北朝鮮向けラジオ「しおかぜ」周波数増 妨害回避へ政府も支援検討
北朝鮮の妨害を多チャンネル化と一斉放送でかわし情報を伝える
北朝鮮による拉致被害者に向けて発信する民間ラジオ「しおかぜ」で、2019年4月から短波周波数を5波に増枠し同じ時間に2波で番組を一斉放送する「多チャンネル化」を新たに始めることが決まり、政府が支援策を検討していることが、2019年3月30日、分かった。
2005年の放送開始直後から現在まで続く北朝鮮当局の電波妨害を攪乱(かくらん)し、情報を確実に北朝鮮内へ届けるのが狙いだ。
しおかぜを運営する特定失踪者問題調査会によると、新たな放送免許の交付を受け、同じ時間帯に使用できる短波の周波数が、計3波から計5波に増える。
4月1日から、うち2波を無作為に選択し、同じ時間帯に番組の一斉放送を行う。
しおかぜは、政府認定拉致被害者の家族や拉致の可能性が排除できない特定失踪者の家族のメッセージ、朝鮮半島情勢を伝えるニュースなどを、日本語、朝鮮語、英語、中国語で放送。
北朝鮮は、国内では厳格な情報統制を敷き、深刻な電力不足とされる状況でも大量の電力が必要な妨害電波の発射を続けてきた。
しおかぜは妨害を避けるため、これまでも3波のうち1波を無作為に選び放送してきたが、5波から2波を選んで一斉放送すれば、妨害が困難になる可能性がある。
新たな取り組みの背景には、しおかぜの厳しい実情もある。
北朝鮮内で中波を受信するラジオが増加しているとの情報を受け、2016年に放送を開始したが、資金不足で再三休止。
さらに、放送委託した海外の民間ラジオ局が明確な理由を示さずに、昨年5月から放送休止の状態を続けている。
今年も、再開の見通しは立たず調査会は当面、短波の同時一斉放送に取り組む。
政府も、しおかぜの運営を支援し、中波でも放送実績に応じて業務委託費を支払う予算を計上してきた。
政府関係者によると、中波の放送休止や短波の一斉放送開始を受けて、新たな支援策の検討を進めている。
調査会の村尾建兒副代表は「金正恩政権は対話姿勢をアピールしながら情報流入を極度に恐れている。
拉致被害者に直接届く可能性があるラジオ放送を通して北朝鮮に解決を迫る圧力をかけられれば」と話す。
関連:北向けラジオ「しおかぜ」周波数増 妨害回避へ政府も支援検討 (2019-03-30 20:05 産経新聞)
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