S365UとSR-S388Eに関する情報。
↑SR-S365U(1996年)
日本ではVictor、海外ではJVC(Japan Victor Company)ブランドで出ている。
ビクターは、家庭用ビデオフォーマットのVHSの開発メーカーである。
1976年9月9日にVHSビデオデッキの初号機(HR-3300)を発表し、2008年の単体VHSビデオデッキの生産終了時点では、VHSビデオデッキの累計出荷台数は9億台以上。
VHS(1976年) → S-VHS(1987年) → W-VHS(1993年) → D-VHS(1997年)
関連:VHS VIDEO 10TH ANNIVERSARY (1986年)
2008年10月1日に同業のケンウッドと経営統合し、JVC・ケンウッド・ホールディングス(現・JVCケンウッド)を設立、2011年10月1日にケンウッド、J&Kカーエレクトロニクスと共にJVCケンウッドへ吸収合併され消滅、日本ビクターは84年の歴史に幕を下ろした。
関連:日本ビクター (Wikipedia)
SR-S365UとSR-S388E共通
外装は、少し緑/青の入った灰色の、ミリタリー的な色。
CTL Time Code(時:分:秒:フレーム)対応。
RS-232C接続により、外部操作が可能。
編集コントローラーであるRM-G800Uが接続可能。
但し、CTLタイムコード編集に対応するのは、RM-G800Uのシリアルプレートにあるモデル番号の後に「X」が付いている個体のみ。
ヘッドホン端子(3.5mm ステレオ)があり、ボリューム調整可能。
ヘッドホン端子やボリュームは、民生機にも上位機にはあったので、業務用としての特別なものではない。
民生用とは異なり、リモコンは付属しない。
# FL管の左に赤外線リモコンの受光部のようなものがあるが、これを使うリモコンがあるのかは不明。
メカ的には民生機と大差なく、特に耐久性が高いということはない。
高速早送り/巻き戻しのようなものはなく、民生機よりも遅い(後述)。
業務用のためか、民生機では「S映像」とあるS端子の表記が、「Y/C」となっている。
↑SR-S365Uの背面端子
・Y:輝度信号(Luminance)
・C:色信号(Chrominance)
関連:S端子 (Wikipedia)
正面から見える脚は、完全に造形の「ハリボテ」である。
編集機能が目的ではなく、単に安価な「業務用」として、結婚式場や会館、学校(講義室や視聴覚室)等で使用されていた。
なお、TVチューナーは非搭載だが、アナログ放送は既に終了しているので、今となってはない方が好ましい。
SR-S365U
1996年発売。
メニュー一覧
使用ボタン ③MENU ④SET ⑤SELECT
メニューの内容は、以下動画の通り。
録画時の標準モード(SP,Standard)と3倍モード(EP,Extended)の切り替えは、「335:RECORDING MODE」で行い、民生機のようなボタンはない。
「338:MENU SW2」をOPENにすると、項目が追加される。
使用/稼働状況を示す「アワーメーター」は、後述する。
SR-S388E
SR-S365Uの機能追加版。
タイムベースコレクタ(TBC:Time Base Corrector)が追加。
背面のモニター出力の音声が、2系統ある(SR-S365Uは1系統)。
前面
機能が違ったり、SR-S388Eでは追加されていたりする。
⑯
・SR-S365U:A.MIX(Audio mixing) Indicator
・SR-S388E:16:9 Indicator
TBC(Time Base Corrector)
・SR-S365U:ナシ
・SR-S388E:TBC switch(⑲)
背面
⑦AUDIO MONITOR OUT connectorの数が、SR-S365Uは1ツ(モノラル)に対し、SR-S388Eは2ツある(但しモノラル)。
早送り/巻き戻し
高速早送り/巻き戻しのようなものはなく、民生機よりも遅い。
同一テープ(富士フィルム,120分)での速度比較
民生機 SHARP VC-BF90(17W,1997年)
・早送り:2分22秒
・巻戻し:2分09秒
Victor SR-S365U(20W,1996年)
・早送り:3分03秒(+41秒,128.87%)
・巻戻し:2分40秒(+31秒,124.03%)
その他
SR-S365Uには1枚もののカタログ(システム対応S-VHSビデオ,1997年12月)が存在する。
消費電力
・SR-S365U:20W(AC 120V, 60Hz)
・SR-S388E:22W(AC 220-240V, 50/60Hz)
大きさ:
・SR-S365U:W400 x H94 x D340mm
・SR-S388E:W400 x H94 x D341mm
重量:
・SR-S365U:4.8kg
・SR-S388E:5.0kg
アワーメーター
アワーメーターはMENUにはなく、以下の操作で出る「隠し項目」となっている。
# SR-S388Eは「338:MENU SW2」をOPENにすると、MENUにアワーメーターを出せる。
1.電源を入れる
2.STOPボタンを押しながら、MENUボタンを押す
3.SUB MENUが出るので、SELECTを押してHOUR METERを選び、SETを押す
909:DRUM HOUR METER
xxxxh ← ヘッドドラムの稼働時間(単位:h=時間)
MENUボタンで抜ける。
より詳細なアワーメーターを見る方法を、以下に記す。
STOP、PAUSE、MENUの3ボタンを同時に押す。
SERVICE MENUに入るので、SELECTを押してHOUR METERを選び、SETを押す。
先のSUB MENUとは異なり、他のHOUR METERも確認できる。
908:OPERATE HOUR METER(電源オンの時間)
909:DRUM HOUR METER(ヘッドドラムの稼働時間)
910:CAP HOUR METER(キャプスタンモーターの稼働時間)
SELECTで次ページ
912:OPERATE ON TIMES(電源オンの回数)
913:LOADING TIMES(テープをロードした回数)
914:EJECT TIMES(テープを取り出した回数)
MENUボタンで抜ける。
最初に同時押しで入るのだが、離すタイミングがズレると普通のMENUやSUB MENUが発動してしまうのが難儀。
メンテナンス
SR-S365Uの内部は、以下の通り。
使用されているゴムベルトは、合計3本。
内2本は、メカ部裏面にあるので、メカを外さなければアクセスできない。
当然だが、メカを外す際は、基板につながっているケーブルに注意!
2025年9月時点では、ゴムベルトが伸びて使えないということは無く、再利用が可能であった。
ゴムベルトを外し、アルコールでゴムベルトとプーリーの溝を拭き、乾燥後、再度装着する。
ゴムベルトを拭く際は、伸ばし過ぎないように注意!
キャプスタンベルトが伸びていると、早送り/巻き戻しが途中で止まったり、巻き切るのにえらく時間を要したりする。
スポンジが劣化しボロボロになっていることが多いヘッドクリーナーは、本機では問題なかったので、撤去せずに残してある。
さすがは業務用?(違う)
動画
↑JVC SR-S365U
↑JVC SR-S388E
↑JVC SR-S388E(RS-232C接続によるPCからの操作)
外部リンク
関連:S-VHS RECORDER/PLAYER SR-S365U
関連:EDITING CONTROLLER RM-G800U
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません